日本学 芸能―東アジアのなかの日本
―川添裕:皇學館大学 平成19年度(2007)
国際日本学 日本文化史 皇學館大學 皇学館大学
日本学 芸能―東アジアのなかの日本
講義の要点:
能や歌舞伎、人形浄瑠璃などの芸能は、日本を代表する芸能文化である。そしてむろん、これら芸能が日本的な特徴を示すことは事実である。
しかし、じつはそれは物事の一面にしか過ぎず、日本芸能の歴史的な起源や性格をさぐるならば、いくつかの側面における東アジア(特に中国)文化圏との共通性はあきらかであり、その影響下に成立した例は多い。
日本芸能の素晴らしさは、その独自性であるとともに、海外文化(中国文化、東アジア文化)を見事に吸収して価値を形成した「混合性」「混淆性」にあり、そうした物事を見る際の「複眼の思考」「複眼の視点」が必要であることを、かつて日中越の共有文化であったベトナム水上人形と、散楽・猿楽・能の形成史を例に多元的に考えてみたいと思う。
特記1:この日本学を面白いと感じた受講者には「芸能史」の履修をすすめる。また、「メディア論 I、II 」にも関連する視点が多くでてくるはずである。