- 2026年以降 『横浜』準備中
「横浜とは何か」の本質を、開港から今日に至る社会文化史として描きます。横浜古写真や絵葉書の図を入れ、入門的要素も盛り込みます。
- 2025年以降 『松旭斎天勝』準備中(ミネルヴァ書房・評伝選シリーズ、書下ろし)
- 2024年夏〜2025年春 落語への感謝をこめて、落語の楽しみ、落語への誘いといった内容の本(岩波新書)を書下ろし
- 2024年9月8日 『日本経済新聞』「美の粋 寄席の生命力 (上) 危機にめげずたくましく復活」(14・15面)に企画協力・コメント、(下)は次週
- 2024年8月 学会誌『文化資源学』22号にて木下直之氏が拙著『江戸にラクダがやって来た』を長文で書評紹介
- 2024年1月1日 今後は書下ろしの本を中心に、大事な仕事を順次早めにまとめていきます
- 2023年10月16日〜19日 愛宕山登山、野崎詣りなど上方落語をめぐる取材旅行
- 2023年9月14日 『落語がつくる〈江戸東京〉』(共著, 田中優子編、「動く江戸東京落語―『黄金餅』から出発して」の章執筆、岩波書店)→目次ほか
- 2023年9月中旬 久しぶりに3度目のシンガポール短期滞在(観光まちづくり、デジタル化でシンガポールはますます進化していました)
写真はチャンギ空港に出来た巨大複合施設ジュエルJewel より(この周囲にショッピング施設やエンタメ施設、飲食施設がある)
- 2023年7月15日 「つながる、ひろがる、見世物の交流世界」が『近世文藝』no.118に掲載(日本近世文学会、シンポ「越境する・交流する」の報告)
- 2023年7月14日 「わたしたちが居る場所は?」(シルクセンターの場所に関するショート講演、シルクセンターSOHO懇親会、横浜ローズホテル)
- 2023年6月10日 「誰もが楽しんだ最大のポピュラー娯楽、見世物」(「江戸庶民の遊びと楽しみ」講演、中山道広重美術館[恵那市])
- 2023年3月 藝能史研究会例会発表「『武江年表』―誤り多き「基本文献」について考える」報告原稿が『藝能史研究』no.240に掲載
- 2023年1月10日 『新・江戸東京研究の世界』(EToS叢書4、共著、「ビジターの都市『江戸』、ビジターの街『両国』」の章を執筆、法政大学出版局)
- 2022年11月11日 「『武江年表』―誤り多き「基本文献」について考える」(藝能史研究会11月例会発表報告、18:00- オンライン)
- 2022年11月5日 シンポ「越境する・交流する―近世演劇を起点として」パネリスト(日本近世文学会2022秋季大会、14:10- 同志社大学)
- 2022年9月16日 『江戸にラクダがやって来た―日本人と異国・自国の形象』(岩波書店)
岩波書店の紹介ページへ 同 試し読みのページへ
→『日本経済新聞』2022年11月12日朝刊に書評紹介
→ サーカス学会会長で漂流史研究の大島幹雄さんが書評紹介
→「見世物興行年表」サイトを運営する樋口保美さんが書評紹介
→『大道芸アジア月報』に上島敏昭さんが書評紹介(リンク先3頁目)
→ 新宿書房社長の村山恒夫さんが上記月報を引用再掲しつつ紹介
→『週刊現代』2022年11月5日号に動物学者の今泉忠明さんが書評紹介
→『AERA』2022年12月19日号に作家・写真家の星野博美さんが書評紹介
→ 小説家で朝日時代小説大賞受賞の木村忠啓さんが書評紹介(ベスト3の2つ目)
→ 寺島実郎の世界を知る力 TokyoMX 2023年2/26放送で紹介(10分17秒辺)
→『文芸年鑑2023』の概観欄で近世文学の佐藤至子さんが昨年成果として紹介
→文化資源学会『文化資源学 22』(2024)で木下直之さんが長文での有難い書評紹介
- 2022年8月2日〜4日 岐阜の垂井、赤坂、御嵩ほかにて現地確認調査(上記ラクダ本のため)
- 2022年7月12日〜14日 広島、山口県岩国、鳥取県倉吉・北栄町ほかにて資料調査・現地確認調査(上記ラクダ本のため)
- 2022年7月5日 栃木県大田原にて現地確認調査(上記ラクダ本のため)
- 2022年7月3日 八王子にて現地確認調査(上記ラクダ本のため)
- 2022年7月2日 茨城県水海道にて現地確認調査(上記ラクダ本のため)
- 2022年6月6日〜9日 愛知県西尾、長野県飯田、大阪にて資料調査・現地確認調査(上記ラクダ本のため)
- 2022年4月11日〜 横浜国立大学都市科学部・非常勤講師出講
- 2022年3月11日 「書けば書くほどうまくなる」(『GLOBAL STUDIES』Vol.1、横浜国立大学都市イノベーション学府都市地域社会専攻)
- 2021年11月23日 「動く江戸東京落語」パネリスト・対談(10:30〜 法政大学江戸東京研究センターシンポ『落語がつくる「江戸東京」』、チラシ)
- 2021年11月7日 『日本経済新聞』「美の粋 曲芸に集う(下) サーカスから歌舞伎生まれる」企画協力・コメント
(前週続き。矢内賢二氏と川添のコメント。歌舞伎は元来が曲芸的・見世物的なもの、群司正勝氏の名論文「『かるわざ』の系譜」を援用した締めがよい)
- 2021年10月31日 『日本経済新聞』「美の粋 曲芸に集う(上) 幕末のスター世界へ飛び出す」(14・15面)企画協力・コメント
(曲芸の浮世絵を特集し、好記事に仕上がっています。最後の川添コメントは「生人形は」→「大造りの細工見世物は」の方が適切です)
- 2021年9月19日 「都市をつくるのは誰か―定住者と流入者・来訪者、それぞれの役割とまなざし」パネリスト
(川添は「『ビジターの街』としての両国」の話。 法政大学江戸東京研究センターシンポ『EToSがつくる新・江戸東京研究の世界』)
- 2021年7月27日〜8月7日 横浜市が市役所2Fで横浜イノベーションIR企画展示(「IR=カジノではない」ことが一目瞭然の模型展示と3/27シンポの動画他)
- 2021年7月12日 第27回横浜経済人会議「過去から未来へ照らし続ける 希望の灯台」パネリスト(配信こちら)
- 2021年7月10日 日本若者協議会「横浜の未来を考える」講演(配信こちら。総合政策とビジターを視野に入れた都市経営の必要、横浜は閉じないで開く等)
- 2021年7月5日 横浜イノベーションIR学生意見交換会(横浜市都市整備局の出前講義。横浜国大都市科学部の学生と自由闊達に意見交換。川添が担当)
- 2021年7月2日〜 笑福亭鶴瓶を17年追ったドキュメンタリー映画『バケモン』 (山根真吾監督)が全国各地で公開中、川添もちょっと出演
(現在の上映館。横浜シネマリンは12/12〜17に再度の上映、下高井戸シネマは2022年1/8〜21に上映。シネマトゥデイ、朝日新聞に記事)
- 2021年6月18日 3月に開催された『都市科学事典』出版記念シンポジウム「トランジション・シティ」の動画が配信公開(川添は最後の閉会挨拶)
- 2021年6月14日〜 横浜国立大学都市科学部・非常勤講師出講
- 2021年5月26日 国立劇場『見世物の精華』展の会期が終了しました(沢山の来場ありがとうございました。国立劇場所蔵 見世物資料図録は継続して販売中)
- 2021年5月14日 『見世物の精華』展が、共同通信社配信で地方新聞各紙に紹介されました(福住廉氏執筆「美術を蘇生させる原点」。5/10北日本新聞ほか)
- 2021年5月12日 『見世物の精華』展が、本日発売の『週刊文春』(5/20号)の「文春美術館」で1頁分を使って紹介されました(木下直之氏の執筆)
- 2021年5月12日 3月27日開催の横浜IRオンラインシンポジウムの録画映像が横浜市により公開されました(横浜市・横浜イノベーションIR公式サイト)
- 2021年5月11日 『見世物の精華』展が、明日5月12日から再開場します
- 2021年4月28日 『見世物の精華』展が紙版の『日本経済新聞』夕刊「文化往来」欄でも紹介されました(「見世物は江戸のテーマパーク」ウェブ版と同)
- 2021年4月26日 国立劇場『見世物の精華』展が、緊急事態宣言のため昨日より5月11日まで臨時休館となります
- 2021年4月15日 サーカス学会報告会(18:00頃〜 オンライン開催、「国立劇場の展示と見世物資料図録について」)
- 2021年4月9日 動画第3弾公開「Withコロナの今このときに、IR誘致を考えるべきなのでしょうか」(横浜市・横浜イノベーションIR公式サイト)
- 2021年4月5日 電子版『日本経済新聞』の「文化往来」にて『見世物の精華』展 紹介・コメント(「江戸のテーマパーク」見世物の世界伝える展覧会)
- 2021年4月5日 『横浜イノベーションIR広報冊子』刊行(全16頁、横浜市、インタビュー「IR誘致は『第二の開国』」が掲載)
- 2021年4月1日 横浜国立大学名誉教授となりました。同時に、シルクセンターの港を望む小さな事務所(川添総合研究所)が本格稼働しました
オフィスから窓外を望む。いただいたパープルのお花を窓辺へ
- 2021年3月31日 横浜国立大学定年退職、都市科学部長退任(横国50年ぶりの新学部である都市科学部は、4年を経て無事に完成年度を終えることができました)
- 2021年3月27日 横浜市「横浜イノベーションIRオンラインシンポジウム」(13:00〜 岸博幸・村上知子・丸田健太郎各氏と川添のパネル)
- 2021年3月25日 都市科学部最初の卒業生を学部長として無事に送り出すことができました(こちらに学生制作の都市科学部卒業パンフ。川添も小文執筆)
- 2021年3月18日 「おいしいコミュニケーション」(『皇學館大学コミュニケーション学会会報 (20周年記念号)』第21号、以前の勤務校です)
- 2021年3月18日 「<さらに詳しく>知ってほしい横浜IRのこと! 専門家にも聞きました」(ネットサイト『RareA レアリア』掲載)
- 2021年3月18日 「横浜IR イメージポスターを横浜駅で展開、27日にはシンポジウム」(『タウンニュース』2001年3月18日号・No.1123に短文コメント)
- 2021年3月15日 『広報よこはま特別号 横浜イノベーションIR』発行(全4頁、横浜市、表紙コメント「横浜は進取の気性があふれる街」掲載)
- 2021年3月13日 「見世物の楽しみ」(国立劇場・展示関連講演会、14:00〜 )
- 2021年3月5日 『都市科学事典』出版記念シンポジウム「トランジション・シティ」(事典は都市科学部編。その後動画配信。川添は閉会挨拶)
- 2021年3月4日 動画公開「大学生などの若者とIRについてお話しする中で、感じていることは何でしょうか」(横浜市・横浜イノベーションIR公式サイト)
- 2021年3月1日 港を望む小さな事務所を開設(本格稼働は4月1日から。3月中は学部長として引き続き毎日、横浜国大へ出勤しています)
- 2021年2月28日 『都市科学事典』刊行(横浜国立大学都市科学部編、「都市における異装・変装」「都市の盛り場と悪所・アングラ」各2頁執筆、春風社)
- 2021年2月22日 動画公開「IRは横浜のイメージに合っているか。なぜ横浜なのか」(横浜市・横浜イノベーションIR公式サイト)
- 2021年2月6日〜5月26日 国立劇場『見世物の精華』展 5月26日まで開催(国立劇場 伝統芸能情報館企画展示、企画監修・解説全点執筆)
→web.archive.orgのキャプチャー記録WayBackMachineへ
- 2021年2月5日 『国立劇場所蔵 見世物資料図録』刊行(樋口保美氏と共同で監修、解題ほか。国立劇場所蔵の見世物資料509点をオールカラーで収録)
→web.archive.orgのキャプチャー記録WayBackMachineへ
- 2020年12月10日頃 「横浜市『自由区』を」(『ベストパートナー』2021年1月号 巻頭エッセイ、浜銀総合研究所。奥付は2021年1月1日)
- 2020年12月1日〜2021年3月21日 国立劇場『見世物の「近代」――開国から明治の時代』展(国立演芸場展示室、企画監修・パネル執筆)
→美術手帖による紹介記事 演芸資料展 見世物の「近代」―開国から明治の時代 へ
- 2020年11月16日
横浜イノベーションIR学生意見交換会(オンライン開催、横浜市都市整備局×横浜国立大学都市科学部)
- 2020年8月1日
都市科学部オンライン・オープンキャンパス
- 2020年6月30日
ロング書評・岸川雅範著『江戸天下祭の研究―近世近代における神田祭の持続と変容』(『文化資源学』No.18、文化資源学会)
- 2020年6月13日
「ペリー来航とクジラ」(講演概要の活字化。『横浜と鯨・開港ものがたり』NPO海のくに・日本)
- 2020年5月7日
遠隔授業がスタート(その後2週間が過ぎ、幸い学部全体としては大きな問題なく進んでいます。私個人は毎日の出勤を継続しています。5月22日追記)
- 2020年4月1日
横浜国立大学勤務が最後の1年に(都市科学部長としてもあと1年。コロナ状況に立ち向かいつつ、できるだけポジティブに、つとめを果たしていきます)
- 2020年3月31日
『「もっと横浜」プロジェクト成果報告書2019-2020』(横浜国立大学「もっと横浜」プロジェクト)
「もっと横浜」プロジェクトの成果報告書がまとまりました。A4判全104頁でこれまでの最大の頁数ですが、この形式での冊子は今回が最後になると思います。今回は特集として「『共生の街』横浜、『ビジターの都市』横浜」を掲げています。NPO法人在日外国人教育生活相談センター・信愛塾(竹川真理子氏、福島周氏)によるレクチャー「外国につながる子どもたち」、小ヶ谷千穂・フェリス女学院大学教授によるレクチャー「在日フィリピン人コミュニティの特徴と、『外国につながる子ども・若者』とどう向き合うか」、信愛塾塾生と横浜国大生との交流イベント報告がいわば第1特集で、これに、スタジオの学生たちがアイデアを出し合った「インバウンド『コト消費』プラン集」と、川添による「なぜ今、『ビジター共生の都市』横浜なのか」のスライド紹介が加わっています。なお昨年来、注目度が高いので過去6年分の山下公園社会調査(横浜に関わる社会調査)の集計・分析もすべて再録しています。 ※本成果報告書は、横浜市立中央図書館をはじめ横浜市の各区図書館、国立国会図書館、神奈川県立図書館に収蔵されています。
- 2020年3月20日
『感覚の天使たちへ』Hommage(『去来の弦にふれる―今福龍太全著作目録1982-2020』Gato Azul)
友人の今福龍太さんが東京外国語大学での勤めを終え、それを機に幾つかのおしゃれな小冊子がつくられました。その1冊である『去来の弦にふれる』に、彼の旧著『感覚の天使たちへ』(平凡社)に対するオマージュ小文を執筆しました。この本には「風の巡礼」というエッセイが収録されているのですが、もともと『マリ・クレール』誌に掲載されたもので、それと出会った1980年代半ば頃の思い出や、メキシコのエスノドラマ工房をめぐるそのエッセイの、人間の身体感覚の根源的な力を気づかせ、五感を揉みほぐしてくれるような素晴らしさについて記しています。
- 2020年3月13日
「横浜は第二の開国を―なぜ今、『ビジターの都市』横浜なのか」(講演の編集採録、『神奈川新聞』11面全面)
第1回横浜 統合型リゾート産業展でやった特別講演の内容が、『神奈川新聞』の11面全面で掲載されました(PRの頁)。しゃべったものを整理して原稿として書き直し論点をシャープにしています。歴史の過程で都市にひとが集中し、今後も国際移動を加えながらさらに集中していくという流れは、新型コロナによる減速はあっても、大きく変わることはありません。(記事にはそこまで記していませんが)それは人類文明史のなかの最大の流れの一つといってよく、ペストや天然痘や麦角菌中毒やコレラや結核やスペイン風邪の流行などを経ても、あまり変わることはありませんでした。むろん、一種の「修正」は必要で、今後、地球規模での種々の「修正」を加え、先端的なシステムも用いながら、徐々にではありますが流れは復活していきます。そうしたなかで、国際港都・横浜が横浜ならではの未来を切り拓くためには、やはりIR(統合型リゾート)の誘致が必須と考えています。それによって横浜のさまざまな構造的都市改革を具体的に構想することが可能になり、いわば「第二の開国」により、さらなる未来が開けていきます。新型コロナ状況に関する言説の場合もそうですが、細部のみを偏ったかたちで微視的にとりあげて感情的な物言いをするのは駄目で、巨視的、歴史的、総合的な視点から状況の全体を見つめ、横浜の未来に向けた構造的な都市改革を進めていく必要があります。横浜市は状況を真摯に説明しており、その政策は間違っていないと思います。
- 2020年1月30日
第1回横浜 統合型リゾート産業展・特別講演なぜ今、「ビジターの都市」横浜なのかーインバウンド・ビジネス客・多文化ルーツの力(パシフィコ横浜)
パシフィコ横浜で開催の横浜 統合型リゾート産業展にて「なぜ今、『ビジターの都市』横浜なのかーインバウンド・ビジネス客・多文化ルーツの力」のタイトルのもと、特別講演をおこないました。昨年夏の横浜経済人会議ではあまりにも時間が短くて話しきれませんでしたが、今回はたっぷり時間をいただいたので、「もっと横浜」プロジェクトでのIRをめぐる従来からの調査動向、「ビジターの都市」という今後の日本の大都市を考える際のキーワード、また、横浜の未来へ向けての根底からの都市改革の必要性とそのなかでのIRの位置づけについて、考えるところを十分に話をすることができました。
- 2019年12月24日
籔内佐斗司氏講演会「伝世古 古きものを新しきものへ」(横浜国立大学都市科学部+校友会)
都市科学部と校友会が提携するかたちで、「伝世古 古きものを新しきものへ」の講演会をおこないました。講師は、彫刻家で「せんとくん」の作者としても知られる籔内佐斗司氏(東京藝術大学副学長、文化財保存学保存修復研究室)で、日本人が古いものを残したまま新しいものを受け容れ、絶妙に融合して発展させる叡智を持つことを、さまざまな日本文化の事例からお話しいただきました。今後の日本や未来の都市を考える際、たんに新しいものだけに目を向けるのではなく、古きものを新しきものへと継承発展させていく視点の重要性を教えてくれました。
- 2019年12月16日
羽沢横浜国大駅開設記念イベント「成長する駅、発展する駅」(横浜国立大学都市科学部)
2019年11月30日の羽沢横浜国大駅の開設を記念し、都市科学部の主催で「成長する駅、発展する駅」の講演会をおこないました。川添が司会をするかたちで、相模鉄道専務の古瀬円氏に相鉄の歴史をはじめ新線・新駅の経緯と背景などについてまずお話しいただき、続けて中村文彦・都市基盤学科教授が駅とまちづくりの関係性や、駅に「溜まり」をつくることの重要性などについて話をしました。都市科学部の教育・研究がそうした駅とまちづくりにどのように貢献できるのかを考える良き機会ともなりました。
- 2019年12月14日
NPO法人在日外国人教育生活相談センター・信愛塾 × 横浜国立大学都市科学部 「大学への誘い」交流イベント(「もっと横浜」プロジェクト)
NPO法人在日外国人教育生活相談センター・信愛塾の生徒たち(中学生・高校生)10名が横浜国大を訪れ、都市科学部都市社会共生学科の学生たち(江原・川添スタジオ2年生)と104スタジオで交流イベントをおこないました。「大学への誘い」のテーマのもと、「大学での学び」「大学での生活」「大学受験や勉強」の区分で班に分かれて、自由なかたちでの質問や話し合いなどをしました。双方にとって得るところのある、意義あるイベントになったと思います。
- 2019年9月29日
大さん橋マルシェ「クジラ・トークセッション」(10:30- 映画『荒い海』、13:30- 川添トーク「ペリー来航とクジラ」他、共に無料。こちら)
約30年ぶりに商業捕鯨が再開となったことをきっかけとして横浜大さん橋でおこなわれたクジラ・トークセッション(NPO海のくに・日本/ウーマンズフォーラム魚主催)で、横浜の開港はアメリカでかつて盛んにおこなわれていた捕鯨と密接に関わりがあることを、「ペリー来航とクジラ」のタイトルのもと数多くの日本近海への捕鯨船来航の歴史事例を示して話をしました。
- 2019年9月28日
法政大学江戸東京研究センター「美術という見世物 江戸から東京へ」(木下直之氏+川添裕、14:00- 、法政大学。ここにチラシ)
幕末から明治に西洋から美術が輸入されると、庶民をひきつけていた見世物小屋で美術(油絵や彫像等)が展示されるとともに、美術館や美術学校も作られて新たに「美術の枠組」が形成されていった。それは日本と西洋の文化をめぐる葛藤のプロセスであり、今回はそれを盛り場や名所の変遷という場所の視点からとりあげて、川添が「見世物の名所 両国の変容」のテーマで、また木下氏が「美術の名所 浅草から上野へ」のテーマで考察・検討し、見世物と美術の場として変遷する江戸東京の歴史を総合的に描き出した。なお、本イベントのタイトルは、木下直之氏の名著『美術という見世物』(平凡社、1993、サントリー学芸賞受賞。のち、ちくま学芸文庫および講談社学術文庫収録)に由来するもので、同書は川添がかつて編集者として関わったもので木下氏の処女作。
- 2019年9月中旬
ポルトガル短期滞在(リスボン・エヴォラ・アヴェイロ他、パルケ・ダス・ナソンイス地区調査など)
9月中旬に今年もポルトガルへ行き、今回はリスボンを足場にエヴォラ大学とローマ遺跡のある街エヴォラ、運河が走る親水空間の街アヴェイロほかを訪ねました。また、リスボンのCasino Lisboa周辺(パルケ・ダス・ナソンイス地区、国際公園地区)を改めて実地調査し、大勢の子どもが集う水族館 Oceanario de Lisboa、最新のショップが並ぶヴァスコ・ダ・ガマ・ショッピングセンター、ピクニックを楽しむ母子、ジョギングをする人びと、ミーティングをする大学生、ハンモックでくつろぐ人びと、オフィスビル、レストラン、国際見本市会場、川辺のロープウェイ、マリーナと、誰が見ても平和な様子を確認しました。ここは1998年開催のリスボン万博跡地であり、全体がテージョ川辺のとても気持ちが良い親水空間で、リスボンっ子の憩いの場になっています。
左-運河の街アヴェイロのクルーズ、左中-アルファマの猫、右中-エヴォラ大学構内、右-若い女性が「歩きスマホ」で行く昼のCasino Lisboa前、うしろにはランチに向かうビジネスマン
- 2019年9月1日
台東区文化芸術広報誌『台東鳥瞰』第3号 長屋特集刊行(監修)
東京都台東区の文化芸術広報誌である『台東鳥瞰』第3号が刊行されました。この号は川添が全体の監修者で「台東区に息づく、長屋のいま」という特集です。昔の長屋の話と、現在の長屋(あるいは長屋的な暮らし方、長屋的なライフスタイル)の再生・活用といった中味になっています。冊子版のほか、たいとう文化マルシェのサイトからPDF版をダウンロードできます。
- 2019年8月23日
第25回横浜経済人会議 「横浜にIRを誘致するために」パネリスト(横浜青年会議所主催、みなとみらい・はまぎんホール ヴィアマーレ、18:00- )
前日の8月22日に林文子横浜市長によるIR誘致表明があり、大いに注目を浴びるパネルとなりました。テレビ各局のカメラが入り、『朝日新聞』『読売新聞』『日本経済新聞』『東京新聞』ほかほぼ全紙において翌日の記事になりました。川添は淡々と、「もっと横浜」プロジェクトの山下公園での社会調査(市外居住者・市内居住者の両方が対象)においてはIR肯定派が年々増えていて、昨2018年10月調査ではIR肯定派が約72%(市民に限定するとIR肯定派は約64%)である事実を示しました。反対が多い年代は60代、70代のみで、10代から40代は8割超が賛成です。こうした客観的事実が見えにくくなっている状況は、大変困ったことだと思っています。ちなみに『朝日新聞』では、「横浜国立大大学院の川添裕教授は、昨年までの4年間、毎年IR誘致に関する市民の意識を調査した結果を紹介。年々肯定的な意見が増えていることに触れ、『横浜は元々ビジターの刺激によって出来上がった町。危機的状況の中で、IRを超えるキラーコンテンツはない』とした」との記事になっています。ずっと考えていることは、危機的状況にある横浜(これが見えていないひとが意外と多い)が生き残る道は「『ビジターの都市』としての活性化」「共生の街、横浜」「vibrant city」といった一群のスケールの大きい政策であり、その点に関する当日使用したスライドのうちの2頁分を参考までに掲載しておきます(スライドなので要点のみ記しています)。
- 2019年8月5日
横浜国立大学公開講座・高校生(プレ・カレッジ)向け「都市科学入門」(9:00- 、横浜国立大学都市科学部講義棟101)
本公開講座は都市科学部で何を学べるのか、その実際の講義にふれてもらうことを目的としたもので、今回は九州や京都など地方からの参加者も含め111名の参加がありました。はじめに川添が都市科学部の特徴と目指すところを説明し、その後、4学科の各先生による講義(細田暁「土木工学とは、日本の国づくり」、齊藤麻人「グローバル化と都市社会研究」、大野敏「建築の歴史から横浜を見る」、山本伸次「地球システムにおける人間圏」)がおこなわれました。
- 2019年7月13日
横浜国立大学 第3回都市科学部シンポジウム「都市の親水空間を考える」(陣内秀信氏の基調講演、川添のミニ講演及びパネル 10:00- 、経済学部講義棟2-111)
シンポジウムの第一部ではまず陣内秀信氏が「都市の親水空間を考える」の基調講演をおこない、ヴェネツィアや江戸東京を主たる素材として、世界の都市が水辺と密接に結びつくかたちで歴史的に発展し、近代化の時代にときにそれが失われたものの、いま再び水辺が注目され、どのように親水空間を作るかが都市の重要なテーマであることが語られました。続いて、川添が「川辺と河原の芝居小屋」の題でミニ講演をおこない、日本の歌舞伎や見世物などの芸能は川辺と河原で形成されたのであり、日本の都市ではしばしば水辺の空間が盛り場となったことを指摘しました。さらに第二部では、都市科学部教員(寺田真理子、榑沼範久、守田正志、鈴木崇之、菊池知彦の各先生)によるパネルをおこない、親水空間について多様な角度から、陣内氏を交えての活発な議論がおこなわれました。
- 2019年7月11日
講演「力持の流行と神田明神の力石」(神田明神 EDOCCOスタジオ・江戸東京文化講座 10:30- )
神田明神に置かれた力石とは、そもそもどのような存在なのか。力石は、古い民俗では霊的なものであったが,近世後期の江戸ではもっぱら力試しに用いられるようになり、とくに文政期には力石を持ち上げる「力持」が大流行して見世物興行となり、大坂や名古屋への巡業までおこなわれた。そこでは力石だけでなく酒樽や米俵なども持ち上げたが、それは物資が集積する下町の枢要な生業と関わるものであり、文政五年の記銘がある神田明神の力石もまた、そうした下町の社会背景と時代背景のもとに存在するものなのである。
- 2019年7月10日
IR (統合型リゾート)検討調査 学生意見交換会(横浜市政策局×横浜国立大学都市科学部、「もっと」横浜プロジェクト企画協力。附属図書館メディアホール、川添挨拶)
横浜市政策局と横浜国立大学都市科学部が共同開催するかたちで、現時点でのIR (統合型リゾート)に関する情報を幅広く共有し、また同時に横浜市の観光や財政に関する現況を把握しつつ、それらについて自由闊達に学生たちが意見交換をする機会を設けました。IRに関し、たんに賛成・反対を声高に言い合うのではない、横浜の将来をめぐる冷静な深めた議論と意見交換ができたのではないかと思います。
- 2019年7月10日
『日本人形玩具大辞典』(「生人形」の大項目を執筆、日本人形玩具学会編、東京堂出版)
1968年刊行の『日本人形玩具辞典』(斎藤良輔編、東京堂出版)以来、じつに半世紀ぶりに出版されたこの分野の大辞典であり、新しい領域(アニメのキャラクター、フィギュア、ロボットなど)をも網羅したもの。吉徳の小林すみ江氏が代表をつとめる日本人形玩具学会が総力をあげて編集、執筆し完成させた。川添自身はこの学会の会員ではないが、依頼をうけて「生人形」の大項目を執筆。 Amazonへ
- 2019年6月29日〜30日
福島県・浪江町及び富岡町ほか訪問取材
横浜国大で同僚の高橋弘司先生の福島訪問取材(学生同道)に加わりました。浪江町では昨年から試験操業が始まった請戸漁港の漁業関係者の方々からお話しを伺い、まだまだ厳しい状況を実感しました。また、富岡町ではかつて黒毛和牛の肥育を手がけていた方からお話を伺い、2011年3月から6月の詳細な被災の状況を知り、また近々、取り壊しとなるご自宅及び牛舎を実地に拝見させていただきました。周辺には依然、帰宅困難区域も残っています。
- 2019年6月22日、26日
横浜シティツアー(横浜国立大学 川添ゼミ・スタジオで2コース実施)
学生たちと恒例のシティツアー、街歩きをおこないました。2年生とはGIベイビーが眠るとされる根岸外国人墓地から始め、根岸競馬場跡、根岸米軍住宅、八幡町・中村町、横浜橋商店街・真金町、黄金町の「裏横浜」シティツアーを(同僚の江原由美子先生とご一緒に)、3、4年生とは同じく根岸外国人墓地から始めて、外交官の家・ブラフ18番館、山手公園、妙香寺、キリン公園、エリスマン邸、山手80番館跡、元町公園の横浜「はじまり」シティツアーをおこないました。
-
2019年4月1日
横浜国立大学都市科学部長
4月から横浜国立大学都市科学部長をつとめることになりました。まだ「完成年度前」の新設学部でいろいろ課題はありますが、フロンティア・スピリットをもって2年後の「完成年度」へと導き、また同時に、都市科学部らしい研究教育活動を横浜及び江戸・東京をフィールドに、自身でもさらに展開していきたいと思います。
- 2019年3月31日
『「もっと横浜」プロジェクト成果報告書2018-2019』(横浜国立大学)
「もっと横浜」プロジェクトの成果報告書がまとまりました(A4判全96頁)。昨年10月に山下公園でおこなった社会調査「横浜の今と未来を見つめる」の集計・分析と、小泉雅生氏の講演「寿町の真ん中をどうつくるのか」の概要、寿日雇労働者組合・近藤昇さんの話を聞いての学生たちの感想、新倉久乃氏のレクチャー「外国人女性支援から見直す私たちのコミュニティ」の概要などを掲載しています。今回の社会調査では「IR肯定派」がさらに増加し、60代以外の各年代で肯定的意見が過半数を占める結果となっており、また一般に、横浜がIR候補地としてふさわしい場所と人びとに意識されていることが読み取れます。私たちの調査は、調査当日にたまたま山下公園にいた文字通りの不特定多数に対しておこなっており、客観性のある調査として貴重なものと考えています。なお、本報告書には先立つ5年分の社会調査の集計・分析も収録しています。
- 2019年1月31日-3月10日
「江戸の園芸熱ー浮世絵に見る庶民の草花愛」展(出展協力。たばこと塩の博物館 特別展)
たばこと塩の博物館の特別展『江戸の園芸熱』で出展(浮世絵作品出展)に協力しました。全体はかなりよく出来た展覧会で見所も多く、たくさんの入場者で賑わっていました。とくにこの方面の秀れた研究者である平野恵さんの所蔵品に感動しました。
- 2019年1月11日
「今年の執筆予定」(『出版ニュース』2019年1月上・中旬号、出版ニュース社)
『出版ニュース』誌が2019年3月下旬号をもって休刊とのことで、寂しいかぎり。今回は編集者時代からいろいろお世話になったことや、「書きたいテーマ・出したい本」のコーナーなどで書かせてもらったことを記し、『江戸にラクダがやって来た』(岩波書店)、『松旭斎天勝』(ミネルヴァ書房・評伝選シリーズ)、『横浜』(岩波新書)などの執筆予定にふれている。
- 2018年12月7日-2019年2月28日
「木下直之全集ー近くても遠い場所へ」展(出展協力。ギャラリーエークワッドにて開催中)
木下直之さんの今春3月の東大定年退官に向け、ひとつの締めくくりとしておこなわれる展覧会に出展協力しました。すでにネット上では1年間かけて『木下直之を全ぶ集める』展がおこなわれていましたが、今回は現物とパネル構成などによって「つくりものの世界」「戦争の記憶」「作品の登場」「都市とモニュメント」「ヌードとはだか」などの木下ワールドがつくりあげられています。ギャラリーエークワッドは地下鉄東陽町駅近くの竹中工務店東京本店1Fです。
- 2018年11月7日
小泉雅生氏講演会「象の鼻テラスで 寿町を考える―寿町の真ん中をどうつくるのか」(「もっと横浜」プロジェクト講演会、象の鼻テラス18:30- )
講演を中心とした継続イベント「象の鼻テラスで考える」シリーズをスタート。その第1弾として「寿町の真ん中をどうつくるのか」の講演会をおこないました。 横浜最大のドヤ街である寿町で現在、建設が進む寿町福祉会館(仮称)及び寿町住宅。その設計者である小泉雅生氏が、建築家として考えたその空間について、個人と公との共生や社会的包摂の視点から語りました。
- 2018年10月16日
「江戸の盛り場・両国は、信仰と遊びが共存した空間だった」(『歴史REAL 大江戸の都市力』洋泉社。奥付11月16日)
法政大学江戸東京研究センターの企画協力でつくられた大判書籍で、「大江戸の都市力」をテーマに構成、図版も豊富でわかりやすい内容になっています。川添は江戸の都市力として「盛り場」を担当し、今回は両国に焦点を当て「江戸の盛り場・両国は、信仰と遊びが共存した空間だった」を執筆しています。田中優子氏の吉原遊郭論や陣内秀信氏の水都論のほか、藤森照信氏、横山泰子氏、高村雅彦氏、小林ふみ子氏、皆川典久氏ほかが執筆しています。 Amazonへ
- 2018年10月12日
祝! マリーズ・コンデさんにニュー・アカデミー文学賞(ノーベル文学賞の代替賞)
平凡社時代の最後に「新しい世界文学シリーズ」中の一冊として編集出版した『生命の樹―あるカリブの家系の物語』(管啓次郎訳、1998)の著者マリーズ・コンデさんが、ニュー・アカデミー文学賞(ノーベル文学賞の代替賞)を受賞しました。何とも素晴らしいことです。当時の管さんによる訳者あとがきと、今福龍太さんによる来日時の札幌大学でのセッションのまとめが、今もカフェ・クレオールで読めます。朝日新聞や日本経済新聞などメディアの取材にご一緒したり、コンデさん夫妻とともに東京から札幌へ行ったりした、20年前の初来日が懐かしく思い出されます。
- 2018年10月4日
「もっと横浜」プロジェクト・山下公園社会調査「横浜の今と未来を見つめる」
7月末に台風で中止となった山下公園での社会調査「横浜の今と未来を見つめる」を実施することができました。今回も観光誘致、ビジター誘致が中心の内容で、初の平日の実施となりましたが、総勢43名のチームで455名の多くの方々から回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。集計結果や分析は報告書等で追って公表の予定です。
- 2018年9月中旬
ポルトガル滞在(リスボン・ポルト・コインブラ他、15〜18世紀対外交流史調査)
昨年9月に続いてこの9月もポルトガルへ行き、今回はリスボンからポルト、コインブラへ足を延ばしました。大航海時代の対外侵出にまつわる栄華と遺産、その歴史的痕跡に各地でたっぷり接することができました。ヨーロッパ最古の大学のひとつであるコインブラ大学では、その壮大華麗さに驚倒し打ちのめされました。今回の旅の幸運はリスボンで開催中の大道芸イベント Chapeus na Rua 2018 に夕暮れどきのLargo do Intendenteで遭遇したことで、とくにスペイン出身の CUL DE SAC のパフォーマンスに魅かれました。
左-ポルトのドウロ河畔、中-コインブラ大学のラテン回廊、右-リスボンでのChapeus na Rua 2018のポスター
- 2018年9月初
「落語:仲間意識の中で「共創造」された大衆芸能」(『江戸帖 2019』江戸美学研究会)
世の中には江戸好きのための『江戸帖』なる手帳が存在し、江戸美学研究会が発行しています。その『江戸帖 2019』で、川添へのインタビュー取材のかたちで落語をテーマにした見開き2頁がつくられました。他の読み物のほか、暦部分にも江戸の生活意識、美意識とともに暮らすための基本情報、ミニ知識が盛り込まれており、なかなか楽しい手帳です。
- 2018年8月15日
「江戸東京学」国内外から注目 持続可能な都市モデル ■法大、横国大が研究(『産経新聞』学ナビ欄、取材コメント)
『産経新聞』の「学ナビ」コーナーで取材をうけ、コメント等が掲載されました。テーマは江戸東京学で、2020年東京オリピックに向かって明らかに最近、江戸東京ネタが注目されており、また法政大学での江戸東京研究センターの発足もあり、そんなことを背景にしての取材でした。全体としては、江戸東京から学べる持続可能な都市モデルが主要な話題であり、川添は長屋に着目して、行き過ぎた近代的個人主義(行き詰まった西洋的個人主義)へのアンチとしての「長屋的共生モデル」の可能性を説いています。この長屋モデルは、今後の多文化共生のシェアハウスなどにも通じ得るものと考えています。
- 2018年8月1日
横浜国立大学公開講座「都市科学入門」(「偉大なる周縁としての横浜」担当。9:30-10:30、横浜国立大学教育文化ホール)
高校生に向けた公開講座(1日5連続講義)のなかで、横浜という街の根本的なアイデンティティを示すかたちで「偉大なる周縁としての横浜」の話をしました。「偉大なる周縁」は魅力的な先端になり得るという、歴史上しばしば見られる真実は横浜において有効であり、当初は江戸の「身代わり」として開港され、戦後の接収でも多大な犠牲を払った横浜が、「周縁」から裏返って、いかに国際性・開放性・異色性のコアとなっていったかを、具体的に話をしました。
- 2018年7月28日
「もっと横浜」プロジェクト山下公園社会調査「横浜の今と未来を見つめる」 台風のため中止
- 2018年7月21日
横浜国立大学 第2回都市科学部シンポジウム「ヨコハマを都市科学する」(小林一美横浜市副市長、江原由美子氏他。川添はパネルコーディネーター)
昨年の都市科学部発足をきっかけに開催されるようになったシンポジウムの第2回目。今回のテーマは「ヨコハマを都市科学する」で、小林一美横浜市副市長の講演と、パネル討論がおこなわれた。川添はパネル(小林氏、江原由美子氏、中村文彦氏、小池文人氏、野原卓氏)のコーディネーターをするとともに、自身ではこの間、提唱している横浜における「ビジターの都市としての活性化」の必要について話をした。
- 2018年7月14日
「江戸の庶民と見世物」(国際日本文化研究センター基幹研究「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」発表)
日文研の基幹研究「大衆文化の通時的・国際的研究による新しい日本像の創出」の近世班(小松和彦班)で、「江戸の庶民と見世物」のタイトルで研究発表をおこないました。庶民通有の娯楽として存在した江戸後期の見世物が、当時の大衆メディア(浮世絵、摺物、戯作、春本など)や他の庶民芸能(歌舞伎、落語、祭礼芸能など)を巻き込みながら、どのようにして社会のなかで「メディアミックス」的な広がりをみせ、「都市的流行現象」「大衆流行現象」となっていくのかのメカニズムについて発表しました。
- 2018年6月30日〜7月1日
福島県・浪江町 訪問取材
横国で同僚の高橋弘司先生(毎日新聞出身)が学生たちを連れて継続的にやっている、東日本大震災の被災地、浪江町の訪問取材に加わりました。同町は福島第一原発の影響による線量の高い帰宅困難地域を抱えていますが、太平洋に面した請戸漁港では7年ぶりに試験操業がおこなわれており、その展望と風評被害のなかの苦しさなどにつき、漁業関係者の方々からお話を伺いました。
- 2018年6月23日及び7月11日
シティツアー:根岸米軍住宅へ、そして中村町、横浜橋・真金町、黄金町へ(横浜国立大学 川添スタジオ・ゼミ)
多文化共生をベースのテーマにしつつ、学生たちが通常では足を運ばない場所に今年も足を運びました。最終的な返還になかなか至らぬ根岸米軍住宅と、近年、外国人の流入が著しい横浜橋を中心としたエリアです。今年は教育人間科学部と都市科学部の学生たちそれぞれ別々におこなったので、川添は10キロ超を二度歩くことになりました。都市科学部の学生たちとは、中村町にある在日外国人教育生活相談センター・信愛塾にも別途、お話を伺いに訪問しています。
- 2018年4月1日
法政大学 江戸東京研究センター 客員研究員(教授)、兼任
法政大学が私立大学研究ブランディング事業に採択され、江戸東京研究センターが発足しました。これは田中優子総長や陣内秀信先生ほか(江戸文化研究の分野では古くは近藤忠義、廣末保、松田修といった名前も想起されます)、江戸東京研究の蓄積をさらに発展させて法政大学のひとつのブランドにしようというもの。そこに客員研究員として参加することになりました。「江戸東京のユニークさ」プロジェクトの担当です。
- 2018年3月31日
『「もっと横浜」プロジェクト成果報告書2017-2018』(横浜国立大学)
「もっと横浜」プロジェクトの成果報告書がまとまりました。昨夏に山下公園でおこなった社会調査「横浜をよりよいまちにするために」の集計・分析と、橋爪紳也氏の講演「大阪の街はどうなっていくのかーー都心再生、エリアマネジメント、そして万博へ向けて」の概要、同氏インタビューを掲載しています。今回の調査では初めて「IR賛成+どちらかといえば賛成」が「IR反対+どちらかといえば反対」を上回る結果となっており、「潮目」の変化が読み取れます。なお、本報告書には先立つ4年分の社会調査の集計・分析も収録し、橋爪氏の講演内容も踏まえ、全体を「『ビジターの都市』としての活性化に向けて」と、特集風の名づけをおこなっています。
- 2018年3月4日
江戸の祭礼と芸能「回向院―開帳の見世物と芸能」(講演・パフォーマンス・座談会・1日だけの展覧会、於:両国回向院)
これまで継続してきた文化庁の江戸文化遺産事業のなかで、今回は初めて両国回向院を舞台にして、回向院の本多将敬さん、浅草雑芸団の上島敏昭さんほかの御一統、木下直之さんらとともに、講演・パフォーマンス・座談会・1日だけの展覧会の複合イベントをおこないました(監修・企画構成は古井戸秀夫さんと川添)。とくに善光寺・阿弥陀如来の出開帳と、そのもどきとしての「とんだ霊宝」の見世物を出発点にして、いかに回向院が信仰と遊楽一体の興味深くダイナミックな文化の場であったかを様々に再現しました。回向院の念仏堂という絶好の場で、こうした試みを実現できたことを率直にうれしく思っています。
- 2018年2月14日
「もっと横浜」プロジェクト―「ビジターの都市」とIRの話題を中心に(横浜国立大学地域連携推進機構シンポ、於・横浜情報文化センター)
地域連携推進機構で、大学がヨコハマ、かながわ地域とともに未来へと共生・共創していくための新たな試み「Next Urban Lab」が立ち上がり、わが「もっと横浜」プロジェクトもそこに参加して最初のシンポジウムがおこなわれました。川添は、人口減社会における「ビジターの都市」という視点の重要性をとりあげ、山下公園での社会調査の動向を下敷きにしつつIR(統合型リゾート)の可能性についてふれました。
- 2018年1月7日
「『結びの神』は生人形――木下直之『美術という見世物』」(『木下直之を全ぶ集める』展、ギャラリーエークワッド)
ギャラリーエークワッド(竹中工務店東京本店1F)では、木下直之さんの来年3月東大定年退官に向けての企画が進行中。それに先駆けて、ネット上で『木下直之を全ぶ集める』展がおこなわれており、彼のデビュー作である『美術という見世物』(平凡社。川添が編集者)にまつわる思い出のエッセイを記しました。木下さんとのつきあいも、何ともう28年。あの独特のしつこく興味本位な印象はまったく変わらず、素晴らしいなと思います。
- 2018年1月上旬
「今年の執筆予定」(『出版ニュース』2018年1月上・中旬号、出版ニュース社)
『出版ニュース』誌恒例の「今年の執筆予定」コーナー。今年でちょうど編集者生活20年、執筆者・大学教員生活20年になり、執筆者として自己評価があまりできない我が身を愁いつつ、長らく懸案の岩波書店『江戸にラクダがやって来た』『横浜』、ミネルヴァ書房『松旭斎天勝』ほかにふれています。
- 2017年12月20日
橋爪紳也氏講演会「大阪の街はどうなっていくのかー都心再生、エリアマネジメント、そして万博へ向けて」(「もっと横浜」プロジェクト、横浜国大図書館メディアホール14:40- )
大阪万博誘致などで多忙をきわめる橋爪紳也さんに、「もっと横浜」プロジェクトとして二度目の横国での講演をお願いしました。大阪を主たる話題としながら、日本の大都市の未来のためにいま何が必要なのかを、とくに「ビジターの都市」「集客都市」「楽しみの都市」の視点から語ってもらいました。多くの学生・院生への良き刺激となったはずです。
- 2017年12月19日
『毎日新聞』朝刊コラム「余録」で『江戸の見世物』(岩波新書)がとりあげられる
上野動物園のパンダ「シャンシャン」の話題とからめて、拙著『江戸の見世物』(岩波新書)の第三章「珍しい動物のご利益」に記す、動物を見る「眼福」、動物を見る「ご利益」の話が、朝刊コラム「余録」でとりあげられました。『毎日新聞』では2000年刊行時の渡辺保氏の書評をはじめ4度とりあげられており、有り難いことと思っています。
- 2017年12月12日
『東京大学新聞』12月12日号で古典落語や江戸庶民の生活についてインタビュー・コメント
芸能の「笑い」を特集した号で、古典落語や江戸庶民の生活についてインタビュー取材を受け、『東京大学新聞』2017年12月12日号(2827号)に掲載されました。江戸の長屋の庶民の生活がいかに落語に反映し、その感覚や情感が長編人情噺を展開させたことなどを語っています。
- 2017年10月2日
日本セカンドライフ協会講演『二百年前の浅草・両国を、江戸のご隠居と遊ぶ』(JASS東京イベント会場、明大前、15:00- )
二百年前の浅草・両国を、元気いっぱいに遊び歩いた十方庵敬順というご隠居の姿から、江戸の盛り場の実態とご隠居のあり方を再現。川添の定番ネタでの講演です。
- 2017年9月中旬
ポルトガル滞在(15〜18世紀交渉史調査)
短期間ですがポルトガルに滞在し、リスボンを中心に15〜18世紀交渉史の実地調査をしました。海外からの莫大な富の集積を背景につくられた修道院・教会と美術館・博物館等での展示や所蔵品を見ていると、以後500年に及ぶ世界のヨーロッパ化の「収奪的性格」というものに、どうしても思いが至ります。ユーラシア大陸最西端のロカ岬まで足を延ばしたり、Caixa Alfama '17というファド・イベントに遭遇して夜のアルファマ中でファドを楽しめたりしたのは、旅の幸運でした。
左-ジェロニモス修道院、中-’発見の塔’のザビエル(サンロケ教会にもザビエル礼拝堂あり)、右-Caixa Alfamaチラシと参加証のリボン(下)
- 2016年7月29日
社会調査「横浜をよりよいまちにするために」実施(於、山下公園 10:00- 16:00頃)
恒例の山下公園での社会調査も5回目となりました。今回もしつこくIRに関する設問をもうけていますが、全体テーマは「横浜をよりよいまちにするために」。市長選前日というタイミングもよかったのか、川添ゼミ+国際都市・横浜発見スタジオの総勢39名のチームで640名の多くの方々から回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。集計結果や分析は報告書等で追って公表の予定です。
- 2017年6月7日
シティツアー:本牧から知る横浜(横浜国立大学・川添ゼミ+国際都市・横浜発見スタジオ)
今年は学生たちがなかなか足を運ばない「本牧エリア」でのシティツアーをしました。本牧ふ頭先端の横浜港シンボルタワーを出発点に、小港橋を経由して横浜の名園、三溪園へ。三溪園をたっぷり堪能したのち、周囲の古い住宅街から、それとは対照的な再開発エリアの住宅街・商業地区(旧、米軍接収地)までを眺めて歩きました。最後は中華街に転じて懇親会。今回も横浜を見る視点が揺さぶられたことを期待しています。
- 2017年6月1日
「『東京夢華録』から都市を想う」(『日中文化交流』855号、日本中国文化交流協会)
『日中文化交流』誌の「縦波横波」コーナーで、宋代の孟元老の随筆『東京夢華録』をとりあげて、東アジアにおける開放的な都市の「盛り場」の根っ子はそこに描かれる北宋の都・開封にあり、『清明上河図』をも眺めつつ、過去の「盛り場」の世界に浸る楽しみについて記した。
- 2017年5月13日
神田祭に参加
文化資源学会での参加が恒例となった2年に一度の神田祭。これまで参加した中では一番雨にふられましたが、手製の花笠をかぶり幟を持ち続けて、水天宮近くの有馬小学校から小網町、室町、三越前、神田、秋葉原、神田明神まで、無事に「花咲爺」の曳き物を巡幸奉納しました。江戸総鎮守にして自分の結婚式もやった神田神社のお祭りに、こうやって参加できるのは幸せなことです。もっとも、ずっと雨だとあまりに身体が冷え切ってしまい、奉納後は淡路町のワテラス横の銭湯「江戸遊」に直行しました。
- 2017年4月1日
横浜国立大学で50年ぶりの新学部 都市科学部 (川添は都市社会共生学科を担当)がスタート
- 2017年3月31日
『「もっと横浜」プロジェクト成果報告書 2016-2017』(横浜国立大学)
「もっと横浜」プロジェクトの成果報告書がまとまりました。昨夏に山下公園でおこなった社会調査「アンケート:横浜へのさらなる観光客誘致のために」の集計・分析と、中村和恵氏の講演「港の人」の概要、同氏インタビューなどを掲載しています。ご協力いただいた方々、関係者の皆さまに深く感謝いたします。昨年に引き続いてこの社会調査にはIR推進に関する項目もあり、より以上に興味深い結果を得ています。なお、本報告書には先立つ3年分の社会調査の集計・分析も収録しており、社会調査全体の通覧ができる便利なものになっています。
- 2017年3月上旬
マレーシア滞在(マラッカ[ムラカ]歴史都市調査など)
短期間ですがマレーシアに滞在し、古き港町マラッカの実地調査をしました。ここのところやっている東南アジアにおける日本の歴史的痕跡、戦跡ツアーの続きです。セント・ポール教会の遺跡がある丘上の、右腕のないザビエルの石像はとても印象的でした。なお、近年クアラルンプールで進んだ高層ビル群を中心とした街づくり、いくつもの巨大ショッピングセンターを見ていると、一面での横浜の立ち遅れを感じざるを得ませんでした。
左-マラッカの丘から港を見やるザビエルの石像(右腕がない)、中-マラッカ歴史博物館の展示 JAPANESE ERA、右-整備された川添いの遊歩道は気持ちのよい親水空間
- 2017年1月23日
「日本人になってみる、日本をやってみる:身体が形象するジャポニスム」(『演劇のジャポニスム』森話社)
ジャポニスムは美術だけの話ではなく、演劇や芸能といった身体表現の分野においても、きわめて重要な展開があったことをとりあげる画期的な書。川添は「日本人になってみる、日本をやってみる:身体が形象するジャポニスム」のタイトルのもと、西洋人の「着物コスプレ」や「Geisha」などを置いた茶屋・茶店の再現など、異色にしてしかし本質的な事例をとりあげて論じています。 Amazonへ
- 2017年1月初
「今年の執筆予定」(『出版ニュース』2017年1月上・中旬号、出版ニュース社)
『出版ニュース』誌恒例の「今年の執筆予定」コーナー。上記共著の『演劇のジャポニスム』(森話社)をはじめ、懸案の『江戸にラクダがやって来た』、『横浜』ほかにふれています。
- 2016年12月17日〜30日
「けーぶるにっぽん 食・JAPAN - 横浜発祥 愛される洋食の数々」出演コメント(YCV横浜ケーブルビジョン制作。iTSCOMや全国のCATV各局でも放送)
ホテルニューグランドのシーフードドリアやスパゲッティナポリタンなど横浜の食をとりあげる番組内で、横浜発祥の洋食や西洋文化がなぜ多いのかについて、たんに外国文化と接する先端にあっただけでなく、自らがそれを積極的に受け容れて、さらに横浜的・日本的に発展させていく「横浜ならではの気風」という視点からコメントをしました。同様の観点から、IR(Integrated Resort 統合型リゾート=特定複合観光施設区域)はやはり横浜に、と考えていることを、蛇足ながらここに表明しておきます。 →関連記事
- 2016年11月18日
『江戸の見世物』(岩波新書)が再びアンコール復刊
拙著『江戸の見世物』(岩波新書、2000)が、いわゆる「アンコール復刊」のかたちで増刷となりました(累計で3万3千部となりました)。2011年以来の再びの「アンコール復刊」で、近年ますます本が売れないなか大変ありがたいことと思っています。定価は40円あがって840円(本体価格)です。 岩波書店のページへ Amazonへ
- 2016年11月16日
中村和恵氏 講演会「港の人」(横浜国立大学「もっと横浜」プロジェクト講演会、於:教育8号館101教室 14:40〜16:10)
比較文学者で詩人の中村和恵さん(明治大学教授)に、港という場所をめぐり刺激的で楽しい話をしていただきました。港から浸食されていく植民地の話や、英米以外の広大な英語圏の存在の指摘、また北村太郎「港の人」や、エドガー・ミッテルホルザー、ジーン・リース、オーティス・レディングなど、聴講者それぞれが提示された素材から既成概念を崩され、刺激され、いろいろと思うところがあったようです。
- 2016年10月19日
「ブラフ18番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ、13:30〜)
やはり山手の西洋館(ブラフ18番館)で恒例の特別授業。今回は横浜の「国際性」に焦点を当て、開港以来のその性格と変遷について、大きな視野から今日に至るまでを話しました。気持ちがいい秋の好天でしたが、あいにくと隣の外交官の家が改修中で外観がみられず、その点は残念だったです。
- 2016年10月7日
「山手234番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ、13:30〜)
横浜山手の西洋館での特別授業。数えてみると、このやり方をもう6年続けてやっていることになります。横浜という街の基本構造を理解してもらうために、開港と街の形成、その後の展開について、ぐっと圧縮して話をしました。
- 2016年9月21日
「遊歴する江戸のご隠居:200年前の両国・浅草を歩く」(三水会・煙洲会講演、12:00〜14:00、銀座・交詢社)
「200年前の両国・浅草を歩く」の副題のように、近年、スカイツリーなどで再び脚光を浴びる江戸下町の代表的な盛り場を、200年前の遊歴するご隠居、十方庵敬順とともに一日歩いてみる話。定番の持ちネタで何度もしゃべっていますが、やるたびに自分の気持ちも高揚してくる、われながら楽しく健康的な話です。
- 2016年9月8日-11月29日
特別展『見世物大博覧会』(大阪・国立民族学博物館)
(展示実行委員+図録執筆+コレクション60点出品。2017年1/17〜7/17にかなり規模は縮小しますが国立歴史民俗博物館でも開催)
民博が巨大な見世物小屋に! 江戸時代から平成までの楽しく珍しい資料や、再現コーナーを、たっぷり堪能できます。
『ゆる江戸』の大和愛さんが内覧会を見ての感想・紹介をこちらに載せています。展示図録(1700円)も充実しています。
※好評裡に民博での会期を終了し、約4万9千人の入場者となりました。展示図録も、かつてのたばこと塩の博物館開催の『大見世物』(2003)同様に、
会期中に品切れとなりました。さすが、我らが見世物!
- 2016年9月1日
「見世物絵とわたし」(『月刊みんぱく』2016年9月号)
国立民族学博物館の雑誌『月刊みんぱく』に、特別展『見世物大博覧会』と関連づけながら、川添が見世物絵(江戸時代から明治半ば頃までの見世物興行を描いた浮世絵や絵番付)の収集・研究をおこなってきた経緯や、コレクション公開への思いなどについて記しました。
- 2016年8月6日
オープンキャンパス・模擬講義「『偉大なる周縁』としての横浜」
来年度から横浜国立大学に新設される都市科学部の都市社会共生学科の模擬講義として「『偉大なる周縁』としての横浜」」という話をしました(8月6日10:30〜11:40、教育文化ホール)。数年前に「グローカル・レポート」Vol5の対談前半部で川添が話した内容の発展形です。オープンキャンパスは8月5日・6日に同ホールで10:00〜15:40に開催。また9月19日にもう一度開催されます。
- 2016年7月30日
「アンケート:横浜へのさらなる観光客誘致のために」を山下公園で実施
恒例の山下公園での社会調査も4年目となり、今年はいわゆるインバウンドやIRなどを強く意識しつつ、「横浜へのさらなる観光客誘致のために」をテーマにおこないました。川添ゼミ+国際都市・横浜発見スタジオの総勢29名のチームで486名の方々から回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。集計結果や分析は報告書等で追って公表の予定です。
- 2016年6月18日
「川辺と河原の芝居小屋―近世都市の『自由空間』」(横浜国立大学公開講座、於:みなとみらいキャンパス、13:30〜)
江戸の芝居小屋(歌舞伎の劇場)はどんな場所にあったのか。見世物などの他の芸能を含め、それはしばしば都市の川辺や河原の空間でおこなわれていた。近世初期の京都また江戸の事例からその具体的な様相を示し、今日的可能性も視野に入れながら、楽しく見つめてみたい。
- 2016年5月21日
「落語のなかのことわざ」(日本ことわざ文化学会講演、於:明治大学リバティタワー、15:00〜)
落語『子別れ(子は鎹)』を中心に、落語のなかでいかに上手くことわざが効果的に使われているかを話し、あわせて、警句、名言、格言、ことわざ、成句の宝庫である言語芸術としての落語の魅力について総合的にふれました。
- 2016年5月11日
「カジノのイメージは? 横国大教授らが調査」(『日本経済新聞』朝刊紹介)
学生とともにおこなった「もっと横浜」プロジェクトの社会調査(下記2016年3月31日発行の報告書)が、IR(Integrated Resort 統合型リゾート)の話を中心に『日本経済新聞』で紹介されました。記事の読みようでは、川添が横浜でのIR推進に反対のようにとれてしまいますが、そうではありません。まずはそれ以前の課題として、IRに関する理解(そもそもIRとは何か、先行事例はいかなるものなのか、そのメリットは何か)が共有されていないことが、調査によってはっきり浮かび上がったと思っています。その点では、IRを単純にカジノに置き換えてしまうこの記事の作り方自体にも、問題がないわけではありません(その方が新聞記事としてわかりやすいということなんでしょうが、カジノ単体のみを誘致するのと、カジノを構成要素に含めた統合型リゾート=特定複合観光施設区域やハーバー・リゾートを作るのは、まったく違う話です)。賛成・反対以前に、そもそも賛成・反対を問う対象についての理解がなされておらず、IRに関する具体的な情報提供と共通理解が必須と考えます。今夏も継続調査の予定で、IRに関する理解や、実際のIR滞在経験なども具体的に問いながら、より深めた調査をおこなっていく計画です。2016年5月11日朝刊第35面(神奈川・首都圏経済)に掲載。
- 2016年5月10日
「銀輪が行く」(『ベストパートナー』6月号、浜銀総合研究所)
横浜銀行・浜銀総合研究所の広報誌『ベストパートナー』6月号に、巻頭エッセイ「銀輪が行く」を書きました。48年前、小学6年生の終わりに、友だち7人と自転車で横浜の街なかを走りまわり、山下公園まで行ったサイクル・ツアーの思い出を綴っています。横浜の街は随分変わりましたが、街を思うひとつの原点と喜びがそこにあったように思っています。Stay gold, Yokohama.
- 2016年3月31日
『「もっと横浜」プロジェクト成果報告書 2015-2016』(横浜国立大学)
「もっと横浜」プロジェクトの成果報告書がまとまりました。昨夏に山下公園でおこなった社会調査「横浜の観光推進に関するアンケート」の集計・分析と、高山明氏の講演「ヘテロな街、横浜」の概要、同氏インタビューなどを掲載しています。ご協力いただいた方々、関係者の皆さまに深く感謝いたします。社会調査にはカジノを含めたIR推進に関する項目もあり、単純にこのままでは一般のイメージが誤解も含めて芳しくなく、そもそも基本的な理解もされていないなど、興味深い結果を得ています。
- 2016年3月23日
「細工見世物と生人形の浅草」(『人形玩具研究』26、日本人形玩具学会)
浅草の地が、人形や細工などの「細工見世物」にとっていかに歴史的に重要な場所であったかを、一田庄七郎の籠細工や松本喜三郎の生人形などを中心にして記す。日本人形玩具学会の総大会(2015年6月27日に浅草で開催)でおこなった基調講演を原稿化したもの。
- 2016年3月上旬
バンコク滞在
短期間ですがタイのバンコクに行き、さらに足をのばして、映画『戦場にかける橋』の舞台となったカンチャナブリ、日本人町のあったアユタヤへ行きました。気温36度の下、両所ともレンタサイクルで一日中走り回り、車道はかなり恐ろしく、なかなかハードな旅でした。ここのところ東南アジアにおける日本の歴史的痕跡、戦跡のツアーを続けています。
左-カンチャナブリのクウェイ河橋(「戦場にかける橋」)、右-JEATH戦争博物館(捕虜収容所を再現している)
- 2016年2月12日
「落語を楽しむ空間は」(『グラフィケーション』電子版2号(202号)、富士ゼロックス)
電子版になってから2号目の『グラフィケーション』誌。特集は「『語り』を考える」で、落語とは何よりも「現場の話芸」であり、デジタル時代にはそのことをつい忘れがちだが、「現場」抜きに落語の今後はあり得ないし、寄席やライブの場に足を運ぼうといったことを書きました。落語がそもそもどうやって生まれ、どのように発展したのかを考えれば、寄席やライブの場抜きの落語の未来はあり得ないのです。
- 2016年1月13日
横浜港工場夜景クルーズ(横浜国立大学、川添ゼミ+国際都市・横浜発見スタジオ)
3年ぶりに学生たちと工場夜景クルーズに行きました。とても寒かったですが、誰もキャビン内には入ろうとせず外に出たまま。それだけ楽しいクルーズで、横浜をまた別のかたちで知ることができました。
- 2016年1月11日
「今年の執筆予定」(『出版ニュース』2016年1月上・中旬号、出版ニュース社)
『出版ニュース』誌恒例の「今年の執筆予定」コーナー。秋から大阪の国立民族学博物館(民博)でやる「大見世物博覧会」のことや(これについては一緒にやる鵜飼正樹さんも同じコーナーで書いていました)、懸案の『江戸にラクダがやって来た』『横浜』ほかをあげています。
- 2015年11月25日
「横浜が売る『ニッポン』:サムライ商会を中心に」(『文学』11・12月号 近世の異国表象 特集、岩波書店)
明治中期から昭和初期まで横浜にあった、外国人向けの著名な古美術商・サムライ商会を中心的にとりあげ、西洋のジャポニズムブームとも関連づけながら、そこで外国に向けて売られた「ニッポン」がいかなる日本文化形象であり、外国人の目を介することでどのような「日本文化」が再創造されたのかを具体的に示した。国際都市・横浜の独特な文化に焦点を当て、その大きな特徴を論じている。135-155頁に掲載。
- 2015年11月14日
高山明氏講演会「ヘテロな街、横浜」(高山明氏 → PortB 横浜国立大学「もっと横浜」プロジェクト講演会、於:波止場会館5F 13:30〜15:10)
「異なるもの・異物=ヘテロ」を受け容れる感性、それが横浜! 近年『横浜コミューン』『東京ヘテロトピア』といった話題の演劇=都市パフォーマンス作品や、震災後の福島、フランクフルト、コロンビアなどで興味深い活動を展開している高山明氏に、自身の作品を紹介しつつ国際開港都市・横浜ならではの「ヘテロな街、横浜」の可能性を語ってもらいました。
- 2015年11月11日
「山手234番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ、13:30〜)
横浜山手の西洋館(山手234番館)での恒例特別授業。今年は「今後の日本、都市そして横浜」というゼミでも使った自前の教材を使い、人口減社会における可能な方策を総覧し、とくに外国人観光客誘致と移民に焦点を当てて、国際都市・横浜にあり得る可能性をともに考えてみました。
- 2015年10月13日
「ブラフ18番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ、13:30〜)
横浜山手の西洋館(ブラフ18番館)での恒例特別授業。横浜という街の基本を理解してもらうために、開港と街の形成、またその後の展開について、ぐっと圧縮して要点を押さえるかたちで話をしました。好天に恵まれ気持ちのいい午後でした。
- 2015年9月16日
「明治新時代の見世物」(さくらだ学校[港区立生涯学習センターばるーん]、10:00〜11:30)
明治新時代には見世物の世界にも激動がおこり、西洋の影響を受け、軽業曲芸からサーカスへ、動物見世物から動物園へといった変化が起こった。西洋文明化の時代らしく、電気器械、油絵、パノラマ、高塔なども新奇な見世物となった。そうした状況について、画像を用いながらわかりやすく解説した。
- 2015年8月下旬
シンガポール滞在
7年ぶりのシンガポール。かつてはまだ構想・工事中だったマリーナ・ベイ・サンズ(2010年開業)界隈の大規模な開発ぶりに圧倒されました。この間、セントーサ島にもユニバーサル・スタジオとホテル、会議場、カジノなどが隣り合うかたちでIR(統合型リゾート)ができています(こちらも2010年開業)。今回はマリーナ・ベイ・サンズに小学生の娘とともに家族連れで連泊したのですが、有名な屋上の「架空プール」でくつろぎ、ブランド・ショッピング街をまわり、裏の植物園を散策し、劇場で折しも上演中の「滝沢歌舞伎」を楽しみと、IRの面白さを実感しました。やはり実地に体験しないと、このIRの感覚はなかなかわからないかもしれません。カジノの入口はブランド・ショッピング街の片隅にある感じで、見事に「切り分け」られており、全体はとても静穏な状況です。もちろん、IRだけでなく、シンガポールのエスニックタウンの雑踏も昔ながらの魅力で、そちらもまた楽しみました。
左-ブランドショップに囲まれたマリーナ・ベイ・サンズのカジノ入口、右-マリーナ・ベイで毎夜開催の光のショー
- 2015年7月26日
「横浜の観光推進に関するアンケート」を山下公園で実施(横浜国立大学・川添ゼミ+国際都市・横浜発見スタジオ、10:00〜16:00)
一昨年、昨年に続き、今年はまた一段と暑かった山下公園で社会調査(アンケート調査)をおこないました。今年はカジノを含んだIRの是非についても盛り込んだ「横浜の観光推進に関するアンケート」で、総勢34名のチームで463名の方々に回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。集計結果や分析は報告書等で公表の予定です。
- 2015年6月27日
「細工見世物と生人形の浅草」(日本人形玩具学会第27回総大会・基調講演、於:浅草文化観光センター、13:30〜)
日本人形玩具学会から依頼された基調講演。今回の総大会の開催場所が浅草であることにからめて、ここ浅草における細工見世物と生人形の興行が、歴史的にどのように展開してきたのかについて話をした。
- 2015年6月20日
「江戸の芝居小屋を楽しむ」(横浜国立大学公開講座、於:みなとみらいキャンパス[横浜ランドマークタワー18階]、13:30〜)
江戸の芝居小屋(歌舞伎の劇場)とは、どんな場所だったのか。至近距離にいる男女の見物たちが、前から、横から、後ろから役者たちに熱い視線を送り、観客と役者が一体となった独特の身体空間が生まれる。そんな「親密空間」としての江戸の芝居小屋のあり方をわかりやすく示し、ともに見つめてみたい。
- 2015年6月10日
裏横浜シティツアー(横浜国立大学・川添ゼミ+国際都市・横浜発見スタジオ)
旧競馬場の根岸森林公園をスタート地点として、中華義荘(中国人の外人墓地)→米軍根岸住宅→相沢墓地→平楽・八幡谷戸・中村町(旧ドヤ街)→横浜橋通商店街・真金町(旧遊廓)→黄金町エリア→伊勢佐木町→関内で懇親会という街歩きを、30数人の学生とともにおこないました。たっぷり5、6キロの街歩きを通じて、学生たちが「ピカピカではない横浜の旧市街」の地理感覚を把握し、横浜を見る視点が揺さぶられたことを期待しています。
- 2015年5月29日
「横浜開港からグローバル化を再考する」(富丘経済研究会講演、於:日本プレスセンター・日本記者クラブ会議室、12:00〜)
開港した横浜は、西洋化、グローバル化の大波を強烈なかたちで蒙った象徴的な場所であり、そこには現在につながるグローバル化の根底的性格を考究するための、格好の素材・歴史事実・文化表象が数多く存在する。今日のグローバル化の根本にある性格を、横浜開港から問い直し考える。富丘経済研究会は3年ぶり2度目の講演です。
- 2015年5月9日
神田祭に参加
江戸総鎮守・神田明神の天下祭である神田祭(2年に一度斎行)に参加しました。今年は折しも遷座400年の奉祝の年に当たります。6年前、2年前(4年前は東日本大震災の影響で中止)と同じく文化資源学会による附祭復元プロジェクト(リーダーは木下直之さん)で、今回は総勢百名超が参加し「浦島太郎」「花咲爺」の2本の曳き物を巡幸奉納しました。
文化資源学会の半纏で曳き物を巡幸
- 2015年4月15日
『書評大全』(共著、共同通信社文化部編、三省堂)
共同通信社が地方紙・ブロック紙等の新聞に配信した書評の集成です。川添が依頼されて執筆したのは数編ですが、全体としては16年分(1998年〜2014年)、約5000点が収録されており、それ自体が「本を通じた社会文化史」ともいえる一大集成です。 →Amazonへ
- 2015年3月31日
『「もっと横浜」プロジェクト成果報告書 2014-2015』(横浜国立大学)
「もっと横浜」プロジェクトの成果報告書がまとまりました。山下公園でおこなった社会調査「横浜の魅力向上のための調査」の集計・分析と、木下直之氏の講演「横浜のはじまり」の概要、同氏インタビューなどを掲載しています。ご協力いただいた方々、関係者の皆さまに深く感謝いたします。
- 2015年3月中旬
マニラ滞在
短期間ですがマニラとその周辺へいき、西・米そしてわが日本が残した歴史的痕跡をいろいろみてきました。マニラ国立博物館収蔵の日本軍の暴虐を描いた絵画(Dominador Castaneda, Doomed Family をはじめ、Diosdado M. Lorenzo、Manuel Rodriguez らの作品)は、なかなか強烈でした。港に沈む夕陽はあくまで美しく、道路は日々恐るべき混沌の街です。
左-日本軍が陣どったサンティアゴ要塞のフィリピン人犠牲者追悼碑、右-ガントリークレーンが並ぶマニラ港の日没
- 2015年3月12日
「開国期における『異国と自国』の形象―神風・神国・神風楼」(『日本人は日本をどうみてきたか:江戸から見る自意識の変遷』田中優子編、笠間書院)
前近代の人びとは「日本」と「日本人」をどのように考え、語り、意識してきたのか、あるいは意識しなかったのか。法政大学国際日本学研究所の「日本意識プロジェクト」の成果論文集で、総長になってしまった田中優子さんの編。全体に充実したお奨めできる論集です。川添は、ペリー来航の強烈なウェスタンインパクトの意味を分析しつつ、見世物や遊郭といった土俗的サブカルチャーにおける表象を中心にとりあげて、近代ナショナリズムにもつながる「神国」や「神風」の問題、日本人の根源的な「身体的空間意識 = 和合」の問題を考えています。なお、サブタイトルの最後にある神風楼(じんぷうろう)は、かつて横浜にあった外国人に著名な遊郭です。 → Amazonへ
- 2015年1月11日
「今年の執筆予定」(『出版ニュース』2015年1月上・中旬号、出版ニュース社)
『出版ニュース』誌 年初恒例の「今年の執筆予定」コーナー。なかなか予定の本が出ませんが、宣言しないとより進まないので、『横浜』ほか約束している三つの本をあげています。今年は論文ではなく本(単独著書)を出したいです。
- 2014年11月28日
「ブラフ18番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ、13:30〜)
横浜山手の西洋館(ブラフ18番館)での恒例特別授業。外交官の家と続く庭園を見学ののち、「創造都市」をめぐる話題や問題について、じっくりと話をしました。今年もとても気持ちいい秋の日の授業となりました。
- 2014年11月5日
木下直之氏講演会「横浜のはじまり― 祭りと記念日をめぐって」(「もっと横浜」プロジェクト、於:横浜国立大学 教育8号館101教室 14:45〜16:15)
「日本のはじまり」を問われても答えにくいように、「横浜のはじまり」もむずかしい。ふって湧いた街の祭りや記念日は、どのように祝われ、共有されていくのか? 何かにつけて祝われたその具体的な様相から「横浜のはじまり」をさぐり、祭りと記念日による都市史を考える。
- 2014年10月29日
「山手234番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ、13:30〜)
横浜山手の西洋館(山手234番館)での恒例特別授業。横浜の「開港地」「国際性」といった根本的なアイデンティティとその背景、また、横浜中心部の歴史的な都市構造について、いわば入門篇として基本となる話を集中授業のかたちでおこないました。
- 2014年9月16日
「『時代の産物』としての細工見世物と造り物:ひとつのエポックを考える」(『造り物の文化史』[民博共同研究成果報告]、勉誠出版)
細工見世物が流行した時代を、「文政期以降」の時代(文政から幕末・明治初期までの時代)というひとつのエポックとして捉え、そこでは都市の庶民文化やその地方への伝播といった文化的動向と、経済的動向(とくに文政から天保の貨幣改鋳とその影響)や商業的動向が密接に絡み合うことを論じています。そして、一式飾り系の祭礼造り物の隆盛も、同じエポックの流れのなかで考えるべきと指摘しました。従来、「文化文政期」(略して化成期)なる時代区分が自明のように語られていますが、むしろ、「文化」と「文政」とを切り離し、「文政期以降(幕末・明治初期まで)」という時代設定こそが必要という、新たな文化史的提起でもあります。
- 2014年9月9日
新人物文庫『物語 明治・大正を生きた女101人』(共著、KADOKAWA/中経出版)
明治・大正の、新しさと封建的抑圧が交錯する時代を生きた女たちの物語。川添は「松旭斎天勝」の章を執筆(166頁〜176頁)。雑誌『歴史読本』編集部の編で、かつて同誌に川添が書いた記事を自身で修訂のうえ再録したものです。
- 2014年9月7日
日本経済新聞 書評(山本一生『哀しすぎるぞ、ロッパ』講談社)
エノケンと並ぶ喜劇俳優、古川ロッパ(緑波)には、いくつか自分を語った書がありますが、評伝としては本書が初で、ロッパの膨大な日記を基本にして同時代人の日記や資料をも加え、その功績と生涯をよく展望させてくれる好著でした。近年、『古川ロッパとレヴュー時代』の展覧会が早稲田大学演劇博物館で開催され、また『古川ロッパ傑作集』というCDも発売されており、ロッパの再評価が進んでいます。
- 2014年7月27日
「横浜の魅力向上のための調査:あなたが横浜に求めるものは」を山下公園で実施(国際都市・横浜発見スタジオ+川添ゼミ)
昨年に続き、暑いさなかの山下公園で社会調査(アンケート調査)をおこないました。今年はやや答えにくい記述式の設問が多かったのですが、総勢26名のチームで244名の方々にアンケートへの回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。集計結果や分析は報告書等で公表の予定です。
- 2014年7月19日、20日
土佐赤岡(高知県香南市)、絵金祭り
赤岡の絵金祭りへ行き、宵闇にローソクの灯りで浮かび上がる絵金の屏風絵を、本町地区、横町地区でたっぷり堪能しました。また、絵金蔵(えきんぐら)に展示されていた白描画をまとめてみることができたのも良かったです。
- 2014年6月21日
「落語『子別れ』を考える」(横浜国立大学公開講座、於:みなとみらいキャンパス[横浜ランドマークタワー18階]、13:30〜)
名作として知られる落語『子別れ』(子は鎹)。この噺は上中下からなる長編落語だが、多くの場合に下だけが口演される。しかし、その本当の魅力は、「まっとうさ」と「乱調」が交錯していく上中下全体の構造にあり、そのことをわかりやすく示し、主人公熊五郎の激変していく人物イメージを、楽しみながら見つめていく。
- 2014年5月21日
「天勝というスペクタクル」(『忘れられた演劇』共著、森話社)
「近代日本演劇の記憶と文化」というシリーズの第1冊目として刊行された『忘れられた演劇』のなかで、「天勝というスペクタクル」の一文を草しています。文学的な戯曲ばかりが中心になっていく日本の近代劇の流れのなかで、天勝が体現していたスペクタクル性が実際にはいかに楽しまれ、大きな意味をもっていたかを論じています。
- 2014年3月31日
『「もっと横浜」プロジェクト成果報告書 2013-2014』(横浜国立大学)
「もっと横浜」プロジェクトの2013年度の成果報告書がまとまりました。山下公園でおこなった社会調査「横浜のイメージに関するアンケート」の集計・分析をはじめ、今福龍太氏の「海から見た共生の思想──群島的カマアイナ(同胞)を求めて」」の講演概要、同氏インタビューなど、実施したすべてのイベントの内容と成果を報告しています。ご協力いただいた方々、関係組織、関係者の皆さまに深く感謝します。
- 2014年3月末
韓国滞在(ソウル)
2年ぶりのソウルでしたが、今回はちょうど10年ぶりに韓国民俗村(ハングクミンソクチョン)を訪ねることができました。以前よりもパフォーマンスが増え、賑わっていると感じました。併せて、世界遺産の水原華城に初めて足を運び、芸能系ではテコンドーをベースにした『Jump』の公演を堪能しました。
- 2014年3月20日
「『写真』という意識」(『歌舞伎―研究と批評』51号、歌舞伎学会・雄山閣)
幕末明治の「西洋化」の圧力とは、元を言えば、とくに軍事テクノロジーにおける彼我の差を背景にした脅迫的なものであり、そこから文化全般における西洋崇拝一辺倒が生まれる。近代リアリズムはそうした典型であり、歌舞伎を含め日本文化の諸ジャンルがこの写実主義に影響された。その際、本来「光」を意味するはずのphoto(graph)が、日本においては「写真」(「真」を写す)と訳され定着したという特有の事情があり、この「写真」という意識こそが、近代テクノロジー、軍事テクノロジーとも結びついた「時代の表徴」となった。歌舞伎もまた近代リアリズムに激しく翻弄されたが、日清戦争を題材とする日清戦争劇において、歌舞伎のリアリズムの限界があまりにも明らかとなり、かえってそのことによって、本質的に近代リアリズムからほど遠い歌舞伎は、歌舞伎として生き残ることができた。分量の問題などもあり、後半が忙しい議論になっていますが、一昨年の学会シンポ「歌舞伎と近代美術」でしゃべった内容を論文化して、「歌舞伎と近代美術」特集の巻頭で私なりの問題提起をしています。5〜20頁に掲載。
「追悼 今尾哲也先生」(『歌舞伎―研究と批評』51号、歌舞伎学会・雄山閣)
同じ号で今尾哲也先生の追悼文を書きました。資料紹介・事例紹介だけにとどまらず、とにかく論を立てていく先生の研究姿勢や、生涯をつらぬいた元禄歌舞伎の「やつし」の研究、また、かつて編集者としてお付き合いした頃の思い出などを綴っています。195〜197頁に掲載。
- 2014年3月15、16日
ワークショップ「和の国?武の国?神の国?!:江戸から見る日本人の自国認識の変容」(法政大学国際日本学研究所、於・市ヶ谷80年館7階会議室、チラシ)
法政大学国際日本学研究所の継続的な研究プロジェクト(通称「日本意識」プロジェクト。田中優子氏らによる)を総括していくワークショップ「和の国?武の国?神の国?!:江戸から見る日本人の自国認識の変容」で、「『開国期』の神さまと異国形象」のタイトルで発表をしました。今後、成果を一書にまとめていく計画もあるようです。
- 2014年2月23日
「『開国期』日本における異国・自国形象」(シンポジウム「日本・欧州における異文化表象」基調講演、横浜異文化表象研究会+文教大学、ヨコハマジャスト1号館、10:30〜)
横浜異文化表象研究会+文教大学国際学部の継続的な研究プロジェクト「日本・欧州における異文化表象:前近代〜現代の異文化理解と異文化〈誤解〉」(井上由佳氏、野呂田純一氏ら)のまとめとしておこなわれたシンポジウムで、「『開国期』日本における異国・自国形象」のタイトルで基調講演をしました。併せて関連の展示もおこなわれました。
- 2014年1月11日
「今年の執筆予定」(『出版ニュース』2014年1月上・中旬号、出版ニュース社)
『出版ニュース』誌の年頭恒例「今年の執筆予定」のコーナーで、『江戸にラクダがやって来た』や『横浜』(ともに岩波書店)、『松旭斎天勝』(ミネルヴァ書房)についてふれました。
- 2013年12月10日
「江戸の芝居小屋と平成の歌舞伎座」(みなと歴史講座講演、東京都港区立赤坂区民センター、18:30〜)
江戸の芝居小屋が現代の劇場とはことなり、いかに「親密的」な空間であったかを、浮世絵に描かれた劇場図のさまざまな具体的な様相から話しました。また具体的に、平成の歌舞伎座との大きさ比較、環境比較、料金比較などもおこないました。
- 2013年12月7日
横浜クルーズ&国際ゼミ(横浜国立大学「世宗大学校国際交流プログラム」+「もっと横浜」プロジェクト、11:00〜)
「港から知る国際交流都市・横浜」「横浜の国際交流観光プランニング」「国際交流都市・横浜を考える」など、国際交流を全体テーマにおこなわれ、快晴にめぐまれて成功裡に終了しました。大学のウェブに簡単な報告が掲載。
- 2013年11月16日〜
「Dolls Collection 時をかける等身大人形」展出品協力(高浜市やきものの里かわら美術館[愛知県]、12月23日まで)
- 2013年11月15日
「ブラフ18番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ、13:30〜)
横浜山手の西洋館(ブラフ18番館)での恒例特別授業。横浜の「国際性」なるものの歴史的実態とその性格について話します。はじめはあいにく雨模様でしたが夕方には晴れ、外交官の家と続く庭園から眺める夕陽と富士が美しかったです。
- 2013年11月13日
今福龍太氏講演会「海から見た共生の思想──群島的カマアイナ(同胞)を求めて」(「もっと横浜」プロジェクト、於:横浜国立大学附属図書館メディアホール14:45〜[14:20開場])
横浜の港の向こうにひろがる太平洋、そしてアメリカ──。閉ざされたナショナリズムでもなく、アメリカ中心のグローバリズムやTPPでもなく、エペリ・ハウオファなどの太平洋の群島思想家の〈共生の思想〉に着目し、日本列島を含む東アジア、太平洋島嶼(とうしょ)の視点から、今日の世界における「共生の未来形」「群島的可能性」を考える。
- 2013年10月30日
「山手234番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ、14:00〜)
横浜山手の西洋館(山手234番館)での恒例特別授業。港をアイデンティティとする横浜の、その港がそもそもどういう外交政治構造のなかで成立し、初期には「ニュー出島」として機能した後、どのようにして対外的・対内的に開けていったのかを話します。
- 2013年9月10日
「書評 板垣俊一著『江戸期視覚文化の創造と歴史的展開』」(『日本文学』2013年9月号、日本文学協会)
板垣俊一著『江戸期視覚文化の創造と歴史的展開――覗き眼鏡とのぞきからくり』(三弥井書店)のロング書評を『日本文学』誌に執筆。正攻法で体系的に描かれた、とくに「のぞきからくり」に関する堂々たるモノグラフで、この分野では今後つねに参照されるべき仕事だと思います。
- 2013年7月27日
「横浜のイメージに関するアンケート」調査を山下公園で実施(横浜国立大学 川添担当:国際都市・横浜発見スタジオ+ゼミ)
暑いさなかの山下公園で丸一日、実地社会調査(街頭調査)をおこないました。総勢25名のチームで334名の方にアンケートへのお答えをいただきました。集計結果は報告書等で公表の予定です。
- 2013年7月20日〜9月1日
名古屋市博物館「夏休み特別展 マジックの時間」に出品協力
名古屋市博物館の特別展『マジックの時間』に少しだけ出品協力しました。展示コレクションの中心は、河合勝さんのものです。夏休みということでたくさんの子どもたちを集め、盛況裡に終了しました。
- 2013年5月11日
神田祭に参加
江戸総鎮守・神田明神の天下祭である神田祭に参加しました。4年前(2年前は東日本大震災の影響で中止)と同じく文化資源学会による附祭復元プロジェクトで、今回は「花咲爺」の山車行列に参加しました。あいにくの雨でしたが、みなで一所懸命になって枯れ木に花を咲かせました。
左から-出発前に本殿前にて、今回は猿の面で参加
- 2013年3月末
韓国旅行(釜山滞在)
短期間ですが日本と縁の深い韓国の釜山、そして慶州へ。釜山港はコンテナ貨物量でいうと韓国で1番、世界でも第5位の大規模港です(ちなみに2011年の第1位から4位は上海、シンガポール、香港、深センの順)。そうした世界有数の港運産業と、泥臭い庶民的な市場(チャガルチ市場、国際市場等)の混在が魅力的でした。
釜山タワーからチャガルチ市場方向を望む
- 2013年3月31日
『「もっと横浜」プロジェクト成果報告書 2012-2013』(横浜国立大学。2013年版パンフも制作)
「もっと横浜」プロジェクトの2012年度の成果報告書がまとまりました。鈴木伸哉氏の「みなとみらい21地区と横浜駅周辺地区の街づくり」の講演概要をはじめ、実施した3つのイベントの内容と成果を報告しています。ご協力いただいた横浜市の方々、関係組織、関係者の皆さまに感謝します。
- 2013年3月13日〜4月19日
展示「江戸人の考えた日本の姿」(図録解説・資料出品。法政大学国際日本学研究所、於・市ヶ谷ボアソナードタワー14F展示室、日祝閉室。図録PDF)
- 2013年3月16日、17日
シンポジウム「江戸人の考えた日本の姿:世界の中の自分たち」(法政大学国際日本学研究所、於・市ヶ谷外濠校舎S406)
同研究所による一連の「日本意識」研究の節目としておこなわれるシンポジウム。川添は16日の部で「舶来動物からみえる異国・自国」の話をします。小生は別として、延広真治・長島弘明・安村敏信・板坂則子・横山泰子・小林ふみ子の各氏の話や、大木康氏(ディスカッション)、渡辺浩氏(コメンテイター)、田中優子氏(司会)など、全体はなかなかの豪華メンバーです。シンポジウムと連動した上記の展示も開催。
- 2013年2月25日
BS-TBS「謎解き!江戸のススメ 見世物」(出演および浮世絵等の資料提供、22:00〜22:54)
全体を監修したわけではないので、若干間違いもありますが、この種の番組としてはよく出来た真面目にして面白い内容になりました。川添が数回コメントで出てきます。上島敏昭さんらの浅草雑芸団の実演もよかったです。
- 2013年2月20日
「第9章 広がり行く文化の地平 古市界隈の芸能」(『伊勢市史 近世編』、伊勢市)
『伊勢市史 近世編』がついに刊行。近世の伊勢は、お伊勢参りが庶民レベルを含め最も盛行した時代なので、文化史・社会史的には重要な巻といえます。川添は「古市界隈の芸能」を執筆。おもとめはこちらから。
- 2013年1月16日
「横浜港工場夜景クルーズ」(横浜国立大学、川添ゼミ+国際都市・横浜発見スタジオ合同、18:30〜)
- 2013年1月1日
「今年の執筆予定」(『出版ニュース』2013年1月上・中旬号、出版ニュース社)
『出版ニュース』誌の新年号で恒例になっている「今年の執筆予定」(今年とは2013年のこと)のコーナーで、『江戸にラクダがやって来た』や『横浜』(ともに岩波書店予定)についてふれました。
- 2012年12月8日
歌舞伎学会シンポジウム「歌舞伎と近代美術」(歌舞伎学会秋季大会、13:10〜、於:武蔵野美術大学鷹の台キャンパス)
神山彰氏(明治大学教授)、児玉竜一氏(早稲田大学教授)と川添によるシンポで、司会は今岡謙太郎氏。川添は、歌舞伎の「近代化」と明治以降の日本における「近代美術」「西洋美術」の動向を、併行する大きな文化史として考察。なかでも、日本近代の写実主義を考える際に、西洋絵画と写真が同時にやってきたという日本特有の事情が重要であり、いかに写「真」(「真」を写す)という意識が、誤解を含めて近代の日本文化全体に大きな影響を与えたかに力点を置き話をしました。
- 2012年11月16日
「ブラフ18番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ、13:30〜)
横浜山手の洋館での恒例特別授業。外交官の家と続く庭園にも足を延ばしつつ、横浜の「国際性」なるものの歴史的実態とその性格について話します。(天候に恵まれ、とても気持ちいい秋の日の授業となりました)
- 2012年11月14日
横浜市副市長・鈴木伸哉氏講演会「みなとみらい21地区と横浜駅周辺地区の街づくり」
(「もっと横浜」プロジェクト+キャリア支援部会、於:横浜国立大学附属図書館メディアホール14:45〜[14:15開場])
横浜の都市計画の歴史を前提にしながら、「みなとみらい」と「横浜駅周辺」という横浜を代表する二つの地域を中心に、都市の困難と現況、今後の可能性についてわかりやすく語ってもらいました。おかげさまで会場のメディアホールは満員盛況で、学生たちが横浜の街づくりについて考える良き機会となりました。大学のウェブに簡単な報告が掲載。
- 2012年11月4日
「貝細工とは何であったのか」(大田区立郷土博物館講演、14:00〜、詳細はこちらから)
わが「海の国、日本」においてどれほど盛んに貝細工がつくられ、身近に親しまれてきたのかを多様な視点から歴史的にみつめ、この庶民的な民具・娯楽・工芸の文化史的意味を考える。
- 2012年10月31日
「山手234番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ、14:00〜)
横浜山手の洋館での恒例特別授業。港をアイデンティティとする横浜の、その港がそもそもどういう外交政治構造のなかで成立し、どういう地政学的、精神史的特徴をもつのかを話します。
- 2012年10月27日
「国際都市横浜と人々の移動 1 幕末横浜で暗躍したアメリカ人興行師」(横浜国立大学公開講座、14:00〜16:00 於:教育-7号館101教室)
国際交流や国際交渉というと、ひとは高位高官の留学・外遊や、外交官・専門職業人・商館員のそれを考えがちですが、そうした「高級」なものばかりがおこなわれたわけではありません。開港初期にやってきたサーカス興行師と海を越えた日本の芸人たちをとりあげ、いわば「泥臭さ」を中心にした、開港初期の国際都市横浜と人々の移動を考えます。
- 2012年10月11日
「スピードと社会の400年史」(神奈川富丘会 / 二木会講演、於:横浜駅西口・行友会サロン、18:00〜)
この春に日本女子大学の国語入試問題にもなった拙文「スピードと社会、そして身体」(『西鶴と浮世草子研究』Vol.5、笠間書院、2011)を素材に、社会経験豊富な年輩のベテラン向けに、今日の社会の過剰なスピードと効率一本槍が産む問題などについて話をしました。
- 2012年10月7日〜11月25日
特別展「懐かし うつくし 貝細工」(資料出品、図録論考「貝細工とは何であったのか」執筆、講演等の協力、大田区立郷土博物館)
大田区立郷土博物館で文字通り「史上空前」の貝細工展がおこなわれます。観光土産のキッチュな貝細工から、幕末・明治の貝細工の見世物、そして各種の螺鈿細工まで。この壮観の展示を通じて、海に囲まれた日本、海の国、アーキペラゴ(群島)ならではの文化を、身近なところから見直す機会になればと思っています。
- 2012年10月3日
YNU インド・デー(「もっと横浜」プロジェクト、於:横浜国立大学教育文化ホール13:00〜)
今年は日印国交樹立60周年。また、横浜とインドはほぼ開港以来の縁で結ばれており、ムンバイと横浜は姉妹都市です(横浜市ムンバイ拠点も設置されています)。そんなわけで、現在のインドのビジネス状況をはじめ、インドの多様性、舞踊、食などをめぐる幅広い講座が展開しました。
- 2012年8月下旬
香港・マカオ旅行
短期間ですが香港、そしてマカオへ。前に訪れたシンガポール港にも度肝をぬかれましたが、香港もつくづく凄い港だなあと思います。高層ビルはいったいどこまで密集できるのか。中環に居ると、みなとみらいの中途半端さがよくわかります。周辺地区のコンテナ・バースの規模も巨大。
左-龍がのって昇天するような香港島の雲(九龍半島側から)、右-光の饗宴「A Symphony of Lights」
- 2012年8月5日
オープンキャンパス模擬講義「江戸の人間空間―楽しき芝居小屋をめぐって」
横浜国立大学教育人間科学部人間文化課程の模擬講義として「江戸の人間空間―楽しき芝居小屋をめぐって」という話をしました(8月5日10:45〜11:15、教育文化ホール)。オープンキャンパスは8月5日・6日の両日に同ホールにて10:00〜15:00頃まで開催。
-
2012年7月25日
『最新 歌舞伎大事典』(「千束屋」「作り物」「鳥熊芝居」「鳥屋熊吉」の4項目を執筆、柏書房)
久々に刊行された本格の歌舞伎事典です。幅広くたくさんの項目を立て、最新の研究成果が盛り込まれたよく出来た事典ですが、ひとつだけ難点をいうと、全項目が50音配列になっておらず、あらかじめテーマ毎に分けられていて、そのなかで50音順になっていることです。 →Amazonへ
- 2012年7月
富丘経済研究会 講演録
4月に日本プレスセンターでやった富丘経済研究会の講演「元気で遊歴する江戸のご隠居―190年前の両国・浅草を歩く」が、講演録のかたちにまとまりました。しゃべったものにかなり手を入れています。小池洋次氏の「アメリカ外交を読む」とペアで収録。
- 2012年7月19日
横浜国立大学ベストティーチャー賞表彰
横浜国立大学ベストティーチャー賞というのに選ばれ表彰されました。編集者をやった年月に比べるとまだまだ短いですが、大学専任教員も早10年やった計算になります(前任校8年、現任校2年4カ月)。ちなみに働きだしてからは35年目に突入しています。
- 2012年7月18日
裏横浜シティツアー(横浜国立大学・川添ゼミ+国際都市・横浜発見スタジオ)
学生からの「自分たちだけでは絶対行かないような横浜」を案内して欲しいという要望を受けて、中華義荘(地蔵王廟)→米軍根岸住宅→相沢墓地→平楽・八幡谷戸・中村町→横浜橋通商店街・真金町→黄金町エリア→伊勢佐木町(懇親会)という街歩きを、熱いさなかに20数人でおこないました。川添にとっては文字通りのホームタウンですが、学生たちの横浜を見る視点が揺さぶられたことを期待しています。
- 2012年5月10日
服部幸雄『大いなる小屋―江戸歌舞伎の祝祭空間』(講談社学術文庫、解説執筆および服部先生との対談収録)
服部幸雄先生の『大いなる小屋』(平凡社元版1986, 平凡社ライブラリー版1994)が講談社学術文庫に入りました。解説は川添が担当し、また歌舞伎学会で川添が聞き手となって服部先生とやった対談「歌舞伎劇場研究の過去と現在」を、今回の付録として増補してあります(41ページ分)。かつて2100円だった最初の元版(ハードカバー版)と比べると85ページ分増えており、これで1470円はお得かもしれません。詳しくは こちら。 Amazonへ
- 2012年4月29日
『神社名宝展―参り・祈り・奉る』見学
前任校の皇學館大学が創立百三十周年・再興五十周年を迎え、その記念祭典に参列、神道博物館で同日からはじまった特別展『神社名宝展』をじっくり見てきました。数多くの重文(松尾大社の男神坐像、春日大社の新鳥蘇面、祗園社絵図など)を含めた素晴らしい展示でした。個人的には多賀社参詣曼荼羅が非常に興味深かったです。大学の博物館としては空前の、おすすめの特別展です。情報はこちらから(展示替えがあるので早めに)。
- 2012年4月26日
「元気で遊歴する江戸のご隠居―190年前の両国・浅草を歩く」(富丘経済研究会講演、於:日本プレスセンター・日本記者クラブ会議室)
『遊歴雑記』の著者である十方庵敬順のように、ひたすら歩きまわることが健康の秘訣。そしてその行き先は、スカイツリーで再び脚光を浴びる江戸下町の盛り場(浅草、両国)。190年の歴史を遡りつつそんな趣旨の講演をおこないました。みなさん熱心で、話のしやすい気持ちの良い会でした。
- 2012年3月31日
『「もっと横浜」プロジェクト成果報告書 2011-2012』(横浜国立大学。同パンフも制作)
昨年2月11日発足以来の「もっと横浜」プロジェクトの成果報告書がまとまりました。橋爪紳也氏の「『水都』大阪から横浜へ向けて―水際の楽しみと安心」の講演概要をはじめ、実施した4つのイベント内容と成果を報告しています。あわせてプロジェクトの紹介パンフも作成しました。ご協力いただいた横浜市の皆さま、関係者に感謝いたします。
- 2012年3月26日
「江戸庶民がみる異国/自国の形象」(『国立民族学博物館調査報告104:東アジアの民族イメージ』、国立民族学博物館)
2年前に民博でやった機関研究シンポジウムの論文化で、川添は日本の前近代の庶民が「異国」をどのようにとらえ形象化していたかを、「自国」の意識形象とも対比させながら、「三国志人物の流行」「異国船はやって来る」「島巡り、島渡りの形式」「不気味な異国人物たち」「こちらには神々がいる」といった見出しのもとに記しています。5年前の駱駝論文に続く、個人的には力を入れたつもりの「異国/自国形象論」です。
- 2012年3月下旬
韓国旅行(ソウル滞在)
8年ぶりのソウルでは、前回はまだ工事中だった清渓川を見にいきました。ソウル中心部の高架道路を取っ払い、暗渠をもう一度河川として復活させた画期的な都市プロジェクトです。全長5.8キロに及ぶなかなか気持ちのいい親水空間で、5度前後の気温にもかかわらずけっこう散策を楽しむ人びとが見られました。全体としては、世界中の大都市で起こっているのと同様のグローバル化が一段と進み、伝統文化、民俗文化が希薄化していることも感じました。
- 2012年2月17日
「スピードと社会、そして身体」が日本女子大学の入試問題に
拙文「スピードと社会、そして身体」(『西鶴と浮世草子研究』Vol.5、笠間書院、2011)が日本女子大学の国語入試問題に使用されました。書き手の意図を汲んだ良い設問になっていました。
- 2012年2月15日
「開港地横浜の芸能―『インターナショナル』と『ローカル』」(『インターナショナルな「地方」の視座』共著、南窓社)
開港初期に横浜にやってきたアメリカ人興行師リズリーと、横浜からアメリカへと渡った軽業曲芸の名人早竹虎吉をとりあげて、「インターナショナル」と「ローカル」が出会い、社会の周縁的な存在同士が交雑的な磁場をつくりだしていく、開港地横浜の文化のダイナミズムについて記しました。
- 2012年1月28日
「近世伊勢の芸能をめぐって」(演劇研究会新年例会、於:同志社大学今出川キャンパス明徳館15:30〜)
年頭の発表として伊勢をとりげることにし、近世伊勢の芸能をめぐる注目すべき点(伊勢歌舞伎最古の直接資料を含む楠部町有文書のこと、古市と中之地蔵の芝居番付数の数量対比、お杉お玉と「拝田」の集団及び被差別の問題)について発表しました。
- 2011年12月21日
「今年の執筆予定」(『出版ニュース』2012年1月上・中旬号、出版ニュース社)
『出版ニュース』誌の新年号では毎年恒例になっている「今年の執筆予定」(今年とは2012年のこと)のコーナーで、執筆予定の『横浜』などについてふれました。
- 2011年12月11日
歌舞伎学会秋季大会(佐藤かつら氏発表「横浜の芝居と坂東彦十郎」コメンテイター、於:東京学芸大学)
歌舞伎学会で佐藤かつら氏の発表「横浜の芝居と坂東彦十郎」のコメンタイターをしました。明治前半期の横浜における歌舞伎興行をほぼ網羅する意欲的な発表でした。
- 2011年12月10日
橋爪紳也氏講演会「『水都』大阪から横浜へ向けて―水際の楽しみと安心」(横浜国大「もっと横浜」プロジェクト、於:波止場会館)
2月からはじめた「もっと横浜」プロジェクトの講演会に、橋爪紳也氏を講師としてお招きしました。都市における「水辺の空間」という社会・文化・観光資源を、われわれは未来にどう活かすことができるのか? 大阪での長年の経験や世界各地の事例から、横浜へ向けて語ってもらいました。
- 2011年12月4日
「江戸の盛り場、両国・浅草を歩く―『遊歴雑記』に見る190年前の世界」(東京シティガイドクラブ講演、於:台東区生涯学習センター)
190年前の両国・浅草を、『遊歴雑記』の著者である十方庵敬順とともに紙上散歩しましょうという趣向の講演。なお、東京シティガイドクラブは、実際に「東京シティガイド検定」に合格して案内役となった人びとの団体であり、いわばプロのガイドさんたち。非常に熱心に、私の話を聞いてくれました。
- 2011年12月3日
「移動・交流への三つの視座」(藝能史研究會 東京年次例会、於:法政大学市ヶ谷キャンパス58年館5F)
芸能における移動・交流のさまざまなパターンを原理的に把握し、それが芸能にとってひとつの本質であることを確認のうえ、とくに近世後期の見世物を中心事例にしながら、何が、なぜ、どう、移動・交流するのかを考え、あわせて、文化を越える移動・交流はどう可能で、どう不可能なのかも、具体的に考察する。
- 2011年11月26日
「落語『らくだ』の楽しみ」(横浜国立大学公開講座、於:みなとみらいキャンパス[横浜ランドマークタワー18階])
落語『らくだ』は人気の高い大ネタであり、古くは志ん生や六代目松鶴、近年なら談志や小三治といった師匠連がやっていて、録音も数多い。しかし、これが不思議な噺であり、たとえば、なぜ死人にカンカンノウを踊らせるのかといった謎は解説されることがない。そうした点を含め、この噺の魅力と謎に迫る。
- 2011年11月25日
「究極の乱調とまっとうさ―落語『子別れ』(子は鎹)を考える」(『文学』11・12月号、岩波書店)
岩波『文学』誌の「ことわざ」特集で依頼があって執筆したもの。落語『子別れ』(子は鎹)について、この噺の「まっとうさ」と「乱調」が交錯していく基本構造や、主人公熊五郎の上中と下におけるイメージの違いなどについて、作品論として徹底的に論じている。
- 2011年10月19日
「山手234番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ)
山手の西洋館でのスタジオ授業の第2弾として、今回は山手234番館をお借りして、日本の前近代における対外交流史の基本知識や、「ニュー出島」としての初期横浜について、集中的にレクチャー、ディスカッションをしました。今後もインナー横浜のさまざまな歴史的な現場で活動していく予定です。
- 2011年10月14日
「ブラフ18番館」特別授業(横浜国立大学、国際都市・横浜発見スタジオ)
今年度からはじめた国際都市・横浜発見スタジオでの新しい試みとして、山手の西洋館で授業をおこないました。芸能もそうですが、身体を基本とする「場」や「空間」の意識は非常に重要なものであり、学生たちもいつもとは違う「学び」を体験してくれたのではないかと思っています。
- 2011年10月13日
「江戸の大衆芸能」(ひこね市民大学 歴史手習塾講演、於:ひこね市文化プラザ)
芝居小屋、見世物小屋、寄席という芸能がおこなわれる「空間」に重点をおいた、江戸の大衆芸能に関する入門的色彩の講演。
- 2011年9月中旬
「オランダ統治期バタヴィア関連資料等」研究調査(ジャカルタ滞在)
近世の長崎はバタヴィア(現、ジャカルタ)とつながっていて、オランダ船はこの地からやってきました。三菱財団研究助成による調査の締めくくりとして当地を訪ね、バタヴィアと長崎を結ぶ交易・交通の背景や、ラクダが留め置かれていたであろう旧東インド会社倉庫及び港周辺の実地調査をおこないました。なお、川添のラクダ・プロジェクトの成果は、さらに準備期間を経て『江戸にラクダがやって来た』(岩波書店)として刊行の予定です。
左―かつての港周辺、右―左側の建物が旧東インド会社倉庫で周辺にスラムのような建物を含む市場がある
- 2011年9月1日、2日
「文政期舶来のラクダと〈異国形象〉」プロジェクト、福井・鯖江・小浜研究調査
天保3年(1832)9月にラクダがやってきた小浜の立光寺
- 2011年8月下旬
エストニア旅行(タリン滞在)
家内のタリン大学での国際研究集会発表につきあって、娘ともどもエストニアのタリンに滞在しました。港からはフィンランドも遠くに望めるじつに美しい古都でした。旧市街の「タリン歴史地区」はユネスコの世界遺産に登録されています。
聖オレフ教会の塔頂からタリン港を望む
- 2011年8月14日
「夏の読書特集:江戸ブックガイド ―『身の丈』知って人間を知る」(『朝日新聞』朝刊書評)
『朝日新聞』の夏の読書特集で、江戸の人びとの「身につき」「身に合った」営みを知るための書として、十方庵敬順『遊歴雑記 初編』(平凡社東洋文庫)、延広真治『江戸落語』(講談社学術文庫)、氏家幹人『江戸の性風俗』(講談社現代新書)、木下直之『美術という見世物』(講談社学術文庫)、拙著『江戸の見世物』(岩波新書)の5冊を紹介しました。
- 2011年7月9日
「開港地横浜の芸能―『インターナショナル』と『ローカル』」(横浜商科大学公開講座講演)
開港地横浜は、泥臭い芸能においても「インターナショナル」と「ローカル」がせめぎ合った場である。その様相を初期のサーカスや軽業曲芸などから捉え直す。
- 2011年6月20日
「スピードと社会、そして身体」(『西鶴と浮世草子研究』Vol.5、笠間書院)
江戸時代の中後期と現代とは、どれほど社会のスピードが異なるかを示し、それがもたらす人間の内面にまで及ぶ効率化、合理化という深刻な問題を考究する。
「身体芸能と西鶴・浮世草子の時代―歌舞伎、人形浄瑠璃、見世物、諸芸の視点から」(同上)
近世前期の見世物をありようを近世後期と比較するかたちで示し、時代文化の「身体性」についてさまざまなかたちで論じる。また、西鶴・浮世草子に関して使われてきた「ジャーナリズム」の語が誤用であることを示す。元は2009年12月にやった原道生、河合眞澄、倉員正江各氏との座談会。
- 2011年6月12日
「細工見世物への視点」(国立民族学博物館「造り物の多様性」共同研究会発表)
近世前期から明治までを対象に、細工見世物の特徴を3つの大きな視点から提示。また近年、捉え方が微視的になり過ぎている生人形を、マクロな視点にもう一度置き直す。
- 2011年5月25日
「伊勢佐木町の場所構造をめぐって」(『歌舞伎―研究と批評』46号、歌舞伎学会・雄山閣)
歌舞伎学会の学会誌(「特集:横浜の芸能」)における論文。明治前期から栄えた横浜の興行街、伊勢佐木町について、とくに明治30年代から40年代にかけての様相を分析した論文。これまで考証されなかった古写真、絵ハガキについて内容を同定するとともに、遊廓及び労働者の街とつながる2箇所の「曲がり角」について、そのトポスとしての重要性を考究する。
- 2011年4月3日
「横浜の魅力とは何か」を探る(『グローカルレポート from YOKOHAMA』Vol.5、横浜国立大学)
横国大のウェブ連載『グローカルレポート from YOKOHAMA』で、ゲストに財団法人 横浜観光コンベンション・ビューロー専務理事の成田憲一氏をお迎えし、「横浜の魅力とは何か」をともに考えています。情報満載の横浜観光コンベンション・ビューローのウェブもおすすめです。 追記:対談がおこなわれたのは3月11日で、横浜観光コンベンション・ビューロー(産業貿易センター1F)で対談のさなかに地震の大揺れとなりました。
- 2011年3月末
「文政期舶来のラクダと〈異国形象〉」プロジェクト、神戸研究調査
- 2011年3月18日
『江戸の見世物』(岩波新書)がアンコール復刊
拙著『江戸の見世物』(岩波新書)が、このたび「アンコール復刊」の枠組で重版となりました。何度か重版ののちに品切れとなってから、それほど時日をおかずの復刊で、ありがたいことだと思っています。定価は前回重版の780円から、今回は800円(本体価格)となりました。
- 2011年3月上旬
「川辺の魅力、水辺の魅力」(『グラフィケーション』173、富士ゼロックス)
人間にとって本源的な「うるおい」の場としての川辺や水辺の空間について、鶴見川河畔の地元綱島のことや、日本芸能における文化史的背景から記しています。併せて最近のイベントとして、鶴見川流域スタンプラリーと、横浜国大ではじめた「もっと横浜」プロジェクト・港町クルーズスタディにもふれています。私のペンネームが川添裕であることによる依頼で、この号の特集は「川・水辺の再生」です。
- 2011年2月20日
「太田記念美術館 江戸文化講座―江戸の大衆芸能」第3回講演:落語(原宿、太田記念美術館)
(好評につき第1回〜第3回まですべて満員、申し込み締切となりました) 江戸後期に、いわば「ご近所での気楽なくつろぎ」としてあった落語、寄席芸能について、その具体的な様子を浮世絵などのビジュアル資料をもちいながら話をします。
- 2011年2月中旬
オランダ「日本関連資料」等 研究調査
昨年に続く2回目の調査で、19世紀初期のオランダ側における時代的、文化的様相について、背景となる全般的な状況についての理解をも広げたいと思います。
- 2011年2月13日
「太田記念美術館 江戸文化講座―江戸の大衆芸能」第2回講演:見世物(原宿、太田記念美術館)
(好評につき第1回〜第3回まですべて満員、申し込み締切となりました) 江戸後期に最もポピュラーな庶民娯楽であった見世物について、その何がどう庶民に親しみ深かったのか、浮世絵などのビジュアル資料をもちいながら具体的に話をします。
- 2011年2月11日
「もっと横浜」プロジェクト 港町YOKOHAMAクルーズスタディツアー&トークイベント
横浜国立大学で「もっと横浜」プロジェクトを立ち上げ、「もっと横浜」宣言をおこないます。その第1回イベントとして「港町YOKOHAMAクルーズスタディツアー」を実施します。一般の方も500円にて参加できます(予約制)。川添が構成員である教育人間科学部(人間文化課程 社会文化コース+国際共生社会課程ほか)によるプロデュースのイベントです。こちらにPDF版のポスター。
- 2011年2月6日
「太田記念美術館 江戸文化講座―江戸の大衆芸能」第1回講演:歌舞伎(原宿、太田記念美術館)
(好評につき第1回〜第3回まですべて満員、申し込み締切となりました)
江戸後期の芝居小屋の「親密な空間」について、その具体的なありようと文化的背景について、浮世絵などのビジュアル資料をもちいながら話をします。3回の全体が、拙著『江戸の大衆芸能―歌舞伎・見世物・落語』(青幻舎)に基づく内容です。
- 2011年1月19日
浅草雑芸団が横浜国立大学に来演
浅草雑芸団が横浜国立大学に来演し、日本伝統の大道芸をたっぷり披露します。とくに正月の祝福芸の「春駒」「大黒舞」などが特徴です。教育文化ホールにて16:30開演。追記:もう他では見られない日本の伝統大道芸の数々と、よく考え抜かれた観客の「つかみ」で、留学生を含めた90人ほどの参加者を楽しませてくれました。見事なパフォーマンスでした。
太神楽の曲芸
- 2010年11月19日〜21日
「文政期舶来のラクダと〈異国形象〉」プロジェクト、津山研究調査
只今進行中の本研究プロジェクト「文政期舶来のラクダと〈異国形象〉」は、2011年9月末に研究期間が終了します。元々、終了後に一書にまとめる予定で進めておりましたが、『江戸にラクダがやって来た』のタイトルで、岩波書店から刊行することになりました。12月22日追記
文政11年(1828)10月にラクダがやって来た徳守神社
- 2010年11月3日、4日
「文政期舶来のラクダと〈異国形象〉」プロジェクト、徳島研究調査
文政10年(1827)11月にラクダがやってきた慈船寺
- 2010年10月19日〜21日
「文政期舶来のラクダと〈異国形象〉」プロジェクト、長崎研究調査
文政4年(1821)6月にラクダが到着した長崎・出島
- 2010年7月22日、23日
鹿児島県加世田、竹田神社門前の「水車からくり」など(研究会)
国立民族学博物館の「造りもの共同研究会」が、鹿児島県加世田の南さつま市市民センターで開催されました。加世田の竹田神社の祭礼は、口蹄疫の影響で残念ながら中止でしたが、門前の水車からくりはじっくりと楽しむことができました。また少し足をのばして、知覧の水車からくり(豊玉姫神社)も見てきました。知覧は特攻機が飛び立った場所で、特攻平和会館でも有名な土地です。
-
2010年5月上旬
台湾旅行
短期間ですが、台北とその周辺にいってきました。今回は日本工業大学教授で歴史的建造物の保存・復元で知られる波多野純先生が「先達さん」の旅行で、現地の中國科技大學の研究者(孫 Sun Chi-Jong さん、波多野想さん)のご案内が加わり、とくに旧日本人居住区の復元日本家屋を見学できたのが印象に残ります。こうした都市の復元文化資源や三峡老街、大渓老街の古い街並みほか、金瓜石の廃鉱なども興味深いものでした。
左は庭に柿の木がある復元された日本家屋(台北市内の旧日本人居住区)。右は金瓜石の廃鉱から海を望む
-
2010年4月1日
横浜国立大学教授着任
3月31日をもって8年間勤務した伊勢の神宮門前の皇學館大学教授を辞し、4月1日より横浜国立大学教授に着任しました。教育人間科学部および大学院教育学研究科にて比較文化論、日本の思想と文化、表現文化論ほかを講じます。「毎週、伊勢参り」を続けてきましたが、今後は生まれ育った横浜の地を拠点に活動していきます。→大学の川添紹介ページ
- 2010年3月20日〜21日
東アジアの民族イメージ:前近代における認識と相互作用(国立民族学博物館機関研究「人類学的歴史認識」国際シンポジウム)
国立民族学博物館がおこなう上記の機関研究シンポジウムにおいて、「日本の対外的イメージ」のパートで川添が報告をおこないます。タイトルは「江戸庶民がみる異国/自国の形象」です(21日午後の部 13時より、於 大阪・民博第4セミナー室)。デジタルチラシはこちら。(これをもとに論文を書く予定です)
- 2010年3月中旬
オランダ「日本関連資料」等 研究調査
オランダ所在の日本関連資料の研究調査に行ってきます。三菱財団の研究助成金による調査です。
- 2010年2月末〜3月初
上海「豫園・元宵節」等 研究調査
今回で2回目になりますが、上海の豫園で春節の最後を飾る元宵節(今年の場合は2/28)の様子を、「つくりもの」や「灯会、灯籠祭」を中心に見てきました。今年は元宵節がちょうど日曜日と重なって、それほど広くない場所に以前にもまして物凄い人出で、現地のテレビでは「超百万」の人出と報道していました。また、万博を目前にひかえた上海は、古い家屋や街並みの破壊と高層住宅化が進み、オリンピック前の北京と同様の状況を呈していました。
夜になって灯りがともされると、それが池水に映えて美しく幻想的な雰囲気をかもしだす
- 2009年11月1日
「日本人と虎、そして虎の見世物」(『虎屋・寅年・虎づくし』展小冊子、虎屋文庫)
羊羹のとらや運営の虎屋文庫で、来年の干支にちなんで『虎屋・寅年・虎づくし』展(第72回虎屋文庫資料展、11月1日〜30日、東京都港区赤坂4-9-22 虎屋ギャラリー、入場無料)がおこなわれます。その展示小冊子に、日本人と虎、虎の見世物に関する文章を執筆しています。
- 2009年10月22日
『コミュニケーションの風景』(共著、皇學館大学コミュニケーション学会)
川添が仕事をする皇學館大学コミュニケーション学科が開設10周年を迎え、卒業生、在学生、教員が執筆の記念本『コミュニケーションの風景』(共著)が刊行になります。川添は「カタカナ学科のパワー」という10枚程のエッセイを書いていて、久しぶりに本の装丁デザインもやっています。
- 2009年10月4日
明治大学 + 台東区 国際浅草学プロジェクト「浅草見世物―奥山の風景」記念講演
明治大学の戦略研究プロジェクト「国際浅草学」の年度イベントで記念講演をします。私のほか紙芝居研究の姜竣さんの講演、上島敏昭さんたち浅草雑芸団と藤山新太郎師の実演もおこなわれます。場所は浅草「ミレニアムホール」(台東区生涯学習センター)。→PDFチラシ
- 2009年9月14日〜18日
ゼミ研究旅行・ホノルル
皇學館大学3年ゼミ生との研究旅行で、短時日ですがホノルルへ行きました。学生連れのホノルルは今回で5回目、かなり「ホノルル通」「オアフ島通」になってきました。
- 2009年9月9日
財団法人 三菱財団研究助成に決定「文政期舶来のラクダと〈異国形象〉」
「文政期舶来のラクダと〈異国形象〉」の研究テーマで、財団法人三菱財団から研究助成金をいただけることになり、この日に贈呈式があります。10月から2年間かけてオランダ調査、全国調査などに取り組み、研究期間終了後は、さらに一書へとまとめあげていくつもりです。
- 2009年9月5日、6日
熊本県山都町、八朔祭など(研究会)
国立民族学博物館の「造りもの共同研究会」が、熊本県の山都町(旧、矢部町)公民館および熊本県民交流館パレア(熊本市)で開催されました。矢部ではちょうど八朔祭が開催中で、各種の樹木、葉、竹、ススキなどの天然素材を用いてつくる巨大な造りものを見ることができました。
矢部の八朔祭の造りもの「カエサル参上」
- 2009年7月3日
「マサカリ持ちになって」(『文化資源学会ニューズレター』14号)
文化資源学会がおこなった「神田祭附祭復元プロジェクト」において、神田祭の大江山凱陣の曳き物で実際に「大マサカリ持ち」として参加した経験(5月9日)について記しています(8頁)。なお、肩書きに「皇學院大学」とあるのは「皇學館大学」の間違いです。
- 2009年6月25日
木造劇場研究会 / 早稲田大学 演劇博物館グローバルCOE・講演発表「小屋の場、小屋の記憶」
お茶の水女子大学の神田由築さんとペアでの、共通テーマ「小屋の場、小屋の記憶」の講演発表。川添の個別テーマは「江戸の大衆芸能―三つの親密空間と<閉鎖/開放>性、記憶の継承」で、江戸の文化文政期における芝居小屋・見世物小屋・寄席の三つの「親密空間」それぞれの意味と、小屋の場における記憶の継承の問題を考察しました。神田さんは「京都金蓮寺―芸能の場の記憶」のタイトルで、いわゆる四条道場をめぐり長年蓄積の研究成果の一端を発表されました。木造劇場研究会と早稲田大学 演劇博物館グローバルCOEプログラムとの共催で、演博レクチャー室にて18:30〜21:00開催(こちらの演博サイトにも紹介)。
- 2009年5月9日
神田祭の「大江山凱陣」に参加
江戸総鎮守・神田明神の天下祭である神田祭に参加しました。東京大学の木下直之さん(文化資源学会)、日本女子大学の福原敏男さん(都市と祭礼研究会)らがやっている附祭復元プロジェクトのなかで、巨大な鬼の首が印象的な「大江山凱陣」の曳き物に参加、行列の先頭で異国人風衣装を着て大マサカリ持ちをやりました。ハリボテとはいいながら、やっぱりとても重い!
鬼の首の前で大マサカリを持つ川添
- 2009年5月2日
穂高神社、穂高人形まつり(研究会)
民博の「造りもの共同研究会」が、長野県安曇野市の穂高神社および松本市で開催されました。穂高神社は20年に一度の大遷宮祭で、今回は本殿のほかに立派な新拝殿も完成、ちょうど奉祝穂高人形まつりが開催中(5.2〜5.17)でした。この人形まつりは、日本でも有数の巨大スケールを誇る人形飾り物で、かぐや姫、那須与一・扇の的、川中島合戦、大江山・酒呑童子の各テーマほか、大河ドラマネタの「豊臣秀吉の招待をうける上杉景勝・直江兼続主従」などが、見事に神苑に飾られていました。
穂高神社の人形飾り物(大江山・酒呑童子)
- 2009年4月24日
岐阜市歴史博物館『日本のパロディー―古典にまなぶ、古典であそぶ』展 出品・協力
岐阜市歴史博物館の特別展『日本のパロディー―古典にまなぶ、古典であそぶ』に出品・協力しています。会期は4月24日(金)から5月24日(日)まで。(岐阜駅よりバス、岐阜公園歴史博物館前で下車。岐阜市大宮町2-18-1 TEL.058-265-0010)。追―5月21日に時間が出来てやっと観ることができました。思ったよりも規模が大きく、質の高い立派な展示でした。
- 2009年3月上旬
北京「京劇、雑技等」研究調査
一昨年、昨年にひきつづいての京劇、雑技等の芸能研究調査で、短期間ですが北京に行きました。昨年にくらべると北京の「建設ラッシュ」は一段落した感じです。ただ、胡同破壊後に建つ高層アパートは人間味がなく、古い街並みがうまく破壊を免れて欲しいなあという気持ちは、さらに強くなりました。今回は長安大戯院で観た京劇長編の『龍鳳呈祥』、天橋雑技劇場の北京雑技団などが良かったですが、伝統様式の湖広会館という場、芝居小屋に、さらにもう一歩親しめたことが大きな成果かもしれません。そうした劇場の雰囲気は、目下、新宿ピカデリーで先行公開中の映画『花の生涯―梅蘭芳』(チェン・カイコー監督)にもつくりこまれています。
湖広会館の客席(2楼上手雅座から舞台方向)
- 2009年3月初
「現代人にとっての伝統芸能の魅力とは」(『ハイライフ研究』11号)
読売広告社系列の財団法人ハイライフ研究所が発行の『ハイライフ研究』11号に掲載(18頁〜23頁)。伝統芸能と現代人との間の大きな距離は、「魅力」であるとともに「とっつきにくさ」の原因でもあり、どうやってそれをうまくつないでいくのかを、私なりの伝統芸能の「エヴァンジェリスト」(伝道者)としての意識から論じています。雑誌の全体は「和回帰―その本質とゆくえを探る」という特集で、現今の和ブームについて、さまざまな切り口からの中味が盛り込まれています。雑誌全体が読めるPDFファイルも公開されています(ファイル容量27M)。
- 2009年2月27日
『宿神論』紹介(『日本経済新聞』「文化往来」)
『日本経済新聞』の朝刊コラム「文化往来」にて、服部幸雄先生の『宿神論』(岩波書店)が「服部幸雄の“幻の日本文化論”を出版」のタイトルのもと、その出版の画期的意義がくわしく紹介されました。川添による「日本文化の世界認識のあり方を考える際、避けて通れない心性の原像を描きだした」とのコメントものっています。2009年2月27日朝刊第40面(最終面)に掲載。本の詳しい内容はこちらから。
- 2009年2月22日、23日
福井県勝山市、左義長など(研究会)
民博の「造りもの共同研究会」が、福井県の勝山市および福井市立郷土歴史博物館で開催されました。早めに到着して平泉寺白山神社に参拝、いくらか雪におおわれた南谷にも足をのばし、途中から雨になりましたが、さらに左義長まつりで賑わう勝山を歩きました。
勝山左義長まつり (各町それぞれがご神火をともして神明神社から出発、そして九頭竜河原でドンド焼き)
- 2009年1月27日
服部幸雄先生の『宿神論』(岩波書店)刊行
おかげさまで発売となり、本日より書店等での入手が可能です。内容の詳細はこちら。
- 2009年1月25日
「天勝の生涯」(『彷書月刊』2009年2月号)
女性奇術師・松旭斎天勝の生涯について、「女のイメージ」「天勝の生年」「豪華なショーと宣伝タイアップ」などの視点から記しています。なお、この『彷書月刊』は「天勝」特集になっていて、肥田晧三先生や神山彰さん、岡田則夫さんほかが、それぞれ興味深い内容を記しています。18頁〜21頁に掲載。
- 2009年1月25日
服部幸雄先生を偲ぶ会
一昨年(2007)12月28日に帰幽された服部幸雄先生の一年祭が終わり、遺著となった『宿神論』(岩波書店)および『絵で読む歌舞伎の歴史』(平凡社)が刊行されたのを機に、「服部幸雄先生を偲ぶ会」が船橋グランドホテルで催されました。歌舞伎研究、能楽研究、芸能史研究の各界や劇場の現場、また出版界と、それぞれの分野で親しくさせていただいた者や研究上の刺激を受けた者が集まってご親族とともに思い出を語り合う、とても良い会となりました。
- 2009年1月13日
「もっと舞台芸術に親しもう」(『公明新聞』)
「日本の男性諸氏へ もっと舞台芸術に親しもう」のタイトルで、江戸時代の歌舞伎にはもっとずっと男性の観客が多いことを記し、そうした誘いの書としての拙著『江戸の大衆芸能』(青幻舎)のことなどを紹介しています。第5面に掲載。
- 2009年1月11日
たばこと塩の博物館・特別展講演「見世物と異国―舶来動物を中心に」(於、たばこと塩の博物館)
古来、日本人は舶来動物をつうじ、その「向こう側にある異国」をどのようにイメージしてきたのだろうか。今回はとくに、江戸時代後期に盛んにおこなわれた舶来動物の見世物を素材に、「おらんだ」「唐」といった異国や異文化・異域・異界が、どのように形象化、表象化されたかについて、午後2時から1時間半ほど話をします。開館30周年記念特別展『おらんだの楽しみ方』の案内はこちらから。(渋谷駅より徒歩10分。渋谷区神南1-16-8[公園通りパルコ先の東武ホテル向かい側] TEL.03-3476-2041)
- 2008年12月19日
「舶来動物と見世物」『人と動物の日本史2 歴史のなかの動物たち』(吉川弘文館)
日本における舶来動物の歴史を、古代から明治初めまで通史的に追ったうえで、その中における江戸期の「舶来動物見世物」の意味を、異国動物の大衆的普及、異国動物をめぐる俗信(珍し動物のご利益)、人間と猛獣の関係史などの視点から論じています。400字45枚ほどの論考。127〜160頁に掲載。なお、132頁の後ろから2行目「宗商」は、正しくは「宋商」です。同音の変換ミスです、すいません。本全体の紹介はこちらにあります。奥付は2009年1月10日付。
- 2008年12月15日
皇學館大学神道博物館『伊勢の歌舞伎と千束屋』展 出品・協力
皇學館大学神道博物館で特別展『伊勢の歌舞伎と千束屋』が開催されます。会期は12月15日(月)から2009年5月30日(土)まで、但し日・祝、年末年始、および3月11日〜13日は休館です(土曜日は12時まで)。千束屋資料の歌舞伎衣裳をはじめ、台帳、小道具、関連の伊勢歌舞伎資料が展示され、川添も番付4点を出品しています。図録も刊行され、学芸員スタッフが解説を執筆し、私自身は鳥屋熊吉の伊勢での興行事例や若衆歌舞伎の新出資料を中心に「伊勢歌舞伎の輝き」という文章を執筆しています。(近鉄宇治山田駅からバス約10分、徒歩の場合は約20〜25分。516-8555 伊勢市神田久志本町1704 皇學館大学内 TEL.0596-22-6471。※遠方からお越しの方は念のため、開館・休館、開館時間をご確認ください)
- 2008年12月13日
たばこと塩の博物館『おらんだの楽しみ方』展 出品・協力
渋谷のたばこと塩の博物館でおこなわれる開館30周年記念特別展『おらんだの楽しみ方』に出品・協力します。会期は12月13日(土)から2009年1月25日(日)まで、興味のある方はぜひ足を運んでください。海外からもたらされた文物や学問を通し、江戸時代の人びとが「おらんだ」に象徴される異国文化をどのように楽しんでいたかをビジュアルに展示します。2009年1月11日(日)午後2時からは、川添の講演もおこなわれます。(渋谷駅より徒歩10分。渋谷区神南1-16-8[公園通りパルコ先の東武ホテル向かい側] TEL.03-3476-2041)
- 2008年11月25日
「追悼 服部幸雄先生」『歌舞伎―研究と批評』41号(歌舞伎学会・雄山閣)
歌舞伎学会の学会誌で服部幸雄先生の追悼文を書いています。かつて平凡社の編集者として先生と出会った経緯、思い出、また、先生の執拗な校正や本づくりへの姿勢などについて記しています。105〜107頁に掲載。
- 2008年10月8日
『江戸の大衆芸能―歌舞伎・見世物・落語』(青幻舎)
江戸の大衆芸能をテーマにしたカラー図版満載の1冊を、京都の美術系の出版社・青幻舎からだしました。「大江戸カルチャーブックス」というシリーズの1冊で、歌舞伎、見世物、落語の世界を約120点の図版(オールカラー)で紹介しながら、「芸能の場の親密空間」「大衆芸能のありか」「江戸の大衆メディア空間」などのテーマもとりあげています。歌舞伎、見世物、落語の三つを並び立つかたちでとりあげた本自体ないはずですが、自分なりの「大衆芸能観」を示しながら、ありきたりでない新味のあるもの、かつビジュアルに面白いものにしようと思って、苦労してつくりました。10月8日刊行(奥付は11月1日)。詳細は、こちらの専用別ページでご案内しています。
- 2008年10月1日
国立民族学博物館共同研究プロジェクト
10月からはじまった国立民族学博物館の共同研究「民俗行事における造り物の多様性」(代表は福原敏男氏)に加わっています。祭りの造りものや山車人形、細工見世物、イベントの造りものまでを含め、これら文化を総合的に考えていこうという試みで、しばらくのあいだ継続しておこなわれます。くわしくはこちら。
- 2008年9月16日
JR東海ウェブ「参りましょう。伊勢志摩」コラム「宇治橋あれこれ」コメント
JR東海のウェブ「参りましょう。伊勢志摩」の「宇治橋あれこれ」というコラムの第1回目で、日本文化における「橋」の意味について、私なりに短いコメントをしています。2008年9月16日から掲載中。こちらから読めます(中央部右側「宇治橋あれこれ」のバナーからリンク)。
- 2008年9月中旬
ゼミ研究旅行・シンガポール
今年は3年ゼミ生との研究旅行で、短期間ですがシンガポールへ行きました。昼間のシンガポール動物園またナイトサファリと、ダブルで動物園を楽しみました。舶来動物と動物園についての企画を考えており、ここのところ外国へ出ると、必ず動物園に行っています。シンガポールは目下、2箇所で大規模リゾート開発が進んでおり、海を掘るような大工事の様子も見てきました(9月18日帰国)。
- 2008年9月14日
北海道新聞 書評(浜美雪『笑いの女神たち』白夜書房)
浜美雪『笑いの女神たち』(白夜書房)の書評で、「有利不利見抜く人物評」との書評タイトルがつけられています。本書は、女性のお笑い系芸人、女性タレント、女性歌手など、著者いうところのコメディエンヌ21人をとりあげたもので、斯界において女であることの有利不利、特徴、特異点などを中心に人物評を展開しています。現在はここで読めます。『北海道新聞』9月14日(日曜)朝刊の第14面に掲載。
- 2008年9月1日
「中国雑技の故郷」『日中文化交流』NO.747・9月1日号(日本中国文化交流協会)
「縦波横波」というコーナーで、10年前(1998年)の8月に橋爪紳也さんのお誘いで行った、河北省・呉橋の公立雑技学校の話を記述。ちょうど10年前の8月31日付けで私は平凡社を辞めたわけですが、雑技学校の子どもたちからどこかエネルギーをもらうようなかたちで、新しい仕事を始めていったことを記しています。橋爪さんにも改めて感謝。4頁に掲載。
- 2008年8月31日
「私のこの一冊」『芸能懇話』19号(大阪芸能懇話会)
「私のこの一冊」という小特集で、延広真治先生の『落語はいかにして形成されたか』(平凡社、1986)について執筆紹介。自分で編集した本なのでちょっと「自画自賛」にはなりますが、しかし、人と咄の集まりから落語が再生したという本質的な視点、また検証の具体性という点で、落語史研究の次元を変えた尖鋭的、画期的な本だと私は思っています。98頁に掲載。『芸能懇話』の購入はこちら。
- 2008年8月24日
小江戸サミット講演「江戸庶民の娯楽―『親密空間』としての芸能の場」(於、川越氷川会館)
小江戸サミット(川越市・栃木市・香取市)で講演をやります。芝居小屋、寄席、見世物小屋といった庶民芸能のトポス、場のあり方から、人間にとって必要な「親密空間」について、芸能史的、歴史的に考えてみたいと思います。場所は川越氷川会館(川越総鎮守の氷川神社境内地)にて、午後2時より3時まで。[無事終了しました。当日は川越の観光都市としての成功、伝統を活かしたまちづくりを十数年ぶりに目にし、ちょっと感動をおぼえました。懇親会では、商工会議所の会頭さんや各市のリーダーの方々からいろいろとお話を伺いました]
- 2008年8月9日
日本経済新聞 「交遊抄」
「恩寵の夏」というタイトルで、21年前の夏の湘南の故戸井田道三さん宅と、そこへ誘ってくれた友人の今福龍太さんのことを書きました。言及している今福さんの新著『ミニマ・グラシア』(岩波書店)[ミニマ・グラシアとは、極小の恩寵、最小限の恩寵、ミニマムな恩寵の意]は、9.11後の暴力的世界、メディア化された「断言的社会」を超えるための人間精神の拠り所として、ソロー、シモーヌ・ヴェイユ、ベンヤミン、スーザン・ソンタグ、アレーナス、オクタビオ・パス、金芝河らの生き方と作品から、人間古来の視座=最小限の恩寵をとり戻そうとする力作で、おすすめです。『日本経済新聞』8月9日朝刊の第36面(最終面)に掲載。
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2008年7月17日
rakugo.com 立ち上げ10周年
わがrakugo.comサイトを立ち上げてちょうど10周年になります。8月末には平凡社を辞めて10周年。つまり10年前、1998年6月末に社長が交替する話をご本人から聞いて、私も即座に退社することに決め、独立するならサイトを立ち上げようと思ってrakugo.comをはじめました。そんなわけで、この「最近の活動と予定」コーナーには、辞めた翌月の1998年9月末からの外向きの公開の仕事が記されています。
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2008年6月14日
『浮世絵大事典』(「見世物」の項目を執筆、東京堂出版)
浮世絵の事典としては久々の出版で、国際浮世絵学会の編により東京堂出版から刊行。川添は「見世物」という項目で、見世物を描いた浮世絵などについて概説しています。464頁に掲載。発行奥付は6月30日。
※「見世物」の項目中の21行目「小奉書全相当の薄紙一枚」は、正しくは「小奉書全判相当の薄紙一枚」です(「判」が抜けている)。小生が戻した校正紙のコピーを見るとちゃんと「判」が入っているのですが……。あとこの事典には、驚くべきことに索引がありません。私自身、何冊も事典をつくった経験がありますが、いくら面倒でも(あるいは頭の悪い小理屈で索引なんかいらないとか内輪で決めて)、こういう馬鹿なことをやってはいけません。
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2008年6月4日
『歴史学事典 15 コミュニケーション』(「古典芸能」の項目を執筆、弘文堂)
日本史、東洋史、西洋史合同で編纂の『歴史学事典』の第15巻「コミュニケーション」で、「古典芸能」の項目を書いています。400字で25枚ほどの大項目で、日本の古典芸能の本質とは何かに、コミュニケーション、コミュニケーション史の観点から私なりに迫っています。『歴史学事典』で「コミュニケーション」をテーマにするのは斬新な試みで、歴史研究の新たな沃野としての「コミュニケーション、あるいは第三の領域」といった編集方針も、樺山紘一先生によって記されています。歴史を一種のコミュニケーション過程、コミュニケーションのプロセスとしてとらえる方法論は、私自身、『コミュニケーション事典』(平凡社、1988)を編集したときからずっと考えてきたことで、まさに歴史研究の「沃野」だと思っています。出版社の紹介ページはこちら。
- 2008年5月4日
日本経済新聞 書評(三原文『日本人登場―西洋劇場で演じられた江戸の見世物』松柏社)
「海を渡った軽業師 立体的に描写」と書評タイトルが付けられたように、幕末明治に海外へ渡航した日本の軽業師、曲芸師を扱った本。これまでにもいくつか類書はありますが、まったく研究の次元を変える出色の本です。海外調査が圧倒的にくわしく、単にくわしいだけではなく記述が立体的で、いわゆる thick description になっています。欧米人側の「五感」の領域にも踏み込んで、どう享受されたか、どう日本が「発見」され、日本の芸能が認識されたかを多角度に論じています。『日本経済新聞』5月4日(日曜)朝刊の第21面に掲載。
- 2008年3月31日
『コミュニケーション力とは何だろう』(共著、皇學館大学出版部)
いま、世の中で最も必要とされる「コミュニケーション力」について、皇學館大学コミュニケーション学科の7人の教員が、それぞれの専門の視点から論じたものです。2007年におこなった月例文化講座を元に、各人が改めて原稿を書き下ろしています。小生は「『コミュニケーション事典』を作った経験から」の章を執筆し、かつて作った『コミュニケーション事典』を振り返り、また新たな事典を構想するかたちで、現代のコミュニケーション状況について論じています。くわしくはこちら。
- 2008年3月上旬
北京「京劇、雑技等」研究調査
昨年に引き続いての北京を中心とした京劇、雑技等の芸能調査。いくつかの劇場と資料館をまわりました。結局、私には伝統様式の小さな劇場で、舞台と客席が非常に近い湖広会館が一番親しみやすい場所です。今年は京劇公演のほかに、名家新秀による演唱会にも出くわして、「ハオ!」の声が飛び交う地元ファンの雰囲気がよくわかりました。下町の中心、前門大街は完全に封鎖されており、そっくりすべて建て替えのようです。ただ、大柵欄西街から西側へ、琉璃廠東街から東側へと、路地をうろうろ入っていくと、すがれた雰囲気がまだまだあります。
虎坊橋の湖広会館での演唱会(左)、護国寺街の梅蘭芳記念館の石像前にて(右)
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2008年2月24日
「松旭斎天勝」(月刊『歴史読本』2008年4月号、新人物往来社)
『歴史読本』の「明治女傑伝」特集で、美貌をもってしられる女流奇術師・松旭斎天勝(しょうきょくさいてんかつ)について書きます。雑誌の表紙も、小生がもっている天勝の写真エハガキです。天勝については、ミネルヴァ書房の「日本評伝選」シリーズで近々1冊を書き下ろすことになっていて、その予行演習というかエッセンスのようなものになっています。P.134-140に掲載。
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2007年12月8日〜9日
歌舞伎学会創立20周年秋季大会(於、文京学院大学)
歌舞伎学会創立20周年の大会で、「歌舞伎学会設立のころ」(8日・鳥越文蔵氏、今尾哲也氏ほか、13:45-16:00)、「平成歌舞伎の20年」(9日・渡辺保氏、権藤芳一氏ほか、15:30-17:30)といった座談会、シンポジウムや原道生氏の講演「資料整備と研究」(9日・14:25-15:25)などがおこなわれます。9日が研究発表で、川添は山田和人さんの「竹田からくりの演出」という発表のコメンテーターをさせていただきます。
- 2007年11月25日
服部幸雄+川添裕「歌舞伎劇場研究の過去と現在―『大いなる小屋』から二十年」『歌舞伎―研究と批評』(39号、歌舞伎学会・雄山閣)
歌舞伎学会の学会誌で服部幸雄先生をゲストに迎え、川添が聞き手として、「歌舞伎劇場研究の過去と現在」についていろいろ話をうかがっています。服部先生の長年の問題意識を中心に、歌舞伎劇場(芝居小屋)の研究史と劇場文化史を大きく整理し、現場の感覚にも留意しながら、今後の可能性や課題などを示しています。昨年11月にやったイベントの活字化ですが、服部先生も小生もかなり手を加えているので、より充実したものになっていると思います。P.5-29に掲載(学会誌『歌舞伎―研究と批評』は雄山閣から発売)。
- 2007年11月下旬
沖縄旅行・琉球舞踊など
短期間ですが沖縄へいって、琉球舞踊などを観てきました。知りだすと離島や奄美も含めてもっと観たくなり、歌舞伎や能との関連なども考えてみたくなります。さまざまな楽器もじつに魅力的。これは楽しかったのですが、11月はいろいろ重なって新幹線だけでも15回乗っており、かなり疲労気味。原稿が遅々としか進みません。
わずか8室のクラシックな沖縄第一ホテル
- 2007年10月21日
日本経済新聞 書評(氏家幹人『サムライとヤクザ』ちくま新書)
徳川の泰平の世を迎えると、戦士たちは無用になり、荒々しい「男道」から、役人のお作法としての「武士道」への大きな変容がおこる。荒くれの系譜は陸尺(ろくしゃく)、鳶の者といった庶民に受け継がれ、幕府や藩邸ではこうした荒くれ男を雇い入れ、いわば武威のアウトソーシングがおこなわれていた。ここに発する、戦えない武士たちの「男としてのコンプレックス」、また「武威の外部委託」の構造が、近現代の政治家、企業人にまで影響を及ぼしていることを指摘した、なかなか興味深い本。『日本経済新聞』10月21日(日曜)朝刊の第25面に掲載。
- 2007年9月中旬
ゼミ研究旅行・ホノルル
今年もまた皇學館大学3年ゼミ生との研究旅行で、短時日ですがホノルルへ行きます。テーマは「世界有数の観光地における観光演出とサービスの見学」で、いかに「観光地ハワイ」なるものがかたちづくられ、認識され、演出され、楽しまれているかを考えます。
- 2007年9月8日
皇學館大学・月例文化講座「コミュニケーション事典を作った経験から」
かつて出版社にいた私が企画編集した本に『コミュニケーション事典』(平凡社、1988)がある。この種の事典では本邦初の出版であり、その後も今日に至るまで、これ以外に出版をみていない。当時どのようにコミュニケーションをとらえていたかを振り返るとともに、いま一度『コミュニケーション事典』を作るとしたらどんな事典にしていくのかを、近年のとみにコミュニケーション能力を要求する社会との関連で考えてみたい。午後2時より、皇學館大学伊勢学舎431教室、無料。
- 2007年7月9日
『日本経済新聞』夕刊「落語教室大入り、会話力けいこ」コメント
『日本経済新聞』の標記の記事(7月9日夕刊第18面、関西版では第16面)にコメントしました。落語教室がはやるのは、「遊び感覚でコミュニケーション力を養える」からで、「現実社会の緊張から一時離れ、なごみを感じられるのも人気の理由」と、コメントしています。近年のコミュニケーション能力を求める社会と、落語ブームがどこかでくっついて、落語教室に受講生が来る。でも、それは自己啓発や話し方教室の真面目一辺倒の功利性、実利性とはちがって、「なごみ」を求める感覚があるのだと思います。本当は、落語は笑い(滑稽噺)だけではないんですが、やはり一般には落語=笑いという意識が強いのではないでしょうか。
- 2007年6月5日
朝倉無声『此花/風俗図説』復刻版全3巻・解説(ゆまに書房)
朝倉無声主宰の雑誌『此花』および『風俗図説』が復刻出版されました。川添は解説を担当していて、両雑誌についての説明と、無声のやや詳しい閲歴などを書いています。また、復刻の底本も川添蔵本を提供しています。ゆまに書房編集部による詳細な索引(総101頁)と総目次(総48頁)が付加されおり、非常に使い勝手のいいものとなっています。A5判・箱入・全3巻で本体47,400円、比較的少部数での出版です。詳しくはこちらで紹介。また、ゆまに書房の紹介ページへ。
- 2007年5月28日
『週刊現代』6月9日号 書評(浜美雪『師匠噺』河出書房新社)
浜美雪『師匠噺』(河出書房新社)の書評。第一線で活躍する落語家12人が、自らの師匠について語った本。インタビュー集というよりは、著者の文章がだいぶ挟み込まれた構成で、個人的には松鶴と鶴瓶、小柳枝・柳昇と鯉昇の章が面白かったです。松鶴と鶴瓶に興味を持った読者は、是非とも『六世笑福亭松鶴はなし』(岩波書店、2004)もご一読を。落語家の師弟の奥深さが、さらにわかります。146頁に掲載。
- 2007年5月20日
日本経済新聞 書評(木下直之『わたしの城下町』筑摩書房)
木下直之さんが「お城」を追いかけた本。江戸城(宮城、皇居)にはじまり西へと向かい、東海道から大阪を経て、山陽道、九州、そして沖縄の首里城まで、お城とその周辺にあらわれるモニュメント、施設、事件など、近現代の文化現象としての「お城シンドローム」をとりあげた異色の内容です。何の分野の本かは誰にもわかりませんが、ちんまりとした「専攻」なんかに撤退せず、興味本位に「お城」という対象を「攻め」つづけているところがいいです。『日本経済新聞』5月20日(日曜)朝刊の第24面に掲載。
- 2007年5月10日
『中日新聞』朝刊「ぶんぶん人類学」に紹介掲載
ユニークな研究者を紹介する『中日新聞』の文化欄「ぶんぶん人類学」で、川添が見世物研究家としてとりあげられました(5月10日付、朝刊第16面)。写真入りで6段分のけっこう大きなスペースです。見世物に見られる「常識や限界を超えようとする心は、人間の精神のはたらきの原点」、「芸能の核は、あり得ないと思うものを見せる見世物にある」等と、喋ったことをうまくまとめてくれています(但し、何かの行き違いで小生の年齢が50歳となっていますが、正しくは51歳です)。『東京新聞』同日夕刊第6面にも掲載されました(こちらはカラー掲載)。
- 2007年4月
「好奇心の授業」(リクルート・進学ネット)
リクルートの進学ネットで、川添の「好奇心の授業」が紹介されています。「芸能娯楽論」というかたちで話したものがまとめられ、下に小生の紹介がついています。いま私がいる皇學館大学コミュニケーション学科の紹介はこちらから。
- 2007年3月末
『皇學館大学文学部紀要』(45輯)「『駱駝之図』を読む―異国形象論に向けて」
文政期(1820年代)に日本へやって来て見世物となったラクダ2頭に関する論考で、当時、歌川国安が描いた浮世絵『駱駝之図』をひたすら読み解くというかたちで、400字で80枚ほど書いています。その読解から現れる大きなテーマは、ラクダ到来の事件を通じ、いかに庶民のあいだで「異国・異界・異文化」がイメージ化され、いかに「異国・異界・異文化」をめぐる言説が飛びかったかで、こうした異国形象、異国表象の問題が、目下の私の大きな関心事です。
- 2007年3月上旬
北京「京劇、雑技等」研究調査
前門大街周辺にて
北京へ京劇、雑技等の芸能調査に行きました。北京は8年ぶりでしたが、2008年のオリンピックを控えて急速に進むビル建設ラッシュと古き下町の大規模破壊に、本当に驚きました。話には聞いていましたが、前門大街の両側はほとんどすべて立ち退きで「拆」(チャイ)なんですね。ある意味で、「歴史を目撃」したような気さえします。調査の方は、湖広会館、北京市工人倶楽部、梨園劇場、朝陽劇場、北方昆曲劇院、天橋楽茶園、長安大戯院ほかを訪れました。
- 2006年11月26日
日本経済新聞 書評(倉田喜弘『芝居小屋と寄席の近代』岩波書店)
明治以降、急速に押し進められた「近代化」は、日本の文化に何をもたらしたのか。この問題を、芝居小屋と寄席の動向から浮かび上がらせようとした本です。当初は「淫猥放蕩」で「荒唐無稽」として斥けられた芸能が、「文明国」に必要な「文化としての芸能」に変容していく過程を、いかにも倉田氏らしい資料博捜により克明に描き出しています。『日本経済新聞』11月26日(日曜)朝刊の第22面に掲載。
- 2006年11月22日
講演「人権講話 芸能はどこで生まれたか」(於、三重県立四日市商業高校)
近世初期から盛んに芸能がおこなわれた河原、大道といった場所を中心に、芸能者への歴史的差別の問題を含めて、「芸能はどこで生まれたか」を語りました。高校生向けに、現代の路上ライブと各自治体による規制の話題を入れたあたりが、問題を身近に考えてもらうきっかけになったようです。
- 2006年5月〜11月
歌舞伎学会 年間企画「歌舞伎の劇場」(4回研究セッション)
最近の歌舞伎座の改築決定や、中村勘三郎の「浅草に江戸の芝居小屋を」といった運動などを背景にしながら、今年の歌舞伎学会では、様々な角度から「歌舞伎の劇場」の可能性を考える研究セッションをおこなっています。川添も少し協力しますので、概要を紹介しておきます。いずれも入場は無料、但し500円程度の資料実費代が必要です。学会による紹介ページはこちら。
・5月14日(日)<西洋と日本> 終了
ヴィクトリア・ジャパンの劇場―劇場の異文化受容 [神山彰] 午後2時〜4時、文京学院大学B-506教室、南北線・東大前下車徒歩0分
・7月16日(日)<中央と地方> 終了
瀬戸内の芝居小屋 [神田由築]
地方の劇場誌―歌舞伎劇場から映画館へ [児玉竜一] 午後2時〜4時、日本女子大学新泉山館大会議室、有楽町線・護国寺下車徒歩10分
・10月22日(日)<研究と実演> 終了
歌舞伎劇場の諸条件―研究と実演と創作の立場から [鈴木英一] 午後2時〜4時、国立能楽堂大講義室、JR中央線・千駄ヶ谷下車徒歩5分
・11月19日(日)<研究と復元> 終了
歌舞伎劇場研究の過去と現在―『大いなる小屋』から二十年 [服部幸雄 聞き手:川添裕] 午後2時〜4時、江戸東京博物館学習室1・2、JR総武線・両国下車徒歩3分
- 2006年9月中旬
ゼミ研究旅行・ホノルル
今年も皇學館大学3年ゼミ生との研究旅行でホノルルへ行きます。テーマは「世界最大の観光地における接客サービス、情報発信等の見学」で、いかに「観光地ハワイ」がかたちづくられ、認識され、演出され、楽しまれているかを、身をもって考えます。
- 2006年9月初
『図書新聞』書評(坂入尚文『間道―見世物とテキヤの領域』新宿書房)
現役のテキヤさんによる半生記で、坂田春夫『啖呵こそ、わが稼業』(新潮社)のあとを継ぐ、近年の真新しい体験記として出色の内容です。とくに登場する「とっぱずれた」仲間たちの描写が秀逸。ただし、自身の数年の「蝋人形」体験(またはその後のテキヤ体験)から綴られる見世物論の部分は、紋切り型の思いこみとヒロイックな語りが目立ち、見世物の歴史的実相とは無縁のファンタジーになってしまっているのが残念です。『図書新聞』2789号(9月9日号、株式会社図書新聞)の第5面に掲載。
- 2006年8月1日
『伊勢人』NO.152コメント(いま、なぜ「ご当地検定」なのか)
京都検定や金沢検定、江戸文化歴史検定など、ここのところ「ご当地検定」ブームですが、伊勢でもいよいよ11月から「検定お伊勢さん」(『検定お伊勢さん 公式テキストブック』参照)がはじまります。いまなぜ、これほど「ご当地検定」ブームなのでしょうか? グローバリズムと日本全国が均質化するなかでのご当地アイデンティティの確認、知識産業社会のなかでの「ハード」(器)から「ソフト」(情報や知識)への移行など、川添なりの視点からコメントをしています。p.77に掲載。
- 2006年7月22日
講演セッション「ケータイのコミュニケーション」(みえアカデミックセミナー2006)
メディア系の講演で、7月22日(土)の13:30から16:10まで三重県生涯学習センター(〒514-0061 三重県津市一身田上津部田1234 TEL:059−233−1151)でやります。共通テーマは「ケータイのコミュニケーション」で、皇學館大学の同僚で社会学者の森真一さんとペアでやります。森真一さんのテーマは「若者にとってケータイがないと困る理由」、川添のテーマは「ケータイの時間、人の時間」で、講演後は会場も交えてのトークセッションを予定しています。先着申し込み100名。公式の案内はこちらから。
- 2006年5月28日
講演「江戸の大道芸」(六義園さつきまつり)
13時より東京・駒込の六義園にて。外語の学生時代にときどき散歩した六義園(りくぎえん。元禄時代に柳沢吉保がつくった回遊式築山泉水庭園。今日に伝わる江戸の代表的な大名庭園です)は本当に懐かしい場所です。そこで「江戸の大道芸」について話をします。前後の時間には、江戸独楽の曲芸の披露もあります。公式の案内はこちらから(芝離宮庭園の下の「六義園さつきまつり」のところ)。
追記:申し込みが多いそうで、好天の場合は予定の心泉亭ではなく、屋外での講演に変更になります。その場合は定員をかなり超過しても大丈夫なようです。
- 2006年4月24日
『検定お伊勢さん 公式テキストブック』(共著、伊勢商工会議所・伊勢文化舎)
伊勢で「京都検定」の向こうを張って、「検定お伊勢さん」(伊勢商工会議所)が11月からスタートします。これはいわばその教科書で、同会議所と伊勢文化舎が共同で編集発行しています。川添は古市界隈を中心とした「柔らかい文化」(歌舞伎、見世物、大道芸、遊廓)のあたりで協力し執筆しています。検定に関しては伊勢商工会議所へお問い合わせください。公式テキストブックの詳しい紹介はこちらから。
- 2006年4月中旬
「書きたいテーマ・出したい本 『日本文化とは何か』」(『出版ニュース』2006年4月中旬号、出版ニュース社)
今後の仕事のテーマなどを記すコーナー「書きたいテーマ・出したい本」で、いま考えている日本文化論の方向を素描しました。「見世物や落語といった世界に深く浸り切ることで、いわば『底の底』の水脈から、最も庶民的な日本文化の像が見えてくるのではないか……(中略)……それは公の記録には残りにくい身体レベルの文化といってよく、かつての庶民世界では余りにも自明であったがゆえに、『近代化』を経た今日ではすっかりわかりにくくなってしまい、しかし逆にそれだけ本質的な日本文化といってもよい」。およそこうした切り口から、私なりの『日本文化とは何か』を書いてみたいと思っています。p.37に掲載。(なお、最初から6行目「*若*波新書」は「*岩*波新書」の間違い、最下段8行目「いくつかの先約*が*」は「いくつかの先約*や*」の間違いです。ファイル原稿で送っているのになぜ誤植が? まさか編集部が打ち直してる?)
- 2006年3月18日
『週刊現代』4月1日号書評(中野翠『今夜も落語で眠りたい』文春新書)
中野翠さんの『今夜も落語で眠りたい』(文春新書)、楽しく読める本で書評を書きました。たしかに落語好きは、夜、寝る前に落語を聴くひとが多いのです。CD、DVD等で手軽に聴ける名人たち(志ん生、文楽、円生、馬生、志ん朝)の落語が中心で、とくにこれから落語を聴いてみようという人にはお奨めです。落語は「懐かしい幻の町のようなもの」という感覚にも共感。勝手ながら続編も期待したいですね。p.134に掲載。
- 2006年3月上旬
台湾「布袋戯」研究調査
叙旧掌中劇場(叙旧茶飯劇場)の演芸より
短期間ですが台北とその周辺へ、布袋戯(掌中人形)、台湾京劇ほかの芸能調査に行きました。台北では、台北戯棚、叙旧茶飯劇場、台北偶戯館、紅楼劇場、国立台湾戯曲専科学校などを訪れ、布袋戯を中心に見聞調査しました。布袋戯(発音はプータイシー又はポテヒ)は、写真のように煙火を使った争闘場面や人形が火を吐くところが魅力で、動きはとてもダイナミック。自分で遣わせてもらったところ、長時間持つのは思った以上に重くて大変で、やはり熟練の技術だなあと思いました。お気に入りの関羽や孫悟空の掌中人形なども持って帰りました。
- 2006年2月1日
「『おばんざい』の京都」(『伊勢人』NO.149、伊勢文化舎)
連載「まわれ、まわれ、物見遊山」の第6回(最終回)は「『おばんざい』の京都」。京都の懐かしい「おばんざい」の小料理屋再訪をきっかけに、京都が京都らしくあり続けることの意味、街の固有性や、ヴァナキュラーな価値と「観光」の連関を考える。
- 2005年12月1日
「『いい味』がする都市ホノルル」(『伊勢人』NO.148、伊勢文化舎)
連載「まわれ、まわれ、物見遊山」の第5回は「『いい味』がする都市ホノルル」。観光客が自然に感じる「ハワイ性」「ハワイの魅力」とは、ポリネシア、欧米、東アジアといった多数の文化の混淆にあることを記し、とくに食の面から、それがいかに都市ホノルルに「いい味」を醸し出しているかを探る。
- 2005年11月24日
週刊新潮 コメント(「最後の蛇女」が初めて語る「見世物興行」50年)
見世物小屋は無くなる、無くなると言われながら、けっこう粘って興行を続けてきましたが、将来はどうなるのか。今年も新宿、花園神社のお酉さんで興行がおこなわれ、それを機会に、『週刊新潮』が大寅興行社の蛇女で火吹きもやる太夫「お峰さん」に取材した長文記事です。川添は一般的な見世物の歴史についてコメントしています(私がしゃべったのとちょっとニュアンスが違う部分もありますが)。ともあれ、やっぱり見世物小屋は何とか生き残って欲しいと思っています。『週刊新潮』(2005年12月1日号・第50巻第46号)のp.52に掲載。
- 2005年11月20日
日本経済新聞 書評(山本芳美『イレズミの世界』河出書房新社)
山本芳美『イレズミの世界』(河出書房新社、2005年10月)の書評。ヤクザなどのイレズミの話ではなく、日本の「近代」によって抑圧され失われた伝統文化を再現しようとする、女性研究者の真面目な本です。とくに沖縄と台湾の部分がオリジナルで興味深かったです。『日本経済新聞』11月20日(日曜)朝刊の第24面に掲載。
- 2005年10月1日
「クラシック・ホテルの日光」(『伊勢人』NO.147、伊勢文化舎)
連載「まわれ、まわれ、物見遊山」の第4回は「クラシック・ホテルの日光」。修復が終わり八年ぶりに姿をあらわした「神橋」を見物に日光へ。宿は明治初年以来の歴史をもつ日光金谷ホテルと定め、クラシック・ホテルの楽しさを満喫。こうした和洋折衷のクラシック・ホテルの魅力が、いくつもの異なる「時」が融け合うよろこびにあることを記す。
- 2005年9月末
ゼミ研究旅行・ホノルル
今年も皇學館大学3年ゼミ生との研究旅行でホノルルへ行きます。テーマはやはり「観光地からの情報発信」で、いかに「ハワイ性」がかたちづくられ、認識され、演出され、楽しまれているかを、身をもって考えます。
- 2005年9月1日
「江戸の見世物―浅草奥山を中心に 2」(『浅草寺』平成17年9月号、浅草寺教化部)
7月にでた雑誌『浅草寺』掲載の佛教文化講座講演録の続きです。『浅草寺』(平成17年9月号)のp.31-37に掲載で、これで完結。全体の講演内容の後半部に当たります。
- 2005年8月1日
「横浜中華街という路地」(『伊勢人』NO.146、伊勢文化舎)
連載「まわれ、まわれ、物見遊山」の第3回は「横浜中華街という路地」。横浜生まれにとっての身近な異国、中華街の形成史を概観し、その魅力の本質が、中華レストランを中心に様々な店舗が密集する混成、雑然と、人混みに流されながら行く路地遊歩の楽しさにあることを記す。
- 2005年7月1日
「江戸の見世物―浅草奥山を中心に 1」(『浅草寺』平成17年7・8月号、浅草寺教化部)
以前にやった浅草寺佛教文化講座の講演録。「江戸の見世物―浅草奥山を中心に 1」のタイトルで、浅草寺教化部発行の雑誌『浅草寺』(平成17年7・8月号)のp.34-41にのっています。二回に分けての分載で、次号にも掲載予定。
- 2005年6月1日
「上海・豫園でお茶をする」(『伊勢人』NO.145、伊勢文化舎)
連載「まわれ、まわれ、物見遊山」の第2回は「上海・豫園でお茶をする」。ディープな上海下町の街歩きから出発して、雑技を見せてくれる雑技茶館で一服。豫園の著名な茶館、湖心亭を含め、旅行中に体験した幾つかのお茶がらみのエピソードから、「お茶をする」文化の深みを考える。
- 2005年4月29日
海の博物館 特別展『貴・奇・快・怪 貝づくし』 出品・協力
鳥羽市の海の博物館でおこなわれる特別展『貴・奇・快・怪 貝づくし』に出品ほかで協力します。かつて日本列島にあった豊かな「貝をめぐる文化」を多方向から展望しようというもので、会期は4月29日(金)から9月5日(月)までの予定。興味のある方はぜひ足を運んでください。体験講座等もおこなわれる予定です。(海の博物館:三重県鳥羽市浦村町大吉1731−68 0599−32−6006 近鉄・JRの鳥羽駅より、バス25分、タクシー20分)
- 2005年4月23日
四代目三遊亭小圓朝 襲名披露パーティ
三遊亭圓之助さん(圓楽一門の三遊亭圓橘門下)が真打昇進とともに四代目三遊亭小圓朝を襲名することになり、東京會舘で襲名披露パーティがありました。小圓朝は三遊派で重要な名前です。新小圓朝のお父さんである故、三代目圓之助さんの本(『はなしか稼業』平凡社)を、かつて企画編集したというのが私とのご縁です。5月1日(日)からの両国寄席(10日まで)を皮切りに、5月19日(木)の「ぎんざ雅寿亭」(銀座ガスホール)、5月20日(金)の三遊亭圓橘の会(深川江戸資料館)、5月30日(月)の落語鹿鳴館(内幸町ホール)ほかで、襲名披露の特別興行がおこなわれます。どうぞおでかけください。
- 2005年4月
「落語と神」(『続々 日本の神々』皇學館出版部)
皇學館大学神道博物館教養講座でおこなわれた講演をまとめたものです。『風の神送り』と『貧乏神』のふたつの落語をとりあげて、そこでの神がどんな風に描写されているかを具体的に眺めながら、特徴を大きくつかみだし、「小さな疫神たち」の日本文化史を描く。(奥付は3月10日、ISBN4-87644-122-7、本体価格2000円。本の詳しい紹介はこちら)
- 2005年4月1日
『伊勢人』(伊勢文化舎) 「まわれ、まわれ、物見遊山」連載開始
連載第1回は「交差する伊勢」(『伊勢人』NO.144)。物見遊山という言葉がもつ本来的な可能性を説きながら、現代の情報社会、知識社会における「物見遊山ルネッサンス」を提言。物見遊山の原点ともいえる伊勢を素材に、かつてそこにあった交流文化、交差するパワーの意味を考える。
- 2005年3月19日
さいたま市立博物館『江戸のパロディ』展 出品・協力
さいたま市のさいたま市立博物館でおこなわれる第17回企画展『江戸のパロディ』に出品・協力しました。会期は3月19日(土)から5月8日(日)まで、興味のある方はぜひ足を運んでください。「茶化し」「見立て」「やつし」「地口」「もどき」といった江戸文化を、浮世絵、草双紙、立体再現などでビジュアルに展示しています。(大宮駅より徒歩15分。埼玉県さいたま市大宮区高鼻町2-1-2 TEL.048-644-2322)
- 2005年3月15日
えびす大学講演「江戸の浅草奥山を歩く」
恵比寿社会保険福祉センターがおこなっている「えびす大学」の講演で、江戸の浅草奥山について話します。10:00-11:30です(東京都渋谷区恵比寿南3-9-8 恵比寿社会保険福祉センター)。
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2005年2月下旬
中国、上海・杭州ほか「雑技、水畔戯台」研究調査
上海豫園での元宵節(新春民俗芸術灯会)から
短期間ですが上海、杭州とその周辺へ、中国雑技、水畔戯台、京劇ほかの芸能調査に行きます。ここのところいくつかの時空間で追いかけている、観光客を中心とする外来者に向けた「伝統文化」の演出、「中国的なるもの」のエンターテインメント化、娯楽化なども、テーマとして考えています。
- 2005年2月上旬
共同通信社 書評(福井優子『観覧車物語―110年の歴史をめぐる』平凡社)
アメリカ、ヨーロッパ、日本における観覧車の110年の歴史を追った、楽しく読める本の書評です。この本には、日本初の観覧車に関する「新発見」も記載されています。共同通信社から2月上旬に配信されており、全国の各地方紙に順次、掲載されます(例えば2月6日付の『中国新聞』第18面、『山陰新聞』第13面、『南日本新聞』第10面、2月13日付の『神戸新聞』第10面、『河北新報』第13面、『静岡新聞』第9面、3月6日付の『京都新聞』第14面ほかに掲載)。
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2004年12月11日〜12日
歌舞伎学会秋季大会(於、京都造形芸術大学)
昨年(南山大学)は行けなかったのですが、今年の京都造形芸術大学は一部参加。1日目は「身体の比較〜古典から未来へ〜」という特別企画の実演付きシンポジウム、2日目が研究発表・総会です。川添は2日目にコメンテーターをします。『時代の華・市川団十郎の浮世絵』という展覧会も同時開催されています。
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2004年12月4日
民博・友の会講演「アラビアンナイトへの誘い3 江戸のラクダ見物―混淆する異界・イメージ・多文化」
国立民族学博物館(大阪府吹田市)の特別展『アラビアンナイト大博覧会』に関連した「民博 友の会」講演です。前近代の日本の庶民が、どのように中東世界・文物を受け容れたかの実例として、文政4年(1821)に長崎に舶来し各地をめぐって衝撃を与えたラクダをとりあげ、見世物小屋でいかに「異国」のラクダがイメージ化され、「異国」をめぐる言説が飛びかったかを紹介します。(14:00-15:30、於・民博2F第5セミナー室、問い合わせ先:国立民族学博物館 友の会)
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2004年11月12日
「座卓卸商の父」(『木の文化と造形フォーラム』寄稿集)
前掲の『アートトップ』誌で対談をした藪内佐斗司氏(彫刻家、東京芸大文化財保存学教授)が運営する『木の文化と造形フォーラム』へ、「座卓卸商の父」なる気軽な文章を書きました。父が横浜でやっていた座卓卸商も、祖父が横浜でやっていた炭商も木と縁があり、そういう商売が消えていった身近な歴史を想います。こちらの寄稿集のコーナーからどうぞ(2004.11.12付け更新のところ)。
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2004年11月1日
板橋区・板橋グリーンカレッジ講演「遊歴するご隠居」
文化9年(1812)に51歳で隠居して、長きにわたり元気な隠居生活をおくった十方庵敬順(じっぽうあんけいじゅん)の行楽術から、江戸のひとびとがどんな風に遊びを楽しんでいたかを学ぶ。(10:00〜・14:00〜、於、板橋区勤労福祉会館。問い合わせ先:板橋区いきがい推進課グリーンカレッジ)
- 2004年10月20日
「藪内佐斗司・川添裕対談」(『アートトップ』200号、芸術新聞社)
老舗の美術雑誌『アートトップ』(芸術新聞社)の200号記念特集「200年後に残る現代日本文化は何か?」での、彫刻家で芸大教授の藪内佐斗司氏との特別対談。「消えるもの・残るもの――二百年の過去・未来を鳥瞰する」というテーマで、あまりに大きなテーマですが、精一杯、日本文化について考えるところをしゃべっています。(上記のリンクの目次をクリックすると、一部が見られます)
- 2004年9月中旬
ゼミ研究旅行・ホノルル
皇學館大学の3年ゼミ生との研究旅行で、今年は5日間ホノルルへ行きます。テーマは「観光地からの情報発信」で、ホノルルという世界最大の商業観光地のなかで、いかに「ハワイ」なるものが楽しまれ、磨かれ、つくられ、複合演出されているかを見聞します。(ゼミ生への課題:ハワイのどこに、ハワイの何に、最も「ハワイ性」を感じるか? そもそも「ハワイ的」とは何か?)
- 2004年9月13日
「インタビュー:見世物からサーカスへ」(『季刊 エス』8、飛鳥新社)
『季刊 エス』(第8号、飛鳥新社)の「少女少年サーカス特集」で、日本の前近代から現在にいたる見世物からサーカスへの流れをわかりやすく解説し、そのなかで何が特徴的なのか、何がアートとしての魅力なのか、何故ひとはサーカスに魅かれるのかなどを、イラスト、アニメ、ゲーム好きの若い女性の表現者に向けて語っています。
- 2004年9月10日頃
「珍芸の楽しみ―見世物探偵その後」(『グラフィケーション』134、富士ゼロックス)
珍芸の魅力とは何なのか。先日、浅草の木馬亭で、ほおずき市の日におこなわれた「へなちょこ祭」なる大雑芸大会に取材しつつ、歴史的視点も入れながら、身体の「共通語」としての珍芸のパワーと魅力に迫る。この号は全体が「演芸特集」になっています。
- 2004年9月9日
国立民族学博物館『アラビアンナイト大博覧会』展・出品等協力
大阪の国立民族学博物館でおこなわれる特別展『アラビアンナイト大博覧会』に出品等で協力しました。会期は12月7日まで、興味のある方はぜひ足を運んでください。12月4日には川添が「民博 友の会」で講演をします。
- 2004年9月初
「江戸の見世物―浅草奥山を中心に」(『浅草寺佛教文化講座 第48集』)
近世後期の江戸の代表的な盛り場である浅草をとりあげて、その娯楽空間の成立や構造、様相を、見世物を中心にしながらわかりやすく具体的に解説。浅草寺からの出版物で非売品です。全体は、江戸開府400年とのからみで「江戸特集」のようになっていて、なかなか充実した内容です。(奥付は2004年7月18日)
- 2004年8月26日
共同通信社 書評(マイケル・マコビー『なぜイヤなやつほど出世するのか』土屋京子訳、講談社)
アメリカでお馴染みの自己研鑽のセルフヘルプ本で、「わが道を突き進む強烈なカリスマ」のナルシシストこそが、新たな業を創り出し社会を変えるという内容です。自己診断リスト付き。共同通信社より8月26日に配信され各地方新聞、ブロック紙等に掲載されます。(8月29日付の信濃毎日新聞、福井新聞、北国新聞、中国新聞、山陽新聞、高知新聞、9月3日付の東奥日報、徳島新聞、9月4日付の下野新聞、四国新聞、9月5日付の河北新報、山形新聞、新潟日報、神戸新聞、愛媛新聞、熊本日日新聞、9月12日付の埼玉新聞、山陰中央新報ほかに掲載)
- 2004年6月上旬
文化放送『吉田照美のやる気 MAN MAN』出演
「午後2時の興味津々」というコーナーに出演し、最近の著書『見世物探偵が行く』(晶文社)を中心に20分ほどあれこれと話をします。前に『江戸の見世物』(岩波新書、2000)が出版された際も出演していて、今回は中国雑技、ベトナム水上人形、ゾウの旅など、東アジア系、交流文化系の話題が中心になるはずです。
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2004年5月13日
朝日新聞 朝刊(三重総合版)「学びすと」コーナー紹介
三重県で興味深い研究をやっている大学の先生たちを紹介するシリーズ「学びすと」(4月からはじまったばかりで週一回掲載)で、とりあげられました。「見世物研究」を中心に最近の活動を紹介され、あわせて、「色々な文化が交流することで栄えた当時(近世)の伊勢をモデルに、大勢の人が行き来する土地になれば」といった、私の考える「賑わい論」にふれています。文化は「交流」なしには栄えないというのは、近年のますますの確信です。
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2004年5月4日
エッセイ「ギネスの街」
オンラインマガジン『Ice Tea』用に書いたエッセイが、その後、同誌の休刊により読めなくなっておりますので、こちらに再掲することにしました。ビールの「ギネス」をめぐる私なりの一種の「交流文化論」でありメディア論になっています。
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2004年3月12日
「遠くて近い歌舞伎と見世物」『明治村だより』35号 / 2004年春号(博物館 明治村)
歌舞伎と見世物は「遠いようで近いもの」という歌舞伎形成史の話を前段に、明治における歌舞伎の「近代化」とその「振幅変調」について、具体的な事例にふれながら川添なりの大きな視点をまとめています。なお、博物館 明治村(愛知県犬山市)では3月13日から5月31日まで特別展「明治の芸能―見世物から芝居へ」がおこなわれており、また、このたび小沢昭一氏が第三代村長に就任しました。
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2004年2月下旬
韓国「伝統芸能・民俗戯」研究調査旅行
短期間ですがソウルとその周辺へ、韓国伝統の種々の芸能、舞踊や民俗戯(ノンアク、プンムルノリ、サムルノリ、チュルタギ等)の研究調査に行きました。いわゆる民俗村での上演と、ソウルの劇場やホテル、テーマパークなどでおこなわれるショー形式のものが中心で、伝統芸の「観光化」「ショー化」の様相と、そこでの「韓国文化演出」を研究テーマとして考えています。(写真はいずれもヨンインのハングクミンソクチョンにて、川添が撮影)
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2004年2月15日
『歴史学事典 11 宗教と学問』(6項目執筆、弘文堂)
日本史、東洋史、西洋史合同で編纂が進められている、岸本美緒・樺山紘一・川北稔・黒田日出男・山本博文・佐藤次高ほか編『歴史学事典』の11巻(宗教と学問)で、「紙芝居」「芸談」「時代劇」「芝居」「新劇」「同人誌」の6項目17枚ほどを書きました。「時代劇」の項目では、日本人にとっての「時代劇という歴史認識」の問題を、ごく短くですが提起しています。
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2004年2月9日
『週刊ポスト』2月20日号書評(坂田春夫、塩野米松『啖呵こそ、わが稼業』)
『週刊ポスト』の「味わい本 発見!」という書評コーナーで、『啖呵こそ、わが稼業』(新潮社)の評を書きました。これは香具師の親分であった坂田春夫さんによる「語り」の本で、聞き書きでは定評のある塩野米松氏がまとめています。タイトル通り、啖呵売(たんかばい)について具体的に語ったところが抜群に面白く、書評ではとくに「甲州印伝の啖呵」の話を中心にまとめています。
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2004年1月31日
『MONSOON』16号、服部幸雄氏との対談「東洋『曲芸』のエナジー」
富士製紙が発行するPR誌『MONSOON(モンスーン)』で、芸能における曲芸、見世物的なものの力について服部幸雄氏と語り、それが東アジアの視点から見ると、ひとつの核となるダイナミズムを形成する可能性にふれています。また、猿之助歌舞伎を話題にしているので、猿之助ファンには面白い内容だと思います。
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2004年1月22日〜2月6日
『日本経済新聞』朝刊 「異国をつくる 十選」10回連載
日経朝刊最終面の定番連載「美十選」の枠で、「異国をつくる」をテーマに10回連載をします(月火木金の掲載)。江戸・明治の見世物を描いた浮世絵を中心に、見世物のなかで「異国」がいかに形象されるを追い、最後は見世物を離れて「日本」がいかにつくられるかにもふれます。いずれも500字程の短い文章ですが、庶民文化のなかの「他者」認識、その反面としての「日本」認識を、文化史として考えています。とりあげる作品とおよそのテーマは以下の通り。
1 「浅草奥山生人形」 異形の異国人物
2 「人形之内 唐天朝三美人」 世界の美人集合
3 「駱駝之図」 不思議な唐人風俗
4 「籠細工」 関羽が好きな江戸庶民
5 「十二候六枚続 三」 ゾウがいる山王祭のお練り
6 「大仕掛大千世界万国一覧」 機械仕掛けの大千世界
7 「朝比奈島遊び」 世界をまたにかける朝比奈
8 「七々不思議 西洋紙細工外国名所」 新旧混淆の七不思議
9 「丁髷姿の外国少年」 文化はつねに異国をつくる
10 「サムライ商会外観」 異国と自国の認識をめぐる「業」
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2003年中の主な仕事
『見世物探偵が行く』(単行本、晶文社、11月10日。書評紹介)
『大見世物―江戸・明治の庶民娯楽』展(展示企画委員、たばこと塩の博物館、11月1日〜12月14日。図録はこちら)
『落語の世界』全3冊(編者および執筆、岩波書店、6月10日・7月10日・8月7日)
『別冊太陽 見世物はおもしろい』(編者および執筆、平凡社、6月20日)
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2003年12月14日
『大見世物―江戸・明治の庶民娯楽』展 終了(たばこと塩の博物館)
渋谷のたばこと塩の博物館でおこなわれていた『大見世物』展が、無事終了しました。会期途中で図録が完売するなど好評で、朝日新聞(12月11日夕刊)では高階秀爾氏が今年の展覧会ベスト3にあげてくれました。個人的には、史上空前の規模で見世物資料を展示できたことと、細工見世物の再現が成果であり、また、上島敏昭氏らの浅草雑芸団にお願いした会場内の「口上」が出色の出来で、観客の反応も非常に良く、見世物における口上話芸の重要さをさらに思い知りました。
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2003年11月30日
たばこと塩の博物館・パネルディスカッション「見世物とはなにか」
渋谷のたばこと塩の博物館で開催される「大見世物」展(11月1日〜12月14日)に関連し、11月30日(日)の午後2時からおこなわれるパネルディスカッション「見世物とはなにか」に参加します。他のメンバーは、木下直之氏、福原敏男氏、西田敬一氏、湯浅淑子氏で、司会が岩崎均史氏です。渋谷・たばこと塩の博物館、14:00〜 1階視聴覚ホールにて。
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2003年11月16日
たばこと塩の博物館・講演「見世物と私」
渋谷のたばこと塩の博物館で開催される「大見世物」展(11月1日〜12月14日)に関連し、11月16日(日)の午後2時から講演をおこないます。実際の展示品とも関連させつつ、見世物と私の出会い、これまでの研究で思ったことなどを話したいと思います。渋谷・たばこと塩の博物館、14:00〜 1階視聴覚ホールにて。
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2003年11月1日
『大見世物―江戸・明治の庶民娯楽』展 開催(たばこと塩の博物館)
渋谷のたばこと塩の博物館で11月1日(土)から12月14日(日)まで、同館の25周年記念特別展として『大見世物』展が開催されます。川添は、木下直之氏、福原敏男氏、半田昌之氏、岩崎均史氏、湯浅淑子氏らとともに展示プロジェクトメンバーとして関わっています。期間中に川添を含めて六回の講演、パネルディスカッション、実演等がおこなわれる予定でです。テーマとしては史上初の、充実した展覧会ですので、どうぞご期待ください。詳細は、こちらの専用別ページでご案内しております。また、たばこと塩の博物館の紹介ページはこちらです。
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2003年10月30日
『見世物探偵が行く』(晶文社)
『グラフィケーション』(富士ゼロックス)で3年間連載した「見世物探偵が行く」が単行本になります。それぞれの稿に手を加え、何章かは大幅に書き足し、組み替え、写真の追加等もおこなっています。全体としては、「見世物」をキーワードに過去から現在の至芸妙芸の数々を訪ね歩き、重層的に異次元を往還する文化史再編成の試み、といった感じの本です。本の奥付は11月10日。詳細は、こちらの専用別ページでご案内しています。また、書評紹介のメモはこちらです。
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2003年10月25日
「庶民の楽しみと目黒 碑文谷の仁王さん」(『地域に学ぶ―身近な地域から「目黒学」を創る』めぐろシティカレッジ叢書3、二宮書店)
以前にご縁のあった「めぐろシティカレッジ」が編集する「目黒学」に関する本で、寛政期に大流行して信仰を集めた「碑文谷の仁王さん」についての論考を書きました。従来、この流行に関しては理解にやや混乱があるのですが、川添なりにそれを整理して新たな知見を加え、わかりやすく簡潔に記しました。本の奥付は11月10日。出版社の紹介ページはこちらです。
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2003年10月10日
「立場のちがい」(『大法輪』11月号、大法輪閣)
仏教の総合雑誌『大法輪』の「鉄笛」という随筆コーナーで、「立場のちがい」のタイトルで気軽なエッセイを書きました。立場が変わって文筆研究業になったいま、ふたたび編集という知的活動の意味を考えるといった内容です。
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2003年10月6日
板橋区・板橋グリーンカレッジ講演「遊歴するご隠居」
今年も板橋グリーンカレッジの講演をやります。ご隠居・十方庵敬順の見世物見物や行楽術から庶民娯楽の一端を学び、江戸のひとびとがどんな風に遊びを楽しんでいたか知ろうというものです。(於、板橋区勤労福祉会館、午前10:00〜12:00・午後14:00〜16:00の二コース)。問い合わせ先:板橋区いきがい推進課グリーンカレッジ担当。
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2003年10月3日
祝! クッツェーにノーベル文学賞
南アフリカ、ケープタウン生まれの白人作家 J. M. クッツェーが2003年ノーベル文学賞を受賞しました。川添は平凡社の編集者時代、「新しい世界文学シリーズ」中で『ペテルブルグの文豪』の邦訳(本橋たまき訳)を編集出版しています。
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2003年8月7日
『落語の世界』第3冊「落語の空間」(編者および執筆、岩波書店)
全3冊の第3冊目(最終冊)で、「落語の空間」が各冊タイトルです。この巻には篠山紀信氏・横沢彪氏・京須偕充氏の座談会や東京のお席亭座談会、立川志の輔師のインタビューを収録。川添は「落語のメディア空間」ほかを執筆し、また大友浩氏(東京かわら版編集長)との対談、インタビューの聞き手などもしています。詳細は、こちらの専用別ページで案内しておりますので、ご覧ください。
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2003年7月22日頃
「『横道』から江戸へ」(『月刊百科』2003年8月号、平凡社)
『月刊百科』8月号の「やっぱり面白い お江戸400年」という特集で、自分が江戸文化に興味をもつにいたった経緯を、ごく気軽なかたちで書きました。四半世紀以上前の大学生のとき通訳案内業の免許をとり、外国人に日本文化を紹介するという視点をもったことが、大きなきっかけです。
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2003年7月10日
『落語の世界』第2冊「名人とは何か」(編者および執筆、岩波書店)
全3冊の第2冊目で、「名人とは何か」が各冊タイトルです。この巻には小沢昭一氏・池内紀氏・野村万之丞氏の座談会や、桂文珍師のインタビューを収録。詳細は、こちらの専用別ページで案内しておりますので、ご覧ください。
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2003年6月26日
皇學館大学・人文学会研究例会「文政期の魅力―落語と見世物から」
最近出版された二つの著書(『見世物はおもしろい』平凡社、および『落語の世界』第1冊、岩波書店)をもとに、一田庄七郎の籠細工と落語『らくだ』から、文政という時代文化の特徴、魅力について気軽に語ってみたいと思います。一般の方の聴講が可能です。事前申し込み不要。 16:30- (於、皇學館大学伊勢キャンパス・5号館1階513教室)
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2003年6月10日
『落語の世界』第1冊「落語の愉しみ」(編者および執筆、岩波書店)
全3冊の第1冊目で、「落語の愉しみ」が各冊タイトルです。3冊とも延広真治氏、山本進氏、川添裕の編です。こうしたさまざまな角度からの落語論はこれまでなかったはずで、画期的な出版かと思います。第1冊には桂米朝師、柳家小三治師のインタビューを収録。川添は「『らくだ』が居る場所」ほかを執筆し、またインタビューの聞き手もしています。詳細は、こちらの専用別ページで案内しておりますので、ご覧ください。ISBN4-00-026298-X C0376
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2003年6月6日
「江戸の見世物 庶民の誰もが楽しんだエンターテインメント」(山本博文編『江戸東京博物館』小学館文庫)
江戸開府400年に向けた出版で、前半が江戸東京博物館の紹介、後半が11のテーマで江戸東京文化を紹介しています。川添は現物にも明記してあるように、「江戸の見世物」をテーマに語った「語り下ろし」になっています(3月、4月はマンション冠水事故の影響であまりにも時間がなくそうなりました)。他の方は書き下ろしです。本の奥付は7月1日。ISBN4-09-418371-X C0121
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2003年5月31日
皇學館大学・神道博物館講座 講演「落語と神」
落語のなかには、さまざまなかたちで日本の神々が登場する。例えば、名人、志ん生が『厩火事』の前置きでよく使った、出雲に集う神さまたちの「縁結び」の話など。ただ、どちらかというと、落語に登場する神はあまり「高級」な神ではない。風の神、はしか神、貧乏神……。ところが、そこにも日本の神のひとつの特徴が表現されているのである。今日も高座にかけられる『風の神送り』と『貧乏神』のふたつの落語を中心に、そこにあらわれる神さまの特徴を考え、あわせて、そうした落語の形成史に関しても簡潔に紹介していきたい。14:00- (於、皇學館大学伊勢キャンパス・神道博物館)
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2003年5月20日
『別冊太陽 見世物はおもしろい』(編者および執筆、平凡社)
川添と木下直之さん、橋爪紳也さんの三人の編著です。全体がビジュアルな構成で、大きく拡がりをもった見世物論になっており、さらに数人の方が執筆しています。詳細は、こちらの専用別ページで
案内しておりますので、ご覧ください。奥付は6月20日。書籍扱い:ISBN4-582-92123-X C9476
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2003年5月10日
朝日カルチャーセンター千葉 講演「江戸の見世物」
江戸の見世物は、今日のイメージとは異なり、誰にとっても親しみやすい一大流行娯楽であった。浅草や両国でおこなわれ、時に四、五十万人が押し寄せた見世物を、籠細工・貝細工などの「細工見世物」、ラクダなどの「動物見世物」、軽業などの「曲芸見世物」を中心に見る。江戸開府400年記念特別企画としておこなわれる「シリーズ 江戸文化に親しむ」の第2回講演です。5月10日(土)15:30-17:00(於、朝日カルチャーセンター千葉)。
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2003年3月31日
特別寄稿「伊勢と見世物」(『いせ文化』2号、伊勢市教育委員会)
『いせ文化』は昨年(2002)から刊行された、伊勢市教育委員会発行の年刊小冊子です。特別寄稿というかたちで、近世後期の伊勢の見世物と当地にあった「わさわさした感覚」を紹介し、歴史的な交流の街、伊勢の可能性は「外に向かう指向性」にあることを記しています。ちなみに、昨年版では故、大庭脩氏、女優の夏樹陽子氏、村田仙右衛門氏が座談会で登場し(司会は石原義剛氏)、どう伊勢の可能性を開くかを語っていました。
※お知らせ 過日、マンションが他階での排水工事の影響で冠水し、仕事部屋等が
被害にあいました。そのため、すべての仕事が大幅に遅れておりますが、
どうぞ悪しからずご諒承ください。(幸い古画古物等の資料は無事でした)
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2003年3月20日
「盛り場の賑わい論―両国と浅草を中心に」(『観光文化』158号、財団法人 日本交通公社)
ここのところ「盛り場論」を続けてやっており、日本交通公社の雑誌『観光文化』に15枚ほどで考えを記しました。横浜の伊勢佐木町をマクラにして、近世後期の江戸の代表的な盛り場である両国と浅草をくわしく紹介し、その変遷から、現代にも通じる盛り場の本質にふれています。
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2003年2月25日
浅草寺 佛教文化講座「江戸の見世物―浅草奥山を中心に」
浅草寺が四十数年前からやっている文化講座で、浅草奥山を中心にして江戸の見世物の話をします。今年は「江戸開府400年」を記念するかたちだそうで、その一連の講演のひとつです(のちに講演集として出版の予定)。日時、場所は、2月25日15時〜16時、新宿駅西口正面・安田生命ホール、入場無料(なお、14時〜15時とペア講演になっていて、そちらは著名な映画評論家の水野晴郎氏です)。
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2003年2月10日頃
「見世物探偵が行く18(最終回) 島巡りの想像力」(『グラフィケーション』125、富士ゼロックス)
冬の一日、鳥羽の南にある「海の博物館」を訪問し、かつてこの列島にあった豊かな海の歴史文化を思う。近世文芸によくあらわれる「島巡り」「島渡り」の物語もその反映であり、源為朝、御曹司義経、朝比奈らが、北は千島から南は琉球までの列島の全域を巡っている。近世後期の見世物にあらわれるイマジネーションを含め、東アジアの各地へと双方向的につながっていく「島巡り」の想像力に迫る。連載最終回。18回の連載が無事に終わりました。問い合わせ先:富士ゼロックス『グラフィケーション』No.125
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2002年12月24日
「『享保のゾウ』は日本人にどう迎えられたか」コメント
(『再現日本史』84、講談社)
講談社『再現日本史』第84号(2003.1.7 / 1.14 合併号)の、「『享保のゾウ』は日本人にどう迎えられたか」で、二箇所コメントをしています。やや大きな視点から、享保ゾウとそのブームが、当時の文化相のどういう点を象徴しているかを、「江戸の異文化」「日中交流」「メディア空間」の視点から語っています。なお、この号全体の特集は「紀州の四男坊が大出世 将軍・吉宗、登場!」です。
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2002年12月10日頃
「見世物探偵が行く17 猛獣への視線」(『グラフィケーション』124、富士ゼロックス)
動物園の檻のなかのライオンやトラといった猛獣たちは、寝ていることが多い。たとえ寝ていなくとも、ダイナミックに動きまわることは非常に少ない。しかし、江戸時代の見世物では、大分、様相がちがっており、何よりも獰猛さをみせることが眼目で、ニワトリやハトなどが観客の目の前で生き餌として与えられた。近代サーカス史初期の猛獣つかいたちにもふれながら、人間と猛獣のあいだで交わされる視線の文化史を考える。
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2002年12月2日
早稲田大学演劇博物館・展覧会関連講演「鳥熊芝居の背後」
早稲田大学坪内博士記念演劇博物館で、11月15日(金)から12月15日(日)まで開催される「近代東京の歌舞伎興行―守田勘弥から松竹まで」展の関連講演として、「鳥熊芝居の背後」という話をします。12月2日(月)の14時40分から16時10分まで小野記念講堂にて(7号館1F)。
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2002年11月9日
皇學館大学・月例文化講座「盛り場の賑わい論―江戸の見世物・歌舞伎・落語から」
盛り場の賑わいは、どのようにして成り立っているのだろうか。すでに世界有数の巨大都市であった近世後期の江戸を出発点に、浅草、両国などの事例を具体的に眺め、さらに、伊勢の場合も歴史的に検討しつつ、盛り場の賑わいの本質にふれてみよう。午後2時より、皇學館大学伊勢学舎、無料。こちらにもう少し詳しい紹介があります。
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2002年11月7日
「パノラマ大図解 浅草奥山」「見世物」(『ビジュアル・ワイド 江戸時代館』小学館)
小学館から『ビジュアル・ワイド 江戸時代館』という、A4判、656ページ、オールカラー図版2000点収録の大冊が刊行されます。基本は見開き2ページで1テーマになっていて、川添は「見世物」を書いています。また、巻頭の「浅草奥山」のパノラマ図解に協力し、解説を執筆しています。出版社のページはこちら。
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2002年11月1日
「見世物データベース」が国立国会図書館 Dnavi に登録
本サイトの「見世物データベース」(川添裕作成)が、国立国会図書館が2002年11月1日からはじめた Dnavi(データベース・ナビゲーション・サービス)に登録されました。これは一種の電子図書館を拡張する試みで、分類でいうと芸術>大衆演芸のなかに入っています。なお、類似の先行する試みとして、以前から立命館大学アート・リサーチセンター公開アーカイブでも、「有用な学術データベースサイトへのリンク」として登録されています。
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2002年10月18日
世田谷区・コスモス会講演「浅草奥山を歩く」
世田谷区民の有志講座で「浅草奥山を歩く」のタイトルのもと、大道芸、見世物が盛んにおこなわれた江戸随一の盛り場の様相を、わかりやすくレクチャー(於、世田谷区砧区民会館)。
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2002年10月12日
「菊細工とはどんな娯楽だったのか」(『菊人形今昔』展カタログ、文京ふるさと歴史館)
文京ふるさと歴史館で10月12日(土)から11月24日(日)まで開催の『菊人形今昔』展カタログに、江戸期の菊細工という娯楽が実際にどんなものであったかを記しています。「賑やかで騒々しい娯楽」「種々の商売がからんだ展覧」がその特徴で、同時代の随筆、記録類を読んでいくと、現代人が考えるものとはかなりちがったイメージが浮き上がってきます(なお、文中で言及の図版番号が間違っています。こちらに正誤訂正)。菊人形展は多 分、本邦初の試みかと思いますが、この展覧会には錦絵等の出品でも協力しています。全体に非常に充実した展覧会ですので、興味のある方は是非、お出かけください。
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2002年10月12日
名古屋市博物館『盛り場―祭り・見世物・大道芸』展・訪問見学
現在、進行中のプロジェクトの関係で、木下直之氏、福原敏男氏、岩崎均史氏らと名古屋市博物館で開催中の『盛り場』展を訪問し、裏表をたっぷり眺めてきました(10月14日で展覧会は終了)。この分野の展覧会として画期的なもので、ことに名古屋関係の見世物、祭りの資料は、素晴らしい充実ぶりでした。図録には、担当の学芸員・武藤真氏による「名古屋見世物年表」も収まり、価値の高い資料となっています(900円)。また同博物館では、高力猿猴庵の新出本を目玉とする「猿猴庵の本」シリーズ(名古屋市博物館資料叢書3)が刊行中で、とくに『新卑姑射文庫(しんひごやぶんこ)』は貴重な見世物資料であり、学芸員・山本祐子氏執筆の解説論文も充実しています(各冊1200円)。関心のある方は、こちらに名古屋市博物館の情報があります。
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2002年10月10日頃
「見世物探偵が行く16 大道芸の地平」(『グラフィケーション』123、富士ゼロックス)
東京都のヘブンアーティスト制(大道芸を東京都が審査のうえライセンスを発行し、公園などでの活動を公認する仕組)がいま話題ですが、その様子をふまえつつ、大道芸と「近代」、現状の大道芸の見取図、歴史文化を振り返るときの欠落点、今後の課題など、筆者なりに考える「大道芸の地平」を、いくつかの側面から描いています。
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2002年10月7日
板橋区・板橋グリーンカレッジ講演「遊歴するご隠居」
江戸のひとびとは、どんな風に遊びを楽しんでいたのだろうか。ご隠居の見世物見物や行楽術から、江戸の庶民文化の一端を学ぶ(於、板橋区勤労福祉会館、午前・午後の二コース)。
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2002年8月上旬
「見世物探偵が行く15 貝細工のネットワーク」(『グラフィケーシ
ョン』122、富士ゼロックス)
かつてあった「貝細工文化」のひろがりについて、各地からの色貝、名貝の集積、全国の海浜地を結ぶ商品流通ルート、貝細工見世物の巡業など、文化ネットワークという視点から、二見浦を出発点に能登、江戸、江の島と展開しつつ具体的に記しています。
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2002年8月1日
「毎週、伊勢参り」(『伊勢人』盛夏の号、No.128、伊勢文化舎)
地域文化誌『伊勢人』の「いせびと随想」のコーナーで、偶然にも伊勢の皇學館大学に着任して横浜から毎週通うようになったこと、また芸能研究上の伊勢との縁について気軽なエッセイを記しています。
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2002年7月30日
「聞書きレクチャー この時代 江戸の庶民と『見世物』ブーム」(『再現日本史』64、講談社)
講談社の『再現日本史』の第64号(2002.8.13号)で、「聞書きレクチャー この時代」のコーナーに登場します。中味は「四〇〜五〇万人が見た巨大な籠細工の関羽像」「お代は蕎麦二杯分! 大衆娯楽だった見世物」「信仰と遊びが交差する浅草、両国がメッカだった」といった事柄を話しています。あとから大分、手を入れたので、コンパクトにわかりやすくまとまっていると思います。なお、この号全体の特集は「謎の浮世絵師・写楽登場!」です。
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2002年6月上旬
「見世物探偵が行く14 川を歩く」(『グラフィケーション』121、富士ゼロックス)
ご近所の横浜、鶴見川から出発し、かつて芸能のホームグラウンドであった川と河原の文化史を、江戸時代後期の浮世絵を中心に紹介します。楽しくにぎやかな反面、しばしば陰翳のひだに富み、人間の寂しさが流れる川の文化史は、今後もずっと大きなテーマになってゆきます。
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2002年6月上旬
「見世物」(『情報学事典』弘文堂)
弘文堂から『情報学事典』という、A5判、1200ページの1冊ものの事典が刊行されます(須藤修、西垣通、吉見俊哉、米本昌平ほか編)。基礎的な情報理論、コミュニケーション論から、最新の情報科学、カルチュラル・スタディーズ、メディア・スタディーズ、生物情報、政・経・法の視点までを射程に入れた事典で、川添は「見世物」の項目を書いています。
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2002年4月10日
「見世物探偵が行く13 絶景かな、絶景かな」(『グラフィケーショ
ン』120、富士ゼロックス)
連載が3年目に入り、あと6回分執筆の予定です。今回は副題をつけるなら「見世物の場としての塔」が話題で、フランクフルトのドームの見晴らしにはじまり、現代の東京タワー、明治の凌雲閣(十二階)、文政の四天王寺の五重塔とさかのぼり、さまざまな娯楽が集中する塔の場の「文化の記憶」について考えてみたいと思います。くだけたいい方をすると、東京タワーにはなぜ、東京タワー蝋人形館という娯楽施設があるのか、というテーマです。
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2002年4月1日
伊勢・皇學館大学文学部教授着任
本年度から伊勢にある皇學館大学文学部教授に着任し、メディア論、芸能史、表現、日本学などを講じます。およそ週の半分を伊勢で、もう半分を横浜および東京で過ごします。
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2002年2月7日
「見世物探偵が行く12 サーカスと天翔るひとびと」(『グラフィケーション』119、富士ゼロックス)
サーカス好きのハックルベリー・フィンにトム・ソーヤー。見世物探偵もまたハックやトムをさがしに、サーカスへ通う。2001年の秋から冬に出会った国立カザフスタンサーカスと、群馬県東村沢入(あずまむら そうり)にある日本初のサーカス学校での見聞から、現代のサーカス文化を考える。
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2002年2月5日
「パソコン編集執筆術3 ネット経由の方法とひろがり」(日本エディタースクール)
前回の「猫がこわしたハードディスク」からの継続で、ネットワーク経由のバックアップの方法にふれます。しかし、それはたんにバックアップの用途にとどまらず、「ネット共有」「ユービキタス」といったネットならではのひろがりをもち、メディアとしてのネットワーク、インターネットの本性にも、関連する範囲でふれています(日本エディタースクールのウェブのこちらからご覧になれます)。
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2002年1月25日
『出版界はどうなるのか―ここ10年の構造変化を検証する』(共著、日本エディタースクール出版部)
日本エディタースクール出版部から刊行の共著。ここ10年の大きく変わりつつある日本の出版界を総合的に把握した書。川添は、本というものの企画状況と書籍編集者の動向を大きくとらえ、今、本当に何を考えるべきかを問題本位に記しています(2001年10月の日中出版教育校交流会用に書いた「書籍編集―企画立案を中心に」に手を入れたものです)。出版社のウェブでの詳細はこちら。
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2002年1月9日
「江戸の見世物を楽しむ」(会報『えど友』5、江戸東京博物館友の会)
昨年11月にやった第3回江戸東京博物館友の会セミナーの講演要録です。「流行見世物の規模」「見世物の中心地は、両国と浅草」「珍しい動物にはご利益があった」「観客動員40万人の大ヒットも」といった内容です。奥付は2002年1月1日発行。
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2001年12月8日
「見世物探偵が行く11 つくりものは永遠に」(『グラフィケーション』118、富士ゼロックス)
かぼちゃや玉ねぎでつくった浦島太郎にお地蔵さま。こんな傑作なつくりものでにぎわう富山県福岡町の「つくりもんまつり」は、天下の奇祭として知られるが、じつは、こうした祭礼の見立細工は、まだまだ日本各地に多く残るわれらが文化の大きな水脈である。祭りのさなかの福岡町を歩きつつ、その歴史文化を探偵する。
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2001年12月5日
「おくればせのPROとCON」(翻訳グループ牧人舎)
この4年ほどの仕事の変化、心境、近況について記した小文が、ご縁がある翻訳グループ牧人舎のウェブに掲載になりました。牧人舎というのは、著名な翻訳家の鈴木主税さん、アート系、現代カルチャー系の翻訳が多い野中邦子さんら、二十数名による翻訳グループです。(小生の執筆ページにはこちらから直接いけます)。
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2001年11月29日
「パソコン編集執筆術2 猫がこわしたハードディスク」(日本エディタースクール)
今回の「猫がこわしたハードディスク」は、これがなくては話がはじまらない、もっとも重要なバックアップの話です(日本エディタースクールのウェブのこちらからご覧になれます)。
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2001年11月19日
板橋区・板橋グリーンカレッジ講演「遊歴するご隠居」
江戸のひとびとは、どんな風に遊びを楽しんでいたのだろうか。ご隠居の見世物見物や行楽術から、江戸の庶民文化の一端を学ぶ(於、板橋区勤労福祉会館、午前・午後の二コース)。
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2001年11月16日より
日本エディタースクール昼間部講義開始
今年も日本エディタースクールの「昼間部」のコースを担当します。時間の都合で、今年度は1月、2月に講義・実習が集中しています。またひきつづき、夜間の「パソコン企画編集コース」も担当しています。
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2001年11月15日
江戸博友の会セミナー講演「江戸の見世物を楽しむ」
現代では見世物というと、どこか「うらさびしい」感じがつきまといがちだが、近世後期には両国や浅草などで盛んにおこなわれ、庶民にもっともよく親しまれた代表的な娯楽であった。種類が豊富で質も高い江戸の見世物の世界に近づいてみたい(於、江戸東京博物館1F会議室、18:00より)。
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2001年11月10日
古河歴史博物館『病よ去れ―悪疫と呪術と医術』展・出品見学
茨城県古河(こが)市の古河歴史博物館での企画展『病よ去れ―悪疫と呪術と医術』に出品等で協力したので、ちょうど民俗学の大島建彦先生が講演する日に、見学にいってきました。小生が出品したのはいわゆる「動物見世物絵」で、写真は展示中のラクダ図の前で。江戸時代には、こういう絵が疱瘡などの悪病除けになるといわれました。同館の学芸員・立石尚之さん企画のとてもよく出来たユニークな展覧会なので、機会のある方は是非、観にいってください(11月25日まで)。
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2001年10月27日
明治大学リバティ・アカデミー講座「江戸東京─都市と遊び場の文化史:見世物・小屋」
明治大学のリバティ・アカデミー講座で、近世後期の両国広小路や浅草でおこなわれた見世物興行を主たる題材にして、「見世物・小屋」というタイトルで講演をします。10月27日(土)の15:00〜16:30まで、場所は明治大学神田(駿河台)校舎12号館(お茶の水駅より徒歩5分)です。
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2001年10月12日
「書籍編集―企画立案を中心に」(『日中出版教育校際学術交流会論文集』日本エディタースクール)
日本エディタースクールと上海出版印刷高等専科学校との、第7回出版教育交流会用の報告論文として、この十年前後の出版界を視野にいれ、企画立案を中心とする書籍編集の現状について執筆します。内輪の議論ではなく、中国でもわかるように書くというのも眼目で、論文集は日本語版と中国語版の両方があります。 ※10月13日(土)の交流会議でも同内容の発表をおこないました。
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2001年10月上旬
「見世物探偵が行く10 口上は面白い」(『グラフィケーション』117、富士ゼロックス)
世界陸上のマラソンを観ていて感じたのは、古舘伊知郎の「しゃべくり」の凄まじさ。2時間半近いあいだ、とにかく、ことばで番組を埋めつくす。それがまた「リディアとリビュウの夫婦(めおと)マラソン」だとか「走るお遍路さん」などといった、珍妙なフレーズ満載なのである。こうした形式は、じつは近世後期の見世物の口上(こうじょう)にそっくりで、古舘とは現代版の口上話芸の達人。その二百年の水脈を探偵する。
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2001年10月10日より
連載開始「パソコン編集執筆術1 はじめに」(日本エディタースクール)
最終的には単行本にする予定の『パソコン 編集執筆術』を、日本エディタースクールのウェブで一部連載していきます。第1回目は「はじめに」で、全体的な展望と問題提起からスタートします(こちらからご覧になれます)。
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2001年9月23日
『北海道新聞』書評(吉川潮『本牧亭の鳶』新潮社)
表題作の「本牧亭の鳶」は、この懐かしい場所で展開する人間味あふれる佳編で、主人公は本牧亭の名物男であった下足番の勝太郎さん。芸人小説では手だれの作者が、渋好みには堪らない見事な物語を紡ぎだしています。(北海道新聞の書評欄は、いつからかウェブで読めるようになっています)
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2001年9月22日
演劇研究会9月例会発表「見世物における『水仕掛け』−水芸、水からくり、本水使用の仕掛けなど」
近世の見世物では、どんな風に演芸に水を利用し、仕掛けを入れ、観客を楽しませてきたか。いくつかのパターンを展望することで、その芸質をさぐる。そこからは幕末期の見世物に開花するいくつかの基底的伝統や、「火と水」「唐土、唐子」などといったイメージが浮かびあがるように思う(午後3時半より、於、大阪市大杉本キャンパス法学部棟11F)。 ※先月、台風で行けず中止となったものの繰り越しです
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2001年9月21日より
渋谷区立恵比寿社会教育館「江戸の遊び」講義
11月までの毎週金曜午後、渋谷区立恵比寿社会教育館の芸術・文化講座で「江戸の遊び」という講座をやります。全8回の予定で、見世物・落語・歌舞伎といった大衆娯楽を中心に、江戸の遊びの感覚を味わうという趣旨です。講義予定
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2001年9月10日〜12日
皇學館大学・芸能史集中講義(後半)
皇學館大学の集中講義「芸能史」の後半をやります。後半は世阿弥からはじめて能、狂言、祭礼芸能、神楽をやり、近世後期の伊勢の話をして、もう一度、近現代に戻ります。
追記:9月11日深夜は伊勢のホテルで茫然としながら、テレビでNYのWTCを見つめていました。
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2001年8月末
日本エディタースクール「パソコン企画編集コース」再開
日本エディタースクールの「パソコン企画編集コース」を、夏休みをはさんで再開しています。また、今年も秋から昼間部のコースの方も担当しています。
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2001年8月22日
演劇研究会8月例会発表「見世物における『水仕掛け』−水芸、水からくり、本水使用の仕掛けなど」
※台風で行けず中止となりました(9月22日へ繰り越
し)
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2001年8月上旬
「見世物探偵が行く9 ベトナム水上人形」(『グラフィケーション』116、富士ゼロックス)
3月に観にいったベトナム水上人形劇では、水上・水中を人形が動きまわる。はたしてどんな仕掛けなのか。この調査旅行の先導者で、すでに日越の人形芝居の演出を比較した論考も執筆する山田和人氏の考察にも導かれつつ、ベトナム、日本、中国の三角形の文化から、ベトナムの伝統娯楽を探偵する(原稿の冒頭部はいまここの画像に載っています)。
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2001年7月31日〜8月3日
皇學館大学・芸能史集中講義(前半)
暑い時期ですが、伊勢の皇學館大学に「芸能史」の集中講義にいきます。前後にまた少し資料調査をする予定。後半は9月にもう一度やります。
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2001年6月20日
『歌舞伎―研究と批評』(27号)「勢州松坂 鳥屋熊吉 (上)」
鳥屋熊吉という幕末明治の興行師は、芸能史上に傑出した人物である。戦前の歌舞伎研究のお歴々からは、その春木座興行(いわゆる鳥熊芝居)は「甚だ愚かしいもの」で、「演劇に貢献した何等の効績は見ない」し、「東京歌舞伎各座の衰微の起原」といわれるが、それは勝手な決めつけに過ぎない。幕末期の見世物興行時代、出身地の伊勢での芝居興行を含む活躍、海外との関わり、春木座以前の多数の歌舞伎興行といった事績を紹介し、この稀な才覚をもつエネルギッシュな興行師が背後に抱えていた文化を、徹底的に再評価する(一昨年の歌舞伎学会発表を出発点にした原稿で、上約40枚、下約40枚の計80枚で完結予定)。
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2001年6月16日より
目黒シティカレッジ「生活の中の庶民の楽しみ」講義
7月までの土曜午後に合計4回、目黒シティカレッジで「生活の中の庶民の楽しみ」という講座をやります。「隠居の行楽術」「江戸の見世物」「江戸の芝居見物」「碑文谷の仁王さん」で4回です。「碑文谷の仁王さん」は目黒区にちなんだもので、その寛政元年からの流行は大きな文化的ひろがりをもち、調べだすととても面白いテーマです。講義予定
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2001年6月上旬
「見世物探偵が行く8 象たちとの旅路」(『グラフィケーション』115、富士ゼロックス)
横浜の野毛山動物園にいるインド象の「はま子」は、当年五十七歳。この動物園一の古株の象を眺めつつ、江戸時代にも何度か渡来した、象たちの旅路を追いかける。天皇に拝謁する象、東海道を悠々と歩く象、伊勢神宮門前における象の雄姿など、大きな感銘と印「象」をのこした象たちと、近世の娯楽文化を
逍遙する。
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2001年6月3日
第38回藝能
史研究会大会発表「見世物研究と資料−朝倉無声『見世物研究』への対し方をきっかけに」
2年ぶりに藝能史研究会大会で発表をします。朝倉無声『見世物研究』の達成に最大の敬意を表しつつも、そのどこに限界があるかを指摘して、見世物研究をさらに一歩先へ進めるための方法、資料への視点などについて報告をおこないます(於、京都市・キャンパスプラザ京都)。発表予定骨子
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2001年5月28日
「書評 森真一著『自己コントロールの檻』講談社選書メチエ」(『皇學館論叢』34-1、皇學館大学人文学会)
ちょっと分野ちがいですが、20枚ほどの長文書評を書きました。現代人の感情マネジメント志向や、社会のいわゆる「マクドナルド化」など、いろいろ考えさせられる本です。総じていえば、現代社会の高度な効率化・合理化は、グローバル規模で個人の内面にまでおよび、さまざまな問題を巻き起こしていることを感じます。(奥付は2001年2月10日)
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2001年4月18日より
世田谷市民大学「江戸の遊び」講義
7月までの毎週水曜午前、世田谷市民大学で「江戸の遊び」という講座をやります。「江戸の遊び」というのは、見世物はもちろん、歌舞伎、落語などの諸芸能や、寺社参詣、郊外への物見遊山などといった、さまざまな遊歴・道楽で、十数回の長期講座です(定員満杯ではじまりました。よく感じることですが、年輩の社会人の方は熱心に聞いてくれるので気持ちがいいです)。講義予定
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2001年4月上旬
「見世物探偵が行く7 古今無双の力持」(『グラフィケーション』114、富士ゼロックス)
江戸総鎮守である神田明神の境内に「力石」がある。文政五年(一八二二)に神田の柴田四郎右衛門なる男が持ち上げたと銘記される、ひと抱えどころか、ふた抱え以上もある大石で、ずっと気になっていた不思議な記念碑である。近世後期にあらわれた力持の怪童たちや、素人力持の流行、見世物化などの話題を、現代の怪力見世物(例えば『筋肉番付』!)も視野に入れつつ探偵する。
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2001年4月より
跡見学園女子大学・国文学科兼任講師出講
今年も跡見学園女子大学に国文学科兼任講師として出講し、「編集」と「芸能論」の講義をやります。夏には伊勢の皇學館大学で「芸能史」の集中講義をやります。また、日本エディタースクールも継続して出講中で、次回は4月13日から開講です。
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2001年3月末
ベトナム水上人形劇調査旅行
短期間ですが、演劇研究会の企画に参加して、ベトナムへ水上人形劇を観にいってきます。前からくわしく観てみたいと思っていたので、楽しみです。
水上人形劇をたっぷり堪能してきました。同志社大学の山田和人先生をはじめ、信多純一先生、阪口弘之先生ほか演劇研究会の皆さんと同行させていただき、ベトナム側との事前折衝もうまくいっていたおかげで、ハノイの国立人形劇場では裏側の幕内(御簾内)までつぶさに観ることができました。また、文化情報省とのミーティングも有益でした。[4月5日追記]
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2001年2月27日
第146回江戸東京フォーラム、「江戸の見世物」講演
住宅総合研究財団の江戸東京フォーラムで「江戸の見世物」について話をしま
した。見世物小屋とその周辺環境、内部の様子にはじまり、料金のとり方、浮
世絵や引札など同時代文化とどう連携していたのか。また「お代は見てのお帰
り」ほか、昔ながらの習慣と思われがちなものが、じつは二十世紀の近代的な
発明であるといった、見世物の「思いこみの神話」にもふれました(単発の講
演ですが、ライブラリーにレジュメの一部を掲載したのでここに紹介しました)。
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2001年2月上旬
「見世物探偵が行く6 伊勢の夕映え」(『グラフィケーション』113、富士ゼロックス)
近世の伊勢は、遊楽遊興という点では、江戸、京、大坂の三都に次ぐ重要な土地のひとつであった。ひとと文化が動くダイナミズムを、伊勢のふたつの街すなわち「歓楽の街、古市・中の地蔵」と「水運と商業の街、河崎」に焦点を当て、その過去と現在を行き来しながら探偵する(連載がこれでちょうど1年。さらに続きます)。
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2000年12月20日
『パソコン編集執筆術』(仮題)書き下し開始
『パソコン編集執筆術』(仮題)の書き下しをはじめました。編集と執筆のいわば「技術面」で、パソコンがどんな風に便利な道具として利用できるのかという本です。『見世物畸人伝』(白水社予定)とはまったく系統の異なる本なので、併行して書き下しをすすめる予定です。日本エディタースクール出版部から刊行の予定。
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2000年12月上旬
「見世物探偵が行く5 菊人形の秋」(『グラフィケーション』112、富士ゼロックス)
秋晴れにさそわれて大阪・枚方の菊人形や、江戸伝来の谷中の菊人形へ。近世後期の菊細工の発祥と展開を、物見高い庶民と「徳川権現さん」を道づれに探偵してまわる「時」を越えた悦びの見物遊歴記。菊人形は、やはりいつまでもあってほしい見世物だ。
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2000年11月上旬
伊勢・芸能資料調査
皇學館大學で講演(11/5)をやるのにあわせて、伊勢の歌舞伎・見世物を中心とした資料調査を、短期間ですが何カ所かでおこないました。神宮徴古館、古市周辺、伊勢河崎町の資料、松阪、一身田といくつか成果がありました。去年、歌舞伎学会で発表した勢州松坂の興行師、鳥熊(とりくま)の論文・年表(学会誌『歌舞伎』掲載予定)もそろそろまとめないと。
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2000年10月13日より
日本エディタースクール昼間部講義開始
日本エディタースクールの「昼間部」でもコースを担当します。また引きつづき、夜間の「パソコン企画編集科」も担当しています。
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2000年10月上旬
「見世物探偵が行く4 曲馬は異国の風にのって」(『グラフィケーション』111、富士ゼロックス)
ひとの郷愁を誘い、演歌的情緒を漂わせるサーカスの世界。しかし一方で、江戸から明治にかけてのサーカスや曲馬団は新品の舶来文化であり、海の向こうから吹くエネルギッシュな「異国の風」であった。この夏もボリショイサーカス、ククラチョフの「猫劇場」、上海魔術団、また秋にやってくるシルクドゥソレイユ等々と外国からのサーカス到来は多いが、じつは江戸時代の曲馬においても、たびたび来日した朝鮮通信使の「馬上才」をはじめ、幕末に渡来したアメリカのリズリーサーカスなど、「異国の風」が曲馬の歴史を動かしてきた。サーカスと曲馬の世界の、はじめから先どりされたような「ノスタルジー」と、ずっと吹き続ける「異国の風」を探偵する。
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2000年10月1日
『見世物畸人伝』書き下し開始
『見世物畸人伝』の書き下しをはじめました。実際には一年以上前に見本原稿を二章分近く書いていたので、再起再開ということになります。簡単にいうと、見世物にかかわる知られざる人びとの奇趣あふれる人物伝で、総勢六〜八名程度。あくまで事実に基づくものでフィクションではありませんが、『江戸の見世物』(岩波新書)よりもややエッセイ風(多分「歴史ノンフィクション」というのかな)になると思います。白水社から刊行の予定。
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文化放送『吉田照美のやる気 MAN MAN』生出演
「午後2時の興味津々」というコーナーで午後2時20分過ぎからしばらく出演し、新刊の著書『江戸の見世物』(岩波新書)を中心にあれこれとしゃべりました。昔、人間ポンプの安田里美さん(故人)がこの番組に出て、スタジオでちょっと火を吹いたところ火災報知器が鳴ってしまい、関係者は始末書ものだったとか!?。放送前にはそんなおしゃべりをしました。
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2000年8月下旬
日本エディタースクール「パソコン企画編集科」夏期集中講義
日本エディタースクールの「パソコン企画編集科」で、夏期集中講義のコースをやっています。また、引きつづき秋季開講の夜間コースを担当しています。
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2000年8月初旬
「見世物探偵が行く3 水芸の流れに」(『グラフィケーション』
110、富士ゼロックス)
美貌の女太夫の指先・刀の切っ先・扇子などから水が噴きでる演芸、「水芸」。かつての名人松旭斎天勝(しょうきょくさいてんかつ)や、泉鏡花がつくりだしたヒロイン「滝の白糸」が思い浮かぶ。女太夫の水芸は明治後半以降の流行現象だが、実際には水芸は、近世初期からの滔々たる流れをもつ見世物芸である。そんな水芸の水脈を探偵する。
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2000年7月19日
『江戸の見世物』(岩波
新書)
ずっと書き下ろしをやってきた本が発売になります。
詳細は、こちらの専用別ページで
ご案内しておりますので、ご覧ください。同書の書評紹介はこちら。
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2000年6月初
「見世物探偵が行く2 らくだを探せ」(『グラフィケーション』109、富士ゼロックス)
人気の落語『らくだ』の成立と、文政期の見世物ラクダの関係を中心に、江戸の見世物と大道の生き生きとした様子を探偵します。
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2000年5月14日
『北海道新聞』書評(鵜飼正樹『見世物稼業―安田里美一代記』新宿書房)
昭和以降の見世物芸能史として、とにかく傑作です。めったにでてくる本ではありません。かまえることなくひとりの芸人さんとつきあい、いろいろ裏づけをとりつつまとめた、安田さん、鵜飼さん両者のパワーを感じさせる、おすすめの一冊です。
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2000年5月2日
「ギネスの街」(『IceTea』No3、Voyager Japan)
T-Timeマガジン『IceTea』No.3にエッセイを書きました。ギネスというのはダブリン発祥のビールGuinnessのことで、そのクリーミーな泡の話から、アイルランド人の旅と文学を気楽に語っています。
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2000年4月14日
書き下ろし『江戸の見世物』脱稿
この間、ずっと書き下ろしをやってきた単著『江戸の見世物』が、後記までを含めすべて脱稿しました。結局、執筆に11カ月近くかかりました。しかし、自分で言うのも何ですが、いままでにない「えっ」と思うような内容が、いろいろ入っていると思います。
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2000年4月より
跡見学園女子大学・国文学科兼任講師出講
今年も跡見学園女子大学に国文学科兼任講師として出講し、編集について講義をします(4月10日より)。日本エディタースクールも継続して出講中。
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2000年4月初
『グラフィケーション』(富士ゼロックス)「見世物探偵が行く」連載第1回
見世物の歴史の深みと現代文化が持つ見世物性を自在に往復しながら、日本各地や時には外国にも足をのばして、「見世物文化」の活力ある姿を楽しく具体的に探偵していきたいと思っています。第1回は「中国雑技への旅」です。問い合わせ先:富士ゼロックス『グラフィケーション』
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2000年3月14日(奥付は1月15日)
『藝能史研究』(148号)「見世物をどう理解するか―近世後期の興行件数と見世物絵から」
藝能史研究会大会での研究発表を元にした論稿です。近世後期の見世物の興行件数と、見世物絵の残存枚数から、見世物のマクロな図柄を描きます。そこからは、全興行の半数近くを占める細工見世物の圧倒的な多さと、逆に、いわゆる「人体異形の見世物」が十分の一以下と少ないことがわかり、現代的な「見世物」の通念が、江戸時代後期から見ると相当に変貌をとげたものであることがわかります。それをどう考え、見世物の歴史理解を得ていくか、とりあえずの展望も記します。
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2000年2月末
国立劇場3月新派公演『滝の白糸』パンフ「滝の白糸の背後―水芸と見世物の文脈」
『滝の白糸』といえば、美しい水芸。そして、泉鏡花の原作にはさまざまな見世物が登場します。鏡花というと、非現実性や幻想性ばかりが強調されがちですが、見世物研究の視点から見ると、案外、当時の見世物の様相が生き生きと取り込まれていることがわかります。なお、3月4日からの新派公演は八重子の白糸に、八十助の欣弥です。
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2000年1月下旬より
日本エディタースクール「パソコン企画編集科」講師出講
日本エディタースクール(開校1964年、履修生合計5万人、所在地神保町)という、編集者・校正者・デザイナー・ライターのプロを養成する出版業界の学校で、新設の「パソコン企画編集科」の講師をしています。簡単にいうと、企画編集にどこまでパソコンを活用できるか(そして、できないか)の基礎ということです。
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1999年12月19日
『北海道新聞』書評(鵜飼正樹+北村皆雄+上島敏昭編著『見世物小屋の文化誌』新宿書房)
現代の見世物小屋をいろいろな角度から描いた本としては、率直に上出来で、いわゆる「見世物」というとすぐに「あやしい」「いかがわしい」といった紋切り型の連発になってしまう本とは、性格を異にしています。ただ、基本的には昭和以降の話で、歴史的な展望に欠けるのは残念です。和田修氏による近世の人形浄瑠璃のからくり手妻を中心にした手際のよい好論も、孤立した状態になっており、結局、近世後期から明治、明治から大正といった展望を持つことの必要を、ますます感じます。
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1999年12月12日
Editor's レファレンスのコーナー稼働
講義などでの必要があって、本とその周辺情報についての調査・確認や、日常の編集活動、ウェブパブリシング等で、役立ちそうな基本サイトを運営者なりにまとめてみました。むろん、リンクだけでなくいろいろな内容を拡充の予定です。
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1999年12月11日
歌舞伎学会秋季大会・研究発表「勢州松坂 鳥屋熊吉」
近代の歌舞伎興行の方向を変えたといわれる興行師・鳥屋熊吉は、元来、勢州松坂出身の見世物の興行師であった。これまでほとんど紹介されることのなかった、幕末期の見世物興行時代、伊勢の地での活躍を具体的に紹介し、このスケールの大きい興行師が背後に抱えていた文脈を、再構成する。(於、大東文化大学板橋校舎)。
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1999年10月1日
『芸能懇話』のコーナー稼働
『芸能懇話』は、大阪を中心に活動する落語ほか諸芸の研究団体「大阪芸能懇話会」の機関誌です。その総目次などを掲載していく予定です。運営者もこの会の一員です。
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1999年10月1日(奥付は8月30日)
『人文学と情報処理』23号「デジタル百科の未来」(勉誠出版)
全体は「デジタル百科への期待」という特集です(石川徹也=編)。川添は個別の製品を離れて、デジタル百科とレファレンス資源の未来を、新しいメディアの精神性や感覚、社会化への展望、今後の技術動向を踏まえ、5つのキーワード(Omnipresent、Travelogue、Bookshelf、Tussaud、Sherlock)から語ります。インターネットにおける、知的資源のあり方をむしろ主題としてみました。
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1999年9月19日
『北海道新聞』書評(矢野誠一著『三遊亭圓朝の明治』文春新書)
三遊亭円朝伝であるとともに、円朝をきっかけに明治という時代の意味を問いかけた本。とくに、新しい時代に翻弄される円朝の姿がよく描かれています。明治5年の東京市の人口59万人に対し、明治26年の人口121万人という文中のデータは、地方からの新来の観客の多さを予測させ、そこで起こっていたに違いない伝統芸能の「激動」を、雄弁に物語ってくれます。
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1999年8月8日
『北海道新聞』書評(渡辺保著『歌右衛門伝説』新潮社)
とにかく傑作です。プロローグの「老いとの闘い」など、舞台の様子が真に迫ってくるじつに力のある文章です。東京・日本橋の三越で開催された歌右衛門展を含め、歌右衛門が「歴史」になりつつあるのは寂しい気もしますが、こんな骨太の渡辺批評が存在することは、やはり果報なことではないでしょうか。歌舞伎の身体とはいったい何なのかを主眼とする、本質的な歌舞伎入文書ともいえます。
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1999年6月13日
第36回藝能史研究会大会・研究発表「見世物の実相とその享受−見世物絵を素材として」
現代では見世物というと蛇女や蛸娘といったものを思い浮かべがちだ。しかし、この種の見世物は近世においては見世物のごく一部にしか過ぎず、グロテスク一辺倒の見世物観は、むしろ明治以降の近代化の過程で形成された「神話」といえる。大量の見世物絵を素材に、幕末期の見世物の実相を明らかにし、描かれた見世物小屋の様子と種々の記念品などから、子供や女性を含めてひろく一般庶民に享受された実像を示す。(於、京都市左京区吉田河原町・京大会館。発表資料の一部をこちらで公開しています)。
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1999年6月1日
『江戸の見世物』書き下し開始
前から予定していた『江戸の見世物』の書き下しを、やっと始めました。今までになかったタイプの入門書です(岩波新書予定)。見世物については、朝倉無声の『見世物研究』以上の話はもうでてこないと言う人がいますが、そんなことは全くありません。新しい資料も、それを見る視点も、まだまだいくらでもあるし、無声だって人の子ですから、多くの誤解をしています。可能なかぎり一次資料を用いて、江戸の見世物の「面白さ」を記していこうと思います。見世物はさまざまな点で軽く見られがちですが、ぼくとしてはその「奥深さ」を、徹底的に描いてみたいと思っています。
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1999年5月2日
『北海道新聞』書評(石井明著『落語病草紙』創樹社)
落語の世界から近代以前の病気とその周辺文化を描いた異色作。前半は多くの例を入れた知識百科的な記述で、後半は『死神』の成立を追うなど、テーマティックな三章が入る。病いというものの人間味ゆえに、落語と病気は近しい関係にあるのかもしれない。
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1999年4月より
跡見学園女子大学・国文学科兼任講師出講
4月から跡見学園女子大学に国文学科兼任講師として出講し、週1回、編集について講義をします。あくまでも実際の執筆活動・出版活動・編集活動が本業ですが、いい機会なので、学生たちと具体的に編集やメディア、何かを実際に表現し伝えることについて、日常生活の視点から考えていきたいと思います。
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1999年3月31日
『浮世絵芸術』(131号)「『見世物絵』とその出版の諸相」
昨秋の国際浮世絵学会創立大会での研究発表を元に、大幅に手を加えた論稿です。東洋文庫蔵の『観物画譜』および架蔵の見世物絵、合計485点の基礎的な分析と、「見世物絵」を読むために不可欠な問題点を提起し、過去の見世物の実態に迫る可能性を具体的に考えています。ぼくとしては珍しい方法論をめぐる学会誌論文です。問い合わせ先:国際浮世絵学会03-3543-7751
追記−同じ号で別途、「見世物絵」4点の図版解説も書きました(約10枚分)。両国の見世物小屋と、見世物の享受について、全体がひとつのテーマになるように記しました。
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1999年3月上旬
イギリス・サーカス資料調査
短期ですが、しばらくロンドンの西にあるMaidenheadに滞在し、イギリスの初期サーカスの資料調査などをしました(もちろん、観光もしました)。古書店などでもいろいろ資料を入手して、19世紀のサーカスとsideshowの様子(芸人たち、芸風、劇場地図)やその時代背景などが、以前よりよくわかってきました。19世紀末から20世紀初めが「見世物文化」の大転換点という感はますます強く、また、優れた見世物は物理的にも精神史的にも世界中を飛び回っているという認識をさらに強くしました。「滅びゆく懐かしいグロテスクな世界」といった、もはやすっかり毒気を抜かれた予定調和の決まり文句を抜け出ると、見世物はいつも新鮮に世界と精神を揺すぶってくれます。
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1999年2月23日
季刊『自然と文化』(59号)「見世物研究家・列伝」
江戸の見世物好き知識人のエピソードに始まり、明治以降の宮武外骨、朝倉無声、藤沢衛彦、古河三樹と流れた見世物研究の系譜を執筆しています。最近の見世物研究の動向等も簡単に記しました。この号は全体が「見世物特集」で、木下直之さんと山口昌男さんの対談や、幾つかの記録も面白いです。(ぼくが書いた文章の頭から4行目に誤植があります。「親しまれた」の「た」が抜けています。)問い合わせ先:日本ナショナルトラスト03-3214-2631
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1999年2月4日
検索仕様をもたせた見世物データベース稼働
懸案の、検索仕様をもたせた「見世物データベース」が稼働しました。現在は川添の「江戸見世物主要興行年表」がデータリソースです。今後は、手元にある他のローカルデータベースや、他の研究者の著作、リスト等も加え、さらに発展させる予定です。
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1999年1月14日
『産経新聞』(夕刊、大阪本社版)「見世物は何処へいく−復権への道を探る」
江戸時代から20世紀の見世物の歴史を振り返り、そこから21世紀への展望を語ります。何だか大風呂敷なテーマですが、見世物そのものはいろいろ変遷しても、文化が持っている「見世物性」は決して消えることがないし、その身体性、物質性は何ものにもかえがたい、ということを書いています。
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1999年1月10日
『北海道新聞』書評(永井啓夫著『新版 三遊亭円朝』青蛙房)
円朝研究の基本書として知られる永井氏の名著が、改訂を経て新版として刊行されました。この間品切れで、古書店でも大分値段が高くなっていたので、嬉しいことです。円朝が亡くなったのはちょうど1900年で、ほぼ前半生を江戸に、後半生を明治に過ごしており、「近代化」を考えるのにも興味深い本です。
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1999年1月10日
『電子図書館はどうなる』(共著、石川徹也編、勉誠出版)
マスコミ・印刷・流通・書店・図書館・博物館・利用者の有志14人とやった仕事のまとめです。議論は百家争鳴、意見の相違や矛盾も多いですが、さまざまな問題提起がなされており、今後の電子図書館を考えるための必携書だと思います。(『人文学と情報処理 別冊1』として刊行されました。)
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1998年12月20日
ばれんの会ページ稼働
名古屋を中心に活動する浮世絵研究家・愛好家の全国組織「ばれんの会」のページができました。機関誌『浮世絵春秋』の既刊全冊分の、総目次・執筆者別目次などが入っています。運営者もこの会の一員です。
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1998年11月29日
『北海道新聞』書評(渡辺保著『芸の秘密』角川書店)
歌舞伎における芸とは何か、という大命題に取り組む意欲作で、過去の名優五十人の芸談・評判記を読み込むことで、芸の本質を浮き彫りにします。歌舞伎に馴染みの薄い読者には、とっつきにくいかもしれませんが、「品」の集積としての歌舞伎を考える、問題提起の書です。(『西日本新聞』にも掲載。)
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1998年11月21日
国際浮世絵学会創立大会・研究発表「『見世物絵』とその出版の諸相」
旧・日本浮世絵協会が新たに国際浮世絵学会となり、その創立大会で研究発表をします(場所は学習院記念館)。「見世物絵」の出版と興行との前後関係、絵師・版元と興行との結びつきなどにふれ、見世物絵を読むための「前提」について問題提起します。
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1998年10月26日−29日
『朝日新聞』(夕刊)「私空間」4回連載
短いコラムですが、自分自身の創造の場所といった感覚で、身近な4つの話題を記しました。「とんだ霊宝」「いぶし銀」「川と見世物」「ウェブを寄席に」がテーマです。書いているうちに、今まで何をやってきたのか、自分を見つめ直したりしました。(一部地方では朝刊のコラムです。)
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1998年10月9日
『本とコンピュータ』(98秋号)「見世物データベースは300年の時空を超えて」
研究資料の整理手段としてのデータベース作り、見世物研究とインターネットの利用法、民間学とインターネットの可能性などについて書いています。この号は特集で、在野学問やシロウト学問とインターネット利用法を取り上げています。
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1998年10月初旬配信
共同通信社「曲芸が生きている世界−日中子ども『雑技』考」
この夏に橋爪紳也さんたちと行った中国各地の雑技調査で感じたことを、日中比較の視点から書いています。中国では、じつにたくさんの子どもが雑技に従事していることに、感動を覚えました。掲載は共同通信社と契約の地方各紙です。(10月4日愛媛新聞から11月7日山陰中央新報あたりまで)
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1998年9月29日
『日本経済新聞』(朝刊)「見世物絵、読む江戸娯楽」
川添の見世物絵コレクションの概要と形成史、個人研究史、今後の方向性の一端を、ちょっと気恥ずかしいのですが、いくつかのエピソードを混じえながら率直に記しています。また、このホームページのことにもふれています。最終面の文化欄に掲載。