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『江戸にラクダがやって来た―日本人と異国・自国の形象
 四六判376頁 図版69点 税込価格3190円(本体2900円+税)
 岩波書店の紹介ページへ  同 試し読みのページ

   『日本経済新聞』2022年11月12日朝刊に書評紹介が掲載されました
   サーカス学会会長の大島幹雄さんが書評紹介を書いています
   「見世物興行年表」サイトの樋口保美さんが書評紹介を書いています


「異国の珍獣」ラクダの旅路を追う
大阪でも名古屋でも各地で見世物は大評判。
ラクダを通した人びとの異国認識を探る表題作ほか
日本人と異国・自国をめぐる全五章。………本書オビのコピー文章より

ラクダをめぐる第一章が、注などを含めると220頁ほどあって
全体の6割強を占めます。その意味で文字通り表題作ですが、
サブタイトルの「日本人と異国・自国の形象」が本書全体のテーマで、
江戸時代後期から近代にかけて、日本人が異国と自国をどのように認識し、
異国と自国をどのように具体的に形象化してきたのかを、
私ならではの素材と切り口で全五章で考察しています。………川添コメント


[目次]

第一章 江戸にラクダがやって来た……1
 一 江戸はラクダで大騒ぎ
      どのようにラクダと接したか / 到着地、板橋へも人が殺到
      紀州藩主と平戸藩主の明暗 / 迎賓館赤坂離宮と赤坂御用地
      感染症流行の時代 / 絶妙のタイミング
      ラクダから逃げ出す疫病神/元気な十方庵の記録からわかること
      「ラクダ現象」の広がり
      『武江年表』の誤りと、資料の扱いについて
 二 長崎舶来から江戸に至るまで
      長崎にとどまり続けるラクダ/ラクダの情報で遊ぶ江戸の狂歌師たち
      ラクダが出島を去るまで / 大坂にラクダがやって来た
      大坂の唐物屋が売り出していたラクダ絵図
      なかなか始まらない難波新地の見世物
      大坂でも大当たり / 大坂から京へ
      ラクダを描く画家たち / 雌雄仲むつまじいラクダは「夫婦」に
      流行唄のラクダは「よれつもつれつ夫婦連れ」
      「土瓶の鋳掛」から「駱駝」へ
      文人たちの「仲よしラクダ現象」—頼山陽と梁川星巌
      さらに語られ、描かれるラクダ
      伊勢を経て、中山道から江戸へ / ラクダは「紀州様の荷」
 三 『駱駝之図』を読む
      絵柄を読む / 唐人姿の男たち
      口上記文を読む / 中国的認識枠と西洋知識
      ラクダのコブはむずかしい
      「天竺カテゴリー」とハルシヤ、アラビア
      誇張されるラクダの能力 / 盛りだくさんの「ご利益」
      ラクダと七福神とのコラボ /『和合駱駝之世界』
      ラクダ研究書の世界 / 1 堤它山『槖駝考』
      2 大槻玄沢『槖駝訳説』/ 3 松本胤親『槖駝纂説』
      4 山崎美成『駝薈』/ 江戸の「ラクダ現象」をめぐって
 四 ラクダの旅路
      水海道でのトラブル、そして八王子、大田原(文政八年)
      金沢、鯖江を経て名古屋へと向かう(文政九年)
      ついに名古屋にラクダがやって来た(文政九年十一月)
      『絵本駱駝具誌』が再現する世界
      二度目はうまくいかず備前から徳島へ(文政十年)
      中国地方をめぐる旅—広島、岩国、天神渡、津山(文政十一年)
      謎の空白を経て若狭小浜に(天保三年)
       江戸再来と信州飯田(天保四年)
      ラクダの行方 / ラクダの到来と異国・自国の形象
 五 落語『らくだ』の時代
      落語『らくだ』の概要 / ラクダ見世物と「かんかんのう」
      同時代文化が交響する落語 /『らくだ』のパフォーマンス

第二章 舶来動物と見世物……197
 一 動物舶来の歴史
      古代の動向 / クジャクとオウム / 舶来動物と「ご利益」
      中世の動向 / 朝鮮のタカ
      近世の動向 / 多数を占める鳥類 / かぎられた享受者たち
 二 舶来動物の見世物
      見世物の揺籃期
      商業化が進んだ江戸時代後期
 三 そこで何が起こっているのか
      珍しい動物の「ご利益」/ 生餌の演出
      勢州松坂 鳥屋熊吉 / 議論の行方

第三章 開国期における異国・自国の形象……229
 一 異国船はやって来る
      オランダと中国が混淆する異国船
      「来航する」という形式
 二 ペリー来航と日米のレプリゼンテーション
      西洋世界の地球的拡大とペリーの「砲艦外交」
      日米のレプリゼンテーション
 三 不気味な異国人物、そして「神風」「神国」
      異形の異国人物たち /「神風」が異国船を吹き戻す
      非対称性の別次元からの解消
      「神国」では異国のトラも日本語を覚える /「神風」の遊廓

第四章 日本人になってみる、日本をやってみる
             —身体が形象するジャポニスム……257

 一 日本人になってみる
      あたしたち日本人になっちゃった
      「日本人になってみるコスプレ」の系譜
 二 日本をやってみる—「茶店・茶屋」と「茶屋の娘」たち
      プラハのYOKOHAMA
      チェコのジャポニスムを牽引したホロウハ
 三 ホロウハの行動的ジャポニスム
      『嵐のなかのサクラ』と最初の日本滞在
      二十代後半での「茶店・茶屋」の実現
      『日本の子どもの昔ばなし』
 四 「実物の日本人」と出会う
      日本の軽業曲芸師たち
 五 ジャポニスムの源泉としての軽業曲芸師
      最初の旅券の集団
      「子どもたちは例の日本人を見てきた」
 六 「芸者」と「ゲイシャ」の相乗
      万国博覧会と「日本村」
      オペレッタ『ゲイシャ』に烏森芸者が出演
      ドレスデンの芸者とプラハの「茶屋の娘」たち

第五章 横浜が売る「ニッポン」—サムライ商会を中心に……291
 一 サムライ商会の「ニッポン」
      強烈な日本趣味の外観
      骨董と美術工芸品の製造—サムライ商会の内部から
      日本趣味のシルバーウェア
      再創造・再生産される「ニッポン」
 二 野村洋三をめぐる人びと—獅子文六、そして新渡戸稲造と鈴木大拙
      作家、獅子文六の父親のシルク・ストア
      新渡戸稲造の武士道に呼応して / 鈴木大拙との交流
      BushidoとZenの背後にあるもの

注……315
主要参考資料……343
あとがき……359