演劇のジャポニスム(近代日本演劇の記憶と文化5)
森話社
ジャポニスムは美術だけの話ではない。
忘れられたもうひとつのジャポニスムとしての演劇、芸能といった身体表現の分野。
幕末明治の軽業芸人たちに始まり、無名の役者から歌舞伎俳優、芸者まで、
外国人の欲望に応えて海外でさまざまに演じられた「日本」。
誤解や曲解を含みながら海外で受容され、そして日本にも逆輸入された興味深い様相を探る。
[目次]
[ I 総論]
1 忘れられたジャポニスム:「見せたい日本」「見せたくない日本」…………神山彰
[ II 博覧会の世紀]
2 日本人になってみる、日本をやってみる:身体が形象するジャポニスム…………川添裕
3 一九〇〇年パリ万博の川上音二郎・貞奴…………井上さつき
4 花子の時代…………根岸理子
5 オペラのジャポニスム:『ミカド』と『蝶々夫人』を例に…………森佳子
[ III 変容する日本と西洋の演劇]
6 両大戦間期パリ劇壇のジャポニスム…………茂木秀夫
7 ポール・クローデルの『女と影』と日本…………根岸徹郎
8 『鷹の井戸』をめぐる人々…………武石みどり
[ IV ジャポニスムの逆輸入]
9 ロシア演劇のジャポニスム…………中村緑
10 『ブシドウ』あるいは『マツ』をめぐって:アメリカでの『寺子屋』上演…………小笠原愛
11 『忠義』上演におけるセルフ・オリエンタリズム…………日比野啓
[ V 往還する「日本」]
12 『タイフーン』の世界主義:近代通俗劇にみる日本趣味…………星野高
13 筒井徳二郎の海外公演と近代演劇の問題…………田中徳一
編者、執筆者紹介