『見世物探偵が行く』書評紹介メモ
民族学者の周達生氏のコラム「ゾウのウンコ」で、小著におけるゾウのウンコから薬をつくる話にふれるかたちで、少しだけ紹介されました。「詳しい話は紙数の都合で割愛」されているので、関心のある方は、本書の「ゾウの旅」をご覧ください。
「午後2時の興味津々」というコーナーに出演し、『見世物探偵が行く』(晶文社)を中心に20分ほどあれこれと話をしました。前に『江戸の見世物』(岩波新書、2000)が出版された際も出演していて、今回はゾウの旅、ベトナム水上人形、中国雑技など、東アジア系、交流文化系の話題を中心に話をしました。ちなみにこの番組は、もう17年も続いているそうです。
成田龍一氏の『近代都市空間の文化経験』(岩波書店)と合わせた書評で、「広義の『見世物』に関する文化論として楽しく読むことができる。見世物の類への関心が、時空を越えて響きあうあたりが面白い。(中略)『見世物探偵』の探求心と行動力は、時間だけでなく海や大陸を越えて、日本とアジア諸国との間に拡がる『交流文化圏』に拡がってとどまることがない」云々と記しています。
「和書 最近の新刊から」のページで、「著者が取り組んできた江戸時代の見世物研究を背景にしながら、『現代のフィールド』に触れ『多文化』へ飛び出して行く、時空間を超えた重層的な見世物ルポルタージュ」と紹介されました。
「根強い娯楽文化を追い続ける川添裕『見世物探偵が行く』(晶文社二四〇〇円)は、理屈抜きに胸が躍る。見世物や大道芸を俯瞰するにはユーラシア大陸を視野に入れねばならない」云々と、力を湧き上がらせてくれるような、ありがたいコメントでした。今井氏からは前著『江戸の見世物』でも好意的な評をいただいており、あわせて感謝。面識はないのですが、どうやらかなりの小沢昭一ファンのようで、同臭の人という感じです。
つい最近、ご自身も『虚業成れり――「呼び屋」神彰の生涯』(岩波書店)という魅力的な本を出した大島幹雄氏による評で、「なによりも著者のフットワークのよさに感心させられます。サーカス、大道芸、菊人形展といった国内のイベントだけでなく、中国やベトナムまで足を伸ばし、呉橋の雑技学校、水上人形劇などを見に行くなど、まさに『見世物探偵』としての本領を十二分に発揮しており、なんでもみてやろうという気合いが感じられます」云々とコメントしています。
こちらから書評全文を読むことができます。『北海道新聞』による『西日本新聞』への配信で、木下直之氏による書評です。
「見ることのよろこびに憑かれた人がいる。川添裕の新著『見世物探偵が行く』は、書斎での資料研究にあきたらず、スペクタクルが行われている現場へ、いそいそと出かけてしまう宿命を持った著者の楽しんでいる姿が好ましい一冊になった」という書き出しではじまる、大変ありがたい書評でした。「見ることの欲望は果てしなく、負ってしまった業は、軽やかに見えて重い」という評の結びは、我ながらちょっと考えさせられました。『東京新聞』『中日新聞』に同一の書評が掲載です。
「今週の7冊」のコーナーで、「中国雑技団から古舘伊知郎の話術まで、古今東西の見世物を紹介し、その歴史的背景や文化的な意味を分析」云々と紹介しています。
「ブックガイド」のコーナーの最初に、「著者は『見せ物』をキーワードに、研究や批評にとりくんでいる。歌舞伎の寄席から出発した探索は、時間・空間を越え、異国や国内の実地見聞」へと向かい、見世物の原点としての「魅せる可能性」を探っている云々と、紹介しています。
短評のかたちでの掲載で、「あらゆる見世物に尽きない興味と愛情を抱き続ける研究家が現場にでかけルポする」、そうすることで、日本に固有と思われる見世物文化が「実は東アジアなど異文化との交流による共有空間であることを、資料を駆使し、現地での取材を通した探偵が丹念な分析で解きほぐす」云々とコメントしています。
これは現在、こちらで書評全文を読めます。「国境をこえた芸の広がり」のタイトルのもと、「日本の過去の見世物文化が、中国の雑技やベトナムの水上人形劇に目を向けることで生き生きと甦り、国境を越えた身体芸の広がりが実感できる」云々と紹介し、あわせて前著『江戸の見世物』(岩波新書)との相関、拡張関係にも言及してくれたありがたい書評でした。
時事通信社が全国配信した書評が、いくつかの地方紙(地方新聞)に掲載になっています。「本書は、現代にも息づく見世物、あるいは見世物的なるものを求め、内外を訪ね歩いた文化誌だ。中国雑技やカザフスタンのベリーダンスの妙技にうなり、一方で、古舘伊知郎さんに口上話芸の神髄を見いだす」云々とコメントしています。
前著『江戸の見世物』(岩波新書)を前提に、今度は「現代の見世物的なもの、東アジアを中心とした外国の見世物的なものとの相関関係を明らかにしたかった」などと語っています。またあわせて、最近の他の仕事や大学での授業にもふれています。生田誠氏によるインタビューです。
書評欄でいわば「ビジュアル本」の扱いで(本当はそういうわけではないのだが)、口絵に収載の「足芸をする中国少女」の写真ほかを紹介してくれました。