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オープンフォーラム


申しわけありませんが、現在は休止中です。過去ログの閲覧のみ可能です。


『唐版 滝の白糸』はぼくも観てきました。唐十郎の作品をテント以外で観るのは初めてで(古い!)、そんな感慨もありましたが、やっぱり富司純子はいいなあ。こうなると、菊之助と何かやって欲しくなってきます(菊之助も、今月は新橋演舞場での弁天小僧の大屋根が、立ちまわりが奇麗で大拍手)。で、パンフレットですが、確かにありました、ありました。こちらの見世物文化研究所と、安部保範さん(やはり横浜市民)の見世物広場が紹介されていますね。三月には国立劇場で新派の『滝の白糸』(水谷八重子と八十助)があり、パンフレット用の小文がいまちょうど仕上がりつつありますが、鏡花の見世物描写は、よく見るとじつに妥当で具体的で、奇想の一方での「それらしさ」の表現が優れていることに、しきりに感心しています。これはまた別に書きます。
川添裕
- Wednesday, January 26, 2000 at 11:34:12 (JST)


川添さん、こんにちは。渋谷のシアターコクーンでただいま上演中の「唐版滝の白糸」がとてもいいと数人の知り合いからすすめられたので、行ってみました。 上演パンフレットを買ったら、インフォメーションの欄があり、 rakugo.com が紹介されていましたので、お知らせしようと思いました。
pasukorokke
- Saturday, January 15, 2000 at 23:41:44 (JST)
2000年になったので、日付けテストの意味もあって書き込みです。サーバー自体の/sbin/dateから時間をとっているので大丈夫な *はず* なんですが。今年は春から『グラフィケーション』という雑誌(富士ゼロックスのPR誌)で、見世物関係の連載をやる予定。また、何とか前半に書き下ろしの『江戸の見世物』を刊行したいものです。エディタースクールの講座の準備も少ししなくては……。やっぱり、正月は節句働きだな。じつはけっこう節句働きが好きです。年頭のつぶやき、おしまい。みなさんも良い2000年を!
川添裕
- Saturday, January 01, 2000 at 00:18:15 (JST)
何事に関しても「評論」ってありうるんでしょうね。だから、見世物についてもあっていいわけですが、どうなんですかね。歌舞伎評論や落語評論はあるし、昔は浪曲の評論も、講釈の評論も盛んにありました。衰退して元気がないと、明らかに語りにくいという面はあるような気がします。つまらなくても、つまらないと言いにくい雰囲気ですね。歌舞伎評論でもそうですが、語られる側が、言われたことを平気で飲み込んでしまうくらいの心がないと、評論はしにくいでしょう。演ずる人と、評論するひとは、結局は別のことをやっているのですから。
渡辺保さんが、あれだけ歌右衛門の批評を書いていても、実際に歌右衛門と面と向かって長時間会ったのは三回だけというのを『歌右衛門伝説』(新潮社)で知り、随分感心して、そのことを新聞書評にも書きました。べたべたした小さな仲間内意識は、批評から遠いのはもちろんだし、芸能そのものの生産的なあり方からも、まったくかけ離れたものだと思います。サーカスは、この二十年くらいで自立した批評が成立してきたと思うので、見世物もありえなくはないんでしょうが……。
あと、見世物をどうとらえるかという問題もあって、仮設興行のいわゆる「見世物」だけに限らぬ、本質的な見世物論なら、いくらでもありうると思います。サーカス評論もそのひとつですね。ぼく自身はどちらかというと、その本質的な見世物論をやっていきたいです。

川添裕
- Monday, November 15, 1999 at 22:20:56 (JST)
最近、批評とか評論とかいうもののありかたに興味がわいてきました。自分でやろうなどということは思わないのですが、新聞を読んでいると色々な対象について批評をする人がたくさんいるものだとつくづく感心します。見世物には見世物評論、見世物評論家(研究、研究家ではなく)ないんでしょうかね?
pasukorokke
- Friday, November 12, 1999 at 12:21:18 (JST)
中村さん、はじめまして。見世物小屋をどう定義するかで、大分、話がちがってくるのですが、現代日本の「仮設興行協同組合系の見世物小屋」ということに限定すると、やはり大寅興行、団子屋興行の二軒ということになると思います。ただ、これに加え、安田興行、多田興行の二軒も動いていて、この世界で「藪」と呼ばれるお化け屋敷の興行も、これらの興行社がおこなっています。一九九五年に安田興行の人間ポンプ・安田里美さんが亡くなって、本格の芸の場としては決定的に寂しくなったのは否めません。しかし、それでも小屋の独特の雰囲気だけは味わえるでしょう。
日本のサーカスも、多くは仮設興行協同組合に属しており、また、はっきり江戸時代の軽業・曲芸系見世物の後裔である点からも、本来的には見世物と考えていいものだと思います。そうした視点を持てば、例えば木下サーカスなどはずっと元気に活躍しています。外国のサーカス、曲芸、アクロバットの到来も多いし、最近は大道芸祭りといった催しも各地で催されていますね。中国の見世物たる中国雑技も物凄く元気です。だから、括弧付きの「見世物」だけではない、もう少し広い世界を考えた方が面白いということもある気がします。そして、その方が日本の見世物の歴史に照らしても、ふさわしいように思えます。
まあ、そんなことはあるのですが、中村さんがおっしゃるいわゆる「見世物小屋」は、これから数カ月でしたら、新宿・花園神社の酉の市(11月)、秩父の夜祭り(12月)、大阪・住吉大社(正月)あたりに出ている可能性が高いと思います(年によって出る出ないがある)。
あと、最近出た本で『見世物小屋の文化誌』(新宿書房、1999年10月刊)というのがあって、ぼく自身ちょうど新聞書評を書いている最中ですが、現代の仮設興行界の状況に限っていえば、なかなかよくまとまっています。上島敏昭氏がそこで書いているものなどを読めば、現代の「見世物小屋」の感じはよくわかると思います。
川添裕
- Monday, November 01, 1999 at 11:19:59 (JST)
私はとても見世物小屋などに興味を持っています。 お祭りなどに来ていましたが現在では数が少なくて来ていません。 見世物小屋はやはり来てもらいたいものです。 ところで今現在見世物小屋は2軒しかないのでしょうか? お化け屋敷などはどのくらい全国にあるのでしょうか? 教えていただけたらさいわいですが。
中村
神奈川 日本 - Sunday, October 31, 1999 at 20:43:17 (JST)
福島さん、はじめまして。彦六さんの自伝というのは、旧名の方の著者名で、林家正蔵『正蔵一代』(青蛙房、昭和49年)です。しかし、残念ながらもう長いあいだ品切れで、古本屋で探すか、図書館で借りるしかないと思います。数ヶ月前に、ある大学の新設学科のために落語本のリストアップをしたのですが、ぼくが考えていた本の半分以上が品切れで、とても悲しい思いをしました。くだらない本はいくらでもあるのですが、しっかりした落語本は、どんどんなくなっている感じです。CDの方は、小生はあまり詳しくありませんが、確かクラウンレコードに怪談噺など十数枚あったかと記憶します。あとNHKビデオには『中村仲蔵』が入っていますね。楽しい落語ライフとインターネットライフを!
川添裕
- Monday, October 11, 1999 at 21:33:32 (JST)
60の手習いでやっとアクセスするところまでたどりつきました。目がちょっと視力が落ちたので落語のテープCDでもっぱら楽しんでおります。林家彦六のフアンですが林家彦六のテープCDの発売元がご存じでしたならどなたかお知らせ下さい。 また林家彦六の自伝があるとかタイトルご存じの方ご教示下さい                                                        舞台裏
福島鑄郎
神奈川県 - Monday, October 11, 1999 at 20:35:38 (JST)
堤さん、こんにちは。インディアナに行ったことはないのですが、Indiana University Art Museum の浮世絵コレクションは、ぼくにとっては「音に聞こえた」という感じのものでした。手元に二十年前の "Art of the Surimono" という浮世絵の「摺物」(いわば特注製作品)だけを集めた展覧会カタログがあって、これにも七代目の団十郎がでてきます。「歌舞伎十八番」制定の際の摺物などは、確か非常に珍しかったのでは。そういうものの近くに居られるというのは、うらやましい限りです。まあ、もっとも今は自作芝居の方でお忙しいのでしょうが・・・。秋の芝居シーズンですね。ぼくは久々に白石加代子の語りを聞きにいきます。(息ぬきしないと仕事も進まない!)
川添裕
- Thursday, October 07, 1999 at 18:43:41 (JST)
飯島様、こんにちわ。 インディアナ大学の浮世絵コレクションには芝居絵も多く、実はこの三月、その中から七代目と九代目団十郎の暫を選び、簡単な講演をしました。芝居絵と歌舞伎の紹介、といった感じのものですが。大学に日本専門の学芸員がいないのが残念です。
堤春恵
- Thursday, October 07, 1999 at 09:19:56 (JST)
今や論文のほうは全く進まず、もっぱら芝居の稽古にあけくれています。「サラマンダー」、はじめての現代ものなのです。 でもNYの川上のほうもそろそろかかわらなくてはーーー
堤春恵
??? - Tuesday, October 05, 1999 at 22:07:38 (JST)
こんにちは。その後の噂でも、吉右衛門の五右衛門宙乗りは、最初、本当に危なかったようです。何しろ天井間近の高さですからね。で、pasukorokkeさんの話の『紅かん』(べにかん)ですが、これは最幕末(安政ぐらいか?)から明治にかけて実在した、江戸の大道芸人です。真偽のほどはいまひとつわかりませんが、元は浅草の小間物屋、紅屋の主人(紅屋勘蔵とも、紅屋勘兵衛とも)だったのが、芸が好きで大道芸人に転じたとか。梅玉がやっていた通り、竹の棹に味噌こしの胴(一升枡の胴とも)の三味線を持ち、杓子でそれを弾くという変り三味線の曲弾きで、さらに腰には太鼓や鉦(かね)をくくりつけてたたき、にぎやかな音曲が話題だったようです。「目がつら」を付けて変な顔を作るのも、実際にやっていたようです。資料としては、例えば菊池貴一郎の『絵本江戸風俗往来』などにのっています。
いつから歌舞伎になったのか、今すぐにはわかりませんが、ベースには『外郎売』を代表とする大道物売・大道芸人などの街頭風俗を、常に取り入れようとする志向性が歌舞伎にはあって、その比較的新しい部類の一例といえるでしょう。ベースのところの視点に関しては、『見世物研究姉妹篇』の川添による編者解説でもちょっとふれています(3 大道物売篇 のところ)。とり急ぎ。
川添裕
- Thursday, September 23, 1999 at 00:57:31 (JST)
川添さんこんにちは。私も歌舞伎座行きました。梅玉さんのファンなので、紅かんとても楽しみました。ちなみにあれはどういう芸なんでしょうか。資料など、色々とあるものなのでしょうか。いつもいつもベーシックな質問ですみませんが、ああいった風俗描写がピンとこないことが多いもので。
pasukorokke
- Monday, September 20, 1999 at 18:07:10 (JST)
こんにちは、川添です。飯島さん、いろいろとレスポンスありがとうございました。
数日前に歌舞伎座へ吉右衛門の『石川五右衛門』を観にゆき、これが「つづら抜けの宙乗り」で、なかなか良かったです。噂では、初日からしばらくはつづらが開かなかったり、上にぶつかったりで、不安定だったようですが(吉右衛門はさぞ怖かったことでしょう、歴史的には宙乗りで落ちた役者はけっこういます)、ぼくは大分経ってからいったので、もう安定していて見事なものでした。周りの観客を見ていると、こういうケレンは当然ながら外国人には受けがいいですね。逆に、例えば『寺子屋』みたいなものはわかりにくい(というかある部分は理解不能の)ようです。
先々月(七月)の猿之助の『伊達の十役』(もうやるのはこれが最後という触れ込みでした)も素晴らしく、今月は梅玉の『紅かん』の大道芸踊りもかわいい小品で、「歌舞伎と見世物」をテーマのひとつに書いている最中ということもあって、観劇面では楽しい息ぬきがいくつもあった夏の数カ月でした。
川添裕
- Sunday, September 19, 1999 at 17:27:12 (JST)
川添さん、堤さん、大友さん、管さん、 そして見世物愛好家の皆様、すっかりご無沙汰してしまいました。 ハワイ大学で大正演歌を研究している飯島です。 久しぶりに来訪させていただいたところ、 私や我が校のことが話題になっているではありませんか! 遅ればせながらご返答させていただきます。

RE: ハワイ大学の歌舞伎プロジェクト
川添さん、はい、ハワイ大学では1924年の忠臣蔵に始まって英語版歌舞伎をやってきた そうです。 特に4年前の「助六」は日本から指導者を招き、衣装を取り寄せ、花道まで造った本格的なもので、私も大変感心しました。 来年公演予定の「夏祭浪花鑑」は現在、発声と演技の練習が始まったところです。私は偉そうなことを言って実は去年、 「半裸のアクションスター団七」という論文をでっちあげたきりで(なかなか好評でしたが...)ご無沙汰していたのですが、 Brandon 先生も日本から帰っていらっしゃり、何かお手伝いできればと思っています。

RE: 世界は狭い、海外での日本芸能関係研究
堤さん、論文の方はいかがですか? 我校には日本人の学生は結構いまして、沖縄民謡を研究している人を知っていますが、 その他に日本の芸能関係をやっている奇特な人はここ数年いないのではないでしょうか? 実は私の日本の女子大の大先輩にあたるもとハワイ大の先生が、戦後間もなくインディアナ大学に在籍していらっしゃったのです。 奇遇です! 彼女によると昔はインディアナ大の浮世絵コレクションには“オガミ キクゴロウ”と説明がついていたそうです。 我が大先輩は死絵の研究を熱心にやっていらっしゃり、私も時々講義を受けます。死絵は海外ではなかなか人気があるようです。 私のやっている大正唄本など文句なしにそうですが、 ちょっと意外な物が海を渡ってしまうのが面白いです。

RE: 世界に羽搏く落語家たち & 海を渡った東洋人
大友さん、「日本笑い学会」の情報ありがとうございました。その謎の若手落語家はフロリダ在住の琴奏者と共演したとのことです。 今度また詳しく聞いてみます。ところで落語で笑いころげた友人はフロリダのモリカミ美術館からニューヨークのジャパン. ソサイエティの 学芸. 編集員に転職しました。ジャパン. ソサイエティは日本の現代文化紹介に力をいれているとのことで、 二年前に私が覗いた時は演劇に関する面白い企画をやっていました。狂言「エイリアンと狐」の衣装などが展示されていました。

謎の中国人魔術師チン.リン.フーの話題、興味深く拝読しました。米西海岸では東洋人移民史研究は大変盛んですが、 芸能史の視点からみると川添さんのおしゃる通り、非常に豊かな交流があったのではと思います。 川上一座はハワイにも訪れたように聞いていますが、 するってぇとチンさんもハワイの土を踏んだのでしょうか. . .  ハワイ大の図書館では手つかずになっていた古い資料の山を整理しようと言う計画がもちあがっており、 演劇関係の文献も発掘できるのではと期待しています。

RE: "家なき人" 対 " 根のない人 "
我が校の先輩、管さん、この場でお会いするのもなにかのご縁でしょうか. . .  私もまかり間違って海を渡ってしまった一人ですが、 今だ根なし草的状態です(ホームレスと言うよりも. . .)。言葉と言葉の間での一層の御活躍お祈りいたします。

長々と書いてしまいました。 また立ち寄らせていただきますので今後ともどうぞよろしく。


飯島えりこ
ハワイ- Sunday, September 12, 1999 at 10:50:59 (JST)


pasukorokkeさん、教えていただきありがとうございました。他にも載ったことはあるのですが、 いま本屋さんに行ってチェックして、数が多くて便利そうなので買ってきました(1480円)。 検索サイトがもっとインテリジェントにならない限り、こういう本がまだまだ必要なんでしょうね。 これで今まで知らなかった面白いサイトを幾つか知りました。眺めていると、 ホームページもどんどん「質」というか独自コンテンツで競い合う時代になっていて、 ひところ多かったリンク中心のページの比率が低下しているのを感じます。 知的再生産は、単なるコピーでも、パーツの組み合わせでも、出来合いのナビゲーションでもないのは当然なので、 ある意味でまっとうな話なのですが、まあ、つくる方はだから大変、もっと頑張らねばということになるのでしょうか。 少しずつ暑さがやわらいできたので、やる気をとりもどしつつあるこの頃です!
川添裕
- Sunday, August 29, 1999 at 16:00:30 (JST)
最近アスキーから出た「これは便利!ホームページベスト5000」なる本を眺めていたら、 「観る・聴く」というコーナーにこのrakugo.comが紹介されていました。ご存じかと思いますが、一応お知らせします。 ちなみに市村萬次郎さんのページの隣にのってました。
pasukorokke
- Wednesday, August 25, 1999 at 23:24:51 (JST)
pasukorokkeさん、こんにちは。どういう組織というほどのものではないんですが、ひとことでいえば、見世物の総体を歴史文化的に研究し、 またその研究の促進をはかり、興味を持つもの同士の相互交流をはかろうというものです。 現状は任意団体ですが、将来、法人格にするかもしれません。 今やっている二つの書下しの仕事がひと山こえたところで、じっくり考えるつもりですが、小さな通信を出したり、 真面目な研究会など開催できたらいいなと思っています。以上、とりあえず。
川添裕
- Sunday, July 18, 1999 at 01:03:55 (JST)
川添さん、こんにちは。このページをみたら見世物文化研究所と書いてありましたが、これはどんな組織なのですか。見世物についての歴史研究などに取り組んでいるのでしょうか。
pasukorokke
- Saturday, July 10, 1999 at 23:47:30 (JST)
東大出版会の小山さんが書き込んでいる

神田由築『近世の芸能と地域社会』(東大出版会、1999年6月)

は、豊後国浜之市の見世物興行の話などものっていて、見世物研究とも大いに関係のある本です。 また、タイトルにあるように研究対象は地方の話になりますが、 興行に関わったさまざまな集団の実相にふれていて、オリジナルな興味深い仕事です。ちょっと高い本ですが、興味のある方は是非。

1990年代の前半あたりから、神田さんもそうですが、日本史(地方史)の分野で興行に関わる仕事がいくつか出ていて、 竹下喜久男『近世地方芸能興行の研究』(清文堂、1997)、 小林文雄「通り者の世界と地域社会」(『新しい近世史5 民衆世界と正統』、新人物往来社、1996)などが面白いです。 竹下氏は津山の興行を、小林氏は盛岡の興行が取りあげており、三人に共通するのは、興行のシステム・関与者への関心で、 これは新しい視点としてさらなる発展を期待したいです。

芸能研究の視点からすると、1そこでの論じられ方がしばしば「芸不在」である点、2そもそもの「芸能」の定義というか、 地方の無名演者の芸能と、都市の有名花形芸能を、同じ「芸能」という言葉でどこまで括れるのか、3興行師や演者の個性・個別性と、 興行システム・集団性とのバランスをどう考えるのか、などの課題があるようにも思えますが、 逆にいえば、従来の芸能研究の欠を補うものであることは間違いありません。

地方興行と違うところでは、黒田日出男『行列と見世物』(朝日百科・日本の歴史別冊、1994)のイメージ文化論や、 横田則子「近世都市社会と障害者--見世物をめぐって」(『身分的周縁』、部落問題研究所、1994)が面白く、 このお二人は川添論文(「江戸見世物主要興行年表」解説、1991)も引用しています。 最近では、久留島浩「二つの朝比奈」(『浮世絵を読む六 国芳』、朝日新聞社、1997)も着想が面白かったです。 近世史の分野では「困った論文」(余りに間違い多い、オリジナリティがない)も目にしていますが、 ここのところ全体に、刺激される仕事が多い気がしています。 また、さかのぼれば、故・守屋毅さんの大著『近世芸能興行史の研究』(弘文堂、1985)があることはいうまでもありません。 こんなに長々と書いているのは、じつは、見世物研究に関する文献案内の問い合わせがあったからで、それを兼ねているのですが、 あとは下記の二著の解説なども参考にしてください(本格的な文献案内は、今後刊行する自著のどれかに入れていくつもりです)。

復刻版『見世物研究』(思文閣出版、1977)の守屋毅解説
『見世物研究 姉妹篇』(平凡社、1992)の川添裕解説

川添裕
- Wednesday, June 30, 1999 at 17:40:57 (JST)


大友さん、謎のチンさんの正体をお教えいただき、ありがとうございました。 恒例の夏休みの移動(アメリカー日本)の間コンピューターから遠ざかっていて、お礼が遅くなって申し訳ありません。 これからもよろしくお願いいたします。
堤春恵
東京 日本 - Wednesday, June 30, 1999 at 07:22:29 (JST)
演劇/芸能などを調べているうちに、このサイトを見つけました。東京大学出版会で近世の歌舞伎/芸能にかかわる新しい本を刊行 いたしましたので以下にご紹介させていただきたく存じます。山梨県立女子短期大学の神田由築さんの書かれた本です。 以下に目次をご紹介します。
ご購入の方も受けたまわりますので何卒よろしくお願いします。

神田由築 著
『近世の芸能と地域社会』
A5判 416頁 本体価格8500円
ISBN 4−13−026600―4 99年6月24日刊行

本書は芸能社会からみた地域社会の構造の復元や、近世における芸能の「商品化」について考察を試み、 主に瀬戸内海地域の祭礼市や門前町を分析対象として、近世芸能にかかわる多様な社会集団に 注目しながら興行のしくみを解き明かすことを目指している。

〔主要目次〕
序論
第一部 芸能興行と「場」
 第一章 瀬戸内海地域における「場」の形成
 第二章 讃岐国金毘羅大芝居と門前町
 第三章 豊後国浜之市における芸能興行
 第四章 伊予国三島市と地域社会
第二部 芸能興行と集団
 第一章 豊後国杵築若宮市と侠客
 第二章 侠客集団の類型と構造
 第三章 市・村と侠客
 第四章 役者村の芸能集団
結論

小山美和
(財)東京大学出版会 販売部
tel03-3811-8814 fax03-3812-6958

小山美和
東京都 - Tuesday, June 29, 1999 at 09:30:38 (JST)


13日(日)の第36回芸能史研究会大会は、「絵画と芸能史」という流行りのテーマのせいもあり、じつに盛会でした。 山路興造会長の言によれば、はじまって以来の大人数だったそうです。 以前から名前だけ存じあげていた、三原文さん(幕末明治の東西芸能交流史)、田中豊さん(難波新地の地理変遷の分析)といった方々 とお会いできたこと、見世物に関心を持つ若手研究者(今枝久美子さんと、もうお一方=すいません、お名前わからなくなってしまった!)と いろいろ話しができたことも、有益でした。朝倉無声の『見世物研究』に安住するのでなく、 オリジナルな資料で独自の研究をしようとする研究者が何人もいることは、ぼくにとって心強いかぎりです(むろん大変なことですが)。

発表では少し突っ込んで、近世後期には、文芸作品は別として、 見世物興行の引札そのものに「親の因果が子に報い」式の文言をほとんど見ない話もしたのですが、 懇親会の場で何人もの古参(失礼!)の近世文芸研究家から、確かにその通りだと同意していただいたのは、心強かったです。 文芸作品はともあれ、この文句が興行の場で実体化した有力な言説となっていくのは、やはり明治以降の新しい話ですね。

また、三原さんからいただいた論文抜刷「ベネフィット興行に見る演劇的算盤勘定(続)」は抜群に面白く、 真面目に独自の資料調べをしている研究者の新見地は、予定調和のキーワードを連発する文化人や、 安易な二次資料研究者とは異なるパワーに満ちていることを再確認し、これも大いなる力づけとなりました。 大阪芸能懇話会の仲間も含め、みなさんいろいろありがとうございました。
川添裕
- Saturday, June 19, 1999 at 01:14:32 (JST)


pasukorokkeさん、こんばんは。何だかこわいですね。今回の芸能史研究会大会は、全体テーマが絵画資料と芸能史研究で、 ぼくの場合はもちろん見世物絵が素材です。見世物絵の統計的処理なども今回やってみて、ずいぶん面白いことがはっきりわかりました。 そのグラフ資料を部分的にウェブにも公開しましたので、興味のある方はこちらをご覧ください。
川添裕
- Thursday, June 10, 1999 at 01:10:19 (JST)
川添さん、こんにちは。最近の活動という欄をみましたが、芸能史研究会で発表されるのですね。私も参加するつもりでおります。 素晴らしいご発表を期待しています。
pasukorokke
- Monday, June 07, 1999 at 23:00:44 (JST)
大友さん、たくさんの「サポート」ありがとうございます。そうか、そうするとやっぱりチン・リン・フーという名前で いいことになりますね。フーディニとか奇術、魔術というのは、ぼくはちょっと盲点でした。全然、本を読んでいないわけでもないんですが。 あと思ったのは、中国人の活躍ぶりで、19世紀末から20世紀初めの在-欧米-中国人(もちろん変な芸人たち)の 交流史を骨太にやったら、絶対に面白いでしょうね。
川添裕
- Monday, May 10, 1999 at 23:31:38 (JST)
飯島えりこさん、川添さん、おはようございます。油断していたら小生の名前 が出ていたので、あわてて書いています(^_^;)。「海を越えて活躍する若手落 語家」、特に心当たりがないのですが、1997年7月にオクラホマで「国際ユーモ ア学会(ISHS)」というのが開かれて、日本からも「日本笑い学会」の有志が参 加しました。その中に、上方の若手噺家・笑福亭鶴笑さんもいて、一席「天狗 裁き」をやって大爆笑だったそうです。英訳字幕つきの高座だったそうです。 もしかしたら…とも思いますが、マイアミとオクラホマではちょいと見当が違 いますね…。
大友浩
東京都 日本 - Monday, May 10, 1999 at 18:17:17 (JST)
堤春恵さん、川添さん、おはようございます(←ギョーカイ風挨拶)。『東京 かわら版』という寄席演芸情報誌を編集している大友浩と申します。約1年前 の発言に関することで、とっくに解決済みのことかも知れませんが、一応ご報 告しておきます…。先日読んだケネス・シルバーマン『フーディーニ!!!』(高 井宏子・庄司宏子・大田原真澄訳、アスペクト刊、1999年、原書1996年)に、 「チン・リン・フー」という名前が登場しています。

>>その年、ハリー(=フーディーニ)は日の出の勢いのハワード・サ
>>ーストン(一八六九〜一九三六)と、当時の中国人の大スター奇術
>>師チン・リン・フー(カ・チーリン、一八五四〜一九二二?)と共
>>演していた。フーは、破った紙が元通りになるなどの基本的な演目
>>を初めて西洋奇術に導入した人物である。「フーの水差し」は、中
>>が空だと何度確かめてもずっと水が出続ける小さなヤカンのことで
>>ある。ボストンのキース系列最大の劇場で、フーは前人未到の長期
>>契約を果たした。フーを模倣する奇術師は後を絶たず、マーチン・
>>ベック(=フーディーニのマネージャー)は「国中にチン・リン・
>>フーの演目が伝染した」と書いている。(P.43)

面白いのは、フーの模倣者が出ているんですね。

>>(フーディーニは)ニューヨーク生まれのチン・リン・フーの模倣
>>者チャン・リン・スー(ウィリアム・ロビンソン[一八六一〜一九
>>一八])とも知り合いになった。スーも立派に世界で有名になれる
>>資質を持っていた。ずんぐりして筋肉質のスーは中国服を着て、金
>>魚が泳ぐ大きな金魚鉢を出したり、口から煙や火花を吹き出した(
>>その化学物質のせいで、スーはしまいには歯をすっかり失ったそう
>>である)。(P.97)

模倣者であるスーもまた、メジャーなマジシャンだったようで、松田道弘『奇 術のたのしみ』(ちくま文庫)には、スーについて触れたくだりがありました (P.211)。本家も模倣者もメジャーな芸人だったようなので、演劇本ではなく 奇術史の本を調べればすぐに出て来そうな気がしますね。一応ご参考までに。
大友浩
東京都 日本 - Monday, May 10, 1999 at 18:15:44 (JST)


 

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*あまりに不適切と判断した内容の書き込みは、削除させていただきます。